2015年 理工学部 シラバス - 物理学科
設置情報
科目名 | 流体力学 | ||
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設置学科 | 物理学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 相澤 正満 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜1 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M41O |
クラス |
概要
学修到達目標 | 流体力学はニュートン以来300年以上に渡って研究されてきた、いわゆる古典物理学であ る。水の流れ等、我々が最も身近に体験できる物理学でもある。量子力学等の現代物理学の中心である微視的な観点ではなく、巨視的な観点に立っている。こうした見方も重要であることに注目しながら講義を行う。 |
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授業形態及び 授業方法 |
基礎方程式が非線形偏微分方程式のため、数学的な取り扱いに注意する。実際の応用にあた っては、理論解析が困難であるため計算機利用も重要なので、4年「コンピュータシミュレーション」大学院量子理工学専攻「計算機シミュレーションⅠ・Ⅱ」との関連にも注意している。基礎的な数学事項も含めて毎回配布予定のプリントによる演習をしながら流体力学の基礎について勉強して行く。 |
履修条件 | 選択科目。 1、2年生で学習した物理、数学の基本的な知識があればよい。必要な数学の復習はなるべく授業中に行う予定である。 |
授業計画
第1回 | 1.流体力学への案内 本講義の概要を説明する。流体の特性に注意して、流体をどのように扱うべきかについて考えていく。また、重要となる各種物理量について説明するとともに数学的な取り扱い方法についてごく初等的な内容から説明するようにする。 1.1 流体とは 1.2 状態量 1.3 流体の概念 |
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第2回 | 1.4 場としての流体とデルタ関数 1.5 流体の性質 2.静止流体力学 静止流体に働く力について考察し、比較的簡単にわかる身近な問題を取り上げながら考察していく。我々自身も空気という流体中にいることに注意すると興味深い現象が多くあり、またふだん体験できる現象を説明できることを示す。 2.1 体積力と面積力 2.2 つりあい |
第3回 | 2.3 鉛直な平面に働く圧力 2.4 浮力 2.5 大気の圧力 |
第4回 | 2.6 加速度運動時の流体の圧力 2.7 回転する座標系における流体 |
第5回 | 2.8 表面張力 3.運動する流体 流連続の式、ベルヌーイの定理、運動量の法則、角運動量の法則について説明する。 3.1 連続の式 3.2 ベルヌーイの定理 3.3 運動量の法則 3.4 角運動量の法則 |
第6回 | 4.流体の熱力学 流体の熱力学に関連した基礎式について説明する。具体的には、状態方程式、熱力学方程式について説明する。流体の圧縮性についても検討する。 4.1 熱力学基礎方程式 4.2 理想気体とその状態方程式 |
第7回 | 4.3 理想気体の熱力学方程式 4.4 状態の遷移 |
第8回 | 5.流体の基礎方程式 今までの個々の法則の議論から流体力学における基礎方程式系についてまとめる。基礎方程式の理解は、最も重要な部分である。連続の方程式、運動方程式、エネルギー方程式を導くことにする。 5.1 流体の変形と回転 5.2 流体の速度 5.3 流体の加速度 |
第9回 | 5.4 オイラーの運動方程式 5.5 拡張されたベルヌーイの定理 |
第10回 | 6.完全流体の流れ 非粘性、非圧縮性の流体である完全流体について考察する。物体に働く抗力や揚力などについて説明し、渦なしポテンシァル流れの破綻としてダランベールのパラドックスについても考察する。計算機を利用して作成した流れの図を多く紹介する。 6.1 非圧縮渦なしの流れ 6.2 速度ポテンシァル 6.3 2次元のポテンシァル流れと流れ関数 |
第11回 | 6.4 複素速度ポテンシァル 6.5 複素速度ポテンシァルの表す流れ |
第12回 | 6.6 渦と循環 6.7 円柱を過ぎる流れ 6.8 回転円柱を過ぎる流れ 6.9 揚力と効力 |
第13回 | 7.粘性流体の力学 完全流体に対して、粘性が無視できない場合、すなわち現実の流体における場合の流れについて調べる。粘性を考慮した運動方程式ナビエ・ストークスの方程式について詳しく説明する。 7.1 完全流体の破綻 7.2 粘性による力 |
第14回 | 7.3 ナビエ・ストークスの方程式 7.4 レイノルズ数 |
第15回 | 8.計算流体力学の概観 実際の応用にあたっては、かなり理想化された問題であっても解析解を得ることは困難なため、多くは数値計算にたよることになる。支配している非線形偏微分方程式を数値的に解く数値計算流体力学について簡単に説明する。偏微分方程式の理論的扱いと数値解法の多くは、4年生および大学院のレベルになるので、簡単な説明に留める。 |
その他
教科書 |
特に定めないが、演習問題等をのせたプリント「流体力学ノート」を毎回配布する。
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参考書 |
第1回の授業時に上記「流体力学ノート」において詳しく紹介する。
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成績評価の方法 及び基準 |
定期試験による。配布されるプリント「流体力学ノート」の問題等をよく勉強しておくとよい。 |
質問への対応 | 研究室:御茶ノ水校舎(旧法科大学院棟)10階 C1006室に来るか、簡単なことならメールでもよい。 質問等の時間:基本的に午後、メールで問い合わせていただくのが確実です。 |
研究室又は 連絡先 |
研究室:御茶ノ水校舎(旧法科大学院棟)10階 C1006室 E-mail: aizawa@phys.cst.nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 14:00 ~ 18:00
木曜 駿河台 14:00 ~ 18:00
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学生への メッセージ |
流体力学は最も身近な物理のひとつです。身近な現象の再認識に驚くことが多いと思います。配布の演習問題をぜひ解いてみてください。とにかく手を動かしてみることが大切です。最終回には略解も配布予定です。 |