2015年 理工学部 シラバス - 海洋建築工学科
設置情報
科目名 | 海洋学Ⅱ | ||
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設置学科 | 海洋建築工学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 大塚・野志 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜2 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | D42E |
クラス |
概要
学修到達目標 | 目標は海洋波動,海岸地形の形成過程,海洋生態学の基礎の理解である.海洋波動では,海洋波の性質,発達過程,海岸域での波の変形,潮汐を学習する.海岸地形の形成過程では,典型的な地形と侵食要因を学習する.海洋生態学では,海洋生物の生息環境,生物生産性,海岸付近の生物と生息環境を学習する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
授業(90分)は,毎回,20分あるいは30分間の学習ユニットで構成される.1つ学習ユニットの構成と所要時間の目安は,スライドと教科書をを使用した解説(20分),チェックリストによる理解度確認(5分)である. |
履修条件 | 海洋学Ⅰの履修が望ましい。 |
授業計画
第1回 | 海洋の主な波は,表面張力波(0.1秒以下),風波(10秒以下),うねり(30秒以下),セイシュ(5分以下),津波(1時間以下),潮汐(24.8時間),内部波(数時間以下)である。これらの波は波高H,周期Tや波長L(波のパラメターと呼ぶ)はそれらの大小や長短で特徴づけられ,その成因と併せて分類される。波は海面の動きとともに海中の水も動かす。この動きは,波のパラメターと水深に大きく関係する。ここでは波の特徴を学習する。 |
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第2回 | 風が成因の波を風波と呼ぶ。波の波高が大きくなることを発達といい,風波の発達には,風速の大きさ,風域の広さ,吹送する時間の長さが大きく関係する。これらを風波な発達の3要素と呼び,3要素の影響がなくなり伝播する波をうねりという。風波もうねりも海岸近づくに従って波高や波長を変化させ,海岸に打ち寄せてそのエネルギーを一散させる。ここでは,風波の一生を学習する。 |
第3回 | 長周期波A:潮汐は地球・月・太陽の天体間力で生じる海面の盛り上がりであり,盛り上がりが天体の位置関係で地球上を移動する長周期の波である。地球上の海水は,月と太陽の引力の作用方向に引き寄せられ,その反対方向の地球の回転による遠心力の方向にも集まる。この盛り上がりは潮汐バルジと呼ばれ,大潮や小潮のような特徴を持っている。一方で,黄道と月の地球に対する軌道が同一平面内にはないので,緯度によって干満の振幅に大小が生じる。このような潮汐の起源や特徴を学習する。 |
第4回 | 長周期波B:潮汐バルジは月の位置と共に移動するが,海盆は大陸によって区切られているので,バルジは海盆にとどまり,地球の自転周期で海盆内を回転することになる。そこでこのような潮汐の特徴を動力学的潮汐モデルによって学習する。次に潮汐で生じる潮流の特徴と潮流によって得られる力を学習する。 |
第5回 | ダイナミックな海岸線A:海岸地形は,沈水や隆起という地球のダイナミクスで形成され,海岸を構成するン物質によっても形状に特徴を有する。この地形の形成過程を理解するために,まず沿岸の水の動きを学習する。次に,この影響によって形成される特徴的な海岸地形として海岸砂丘,バリア島の形成過程を学習する。 |
第6回 | ダイナミックな海岸線B:前回に引き続き,崖海岸の変化や三角州(デルタ),さらに海浜の興味深い地形である砂嘴の形成過程を学習する。次に人間が海岸に与える影響として,構造物の建設や土地利用による侵食と堆積があるが,これらの海浜変形の要因を実例で学習する。ここで学習する土地利用による変形は海洋建築物を建設するときに考慮しなければならない重要な事項である。 |
第7回 | 理解度確認試験1: 海洋の波,長周期の波,ダイナミックな海岸線に関して学習したことの理解度を確認する。 |
第8回 | 海洋生態学A:海洋および生物についての生態学的な区分を学習する。また、生物と環境との関わりについて基本的な環境構成要素をもとに学習する。(海の生息環境~生態学入門) |
第9回 | 海洋生態学B:プランクトン、魚類および底生生物について、それぞれの生活史の中で環境にどのように適用できるようになっているのか?それぞれの基本的な要素を学習する。(海洋生物の適応戦略) |
第10回 | 海洋の生物生産性A:生態系を食物連鎖、エネルギーと物質の移動という視点で捉えた構造を学習する。特に、食物連鎖のピラミットにおける生産者と消費者の関係や光合成の重要性等について学習する。(食物網と栄養動態,全体的な海洋生産性) |
第11回 | 海洋の生物生産性B:海洋における一次生産量の規模とその世界的な分布を通じて、生産力と生物および環境並びに地形との関係を学習する。(生産性の世界的なパターン,湧昇域の生物生産性) |
第12回 | 海岸の生態系A:河口域を代表とする汽水域の代表的な物理現象である塩水くさびやエスチャリー循環などの概要を学習するとともに、河口域や塩性湿地における環境と生物との関係について学習する。(河口域~塩性湿地) 河口域,ラグーン,塩性湿地 |
第13回 | 海岸の生態系B:マングローブ湿地およびサンゴ礁域における環境と生物との関わりを学習する。特に、サンゴ礁域では、サンゴの白化現象や工業廃水、濁水等のサンゴへの影響等について学習する。(マングローブ湿地、サンゴ礁) |
第14回 | 海洋の生息環境と生物相:大陸棚から外洋までの環境変化と生物との関係について、ブランクトンを中心として学習する。また、生物環境について、沿岸域と外洋との比較を通じて、沿岸域の重要性を学習する。(大陸棚の生物学,外洋と深海の生物学) |
第15回 | 理解度確認試験2 |
その他
教科書 |
ポール・R・ピネ著,東京大学海洋研究所監訳 『海洋学』 東海大学出版会 2010年 第1版
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参考書 |
柳 哲雄 『海の科学』 恒星社厚生閣 2001年 第1版
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成績評価の方法 及び基準 |
毎回のチェックテスト2点×13回=26点,理解度確認テスト37点×2回=74点 の合計点で評価する。 |
質問への対応 | 随時受け付けます。 |
研究室又は 連絡先 |
沿岸域工学研究室 13号館3階1335号 |
オフィスアワー |
火曜 船橋 12:20 ~ 13:00
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学生への メッセージ |