2015年 理工学部 シラバス - 機械工学科
設置情報
科目名 | 内燃機関 | ||
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設置学科 | 機械工学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 飯島 晃良 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | F12N |
クラス |
概要
学修到達目標 | 内燃機関は,自動車をはじめとして様々な動力源で広く利用されている.近年は,エネルギー・地球環境問題やグローバルな技術開発競争を背景とし,高効率化(低燃費化),排気のクリーン化,出力性能,高い信頼性を低コストで実現すること等が求められ,今なお進化の途中にある.本講義では,主に自動車用エンジンを題材に,その原理,基礎理論,性能向上法,高効率化手法,燃焼,排気,エネルギー・環境問題を踏まえた最新動向などを講義する.具体的な学習目標を以下に記す. ①内燃機関の熱力学的取り扱いを理解する ②内燃機関の作動原理と構造を理解する ③内燃機関の出力・燃費・排ガス性能の向上方法を,機械工学等の基礎理論に基づき理解する④ガソリン機関及びディーゼル機関の燃焼を理解する |
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授業形態及び 授業方法 |
板書を中心とした講義形式で行う.また,適宜学会等で発表されている内燃機関の最新の研究成果や技術,今後の研究が必要な未解決事項,世界的な研究開発動向などを紹介する. |
履修条件 | 熱力学Ⅰの単位を修得していること. 熱力学Ⅱの単位を修得していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | 内燃機関の歴史・定義・原理 【キーワード】熱機関,内燃機関と外燃機関,容積型と速度型,ガソリン機関とディーゼル機関,4ストローク機関と2ストローク機関,ロータリーエンジン |
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第2回 | 内燃機関の性能の表し方と計算法(その1) 【キーワード】トルク,出力,平均有効圧力,図示仕事と正味仕事,熱効率と燃料消費率 |
第3回 | 内燃機関の性能の表し方と計算法(その2) 【キーワード】理論サイクル,指圧線図と熱力学的解析,充填効率と体積効率 |
第4回 | 4ストローク機関(ガソリン機関とディーゼル機関) 【キーワード】ガソリン機関とディーゼル機関,燃料供給法,燃焼法 |
第5回 | 2ストローク機関 【キーワード】掃気過程,完全層状掃気と完全混合掃気,出力性能,排ガス性能 |
第6回 | 内燃機関の高出力化 【キーワード】出力の支配因子,体積効率の向上法,吸排気系,過給 |
第7回 | 内燃機関の高効率化・低燃費化(その1) 【キーワード】熱効率への支配因子,内燃機関の諸損失,高圧縮比化とノッキング,希薄燃焼,排ガス再循環(EGR) |
第8回 | 内燃機関の高効率化・低燃費化(その2) 【キーワード】冷却損失,ポンピングロス,摩擦損失,高膨張比サイクル |
第9回 | 内燃機関の燃料 【キーワード】石油精製とガソリン・軽油,オクタン価とセタン価,炭化水素の種類と分子構造,代替燃料 |
第10回 | 燃焼の基礎 【キーワード】燃焼反応,空燃比・当量比・空気過剰率,予混合燃焼と拡散燃焼,火炎温度 |
第11回 | ガソリン機関の正常燃焼 【キーワード】点火過程,予混合火炎伝播,燃焼温度,ガス流動と乱流火炎伝播速度,希薄成層燃焼,筒内直噴エンジン |
第12回 | ガソリン機関の異常燃焼 【キーワード】ノッキング,低温酸化反応と自着火,燃料分子構造とオクタン価,運転状態の影響 |
第13回 | ディーゼル機関の燃焼 【キーワード】ディーゼル噴霧の着火・燃焼過程,セタン価,燃焼室形状の影響,高圧噴射(コモンレール),NOxとPM排出のトレードオフ |
第14回 | 内燃機関の排気のクリーン化 【キーワード】CO・HC・NO・PMの発生機構,燃焼による低減法(EGR,予混合化,過給),後処理による浄化法(三元触媒,NOx触媒,DPF),排ガス規制 |
第15回 | エンジンの最新トピックス紹介と 理解度確認演習 |
その他
教科書 |
教科書は特に指定せず,板書や配布資料で講義を進める.各自,理解を助けるために,自身に合った参考書を使うことを勧める(以下を参照).
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参考書 |
村中重夫 編著 『新訂・自動車用ガソリンエンジン』 養賢堂 2011年 第1版
鈴木孝幸 『ディーゼルエンジンの徹底研究』 グランプリ出版 2012年 第1版
古濱庄一 『内燃機関』 東京電機大学出版局 2011年 第1版
村山正,常本秀幸 『自動車エンジン工学』 東京電機大学出版局 2009年 第2版
John B. Heywood, Internal Combustion Engine Fundamentals, McGraw-Hill Education, 1989
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成績評価の方法 及び基準 |
目標①②③④に対して理解度確認演習100%によって達成度を評価し,100点満点に換算して60点以上を目標が達成されたものと評価する. |
質問への対応 | オフィスアワーを含め,随時質問を受けつける. |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎4号館428B室 03-3259-0739 iijima@mech.cst.nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 12:10 ~ 13:20 4号館2階428B室
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学生への メッセージ |
内燃機関が誕生してから100年以上が経過し,この分野は成熟したように感じるかもしれない.しかし,内燃機関は誕生以来,出力向上,小型化,高効率化,クリーン化,信頼性,低コスト,低炭素化という社会からの厳しい要求を克服し,今なお進化している.内燃機関を通じて,これまでに学んできた機械工学の基礎科目を有機的に関連付け,応用する術を学ぶとともに,化学,環境,エネルギーなど,様々な分野への興味の視野を広げてほしい. |