2015年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 |
文学
スポーツ少女マンガ・スポーツ小説を読むー少女たちの〈身体〉と〈つながり〉
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 |
担当者 | 押山 美知子 | 履修期 | 前期 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜3 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | R23C R23W |
クラス |
概要
学修到達目標 | 1.テクストをジェンダー批評の観点から分析・考察し、言語化することができる。 2.スポーツ少女マンガ及びスポーツ小説における女性・少女表象について見解を持つことができる。 3.女性作家の手によるスポーツものの歴史的変遷を把握し、その存在意義や将来的な可能性について考えを深める。 |
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授業形態及び 授業方法 |
2020年東京オリンピックの開催が決定した。日本では前回1964年大会開催時に、所謂「スポ根」マンガブームが巻き起こり、その後スポーツものは、少年マンガや青年マンガの人気ジャンルとして定着した。一方、少女マンガのスポーツものは、八〇年代までは話題作人気作が出ていたものの、九〇年代以降から陰りが見えだし、現在ではあまり描かれなくなったと言えるだろう。それとは対照的に九〇年代以降は、ヤングアダルト(YA)系小説でスポーツものが増え、近年その勢いは高まる傾向が見られる。本講義では、六〇年代から九〇年代までのスポーツ少女マンガと九〇年代以降のヤングアダルト系スポーツ小説を取り上げ、スポーツをする少女たちの表象、特にその〈身体〉と同性間異性間の〈つながり〉の描写に着目しながら、スポーツをする少女がどのような存在として描き出されているのかジェンダー批評の観点から考察する。少女向けメデイアとスポーツの関係性についても考えたい。 |
履修条件 | 学内外の図書館などを利用して参考文献を積極的に読み、スポーツ関連の研究書、マンガ研究、少女文化論、ジェンダー論の先行研究に触れるようにする。ジェンダー批評はセクシュアリティの問題を含むため、作品によっては性愛描写、エロティシズム分析を行う。その点を踏まえた上で履修選択をすること。文化教養サブメジャー・コース設置科目 |
授業計画
第1回 | 講義の概要と目的の説明・取扱い作品の紹介 講義内容及び進め方について説明し、スポーツと少女・女性の関係について概論する。 |
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第2回 | 浦野千賀子『アタックNo.1』 スポ根少女マンガの代表作である本作のヒロイン像及びバレーの位置付けを考える。 |
第3回 | 神保史郎・望月あきら『サインはV!』 ヒロイン像及びバレーの描かれ方について『アタックNO.1』と比較検討する。 |
第4回 | 志賀公江『スマッシュをきめろ!』 ライバル関係に描かれる本作の姉妹の表象について考察する。 |
第5回 | 山本鈴美香『エースをねらえ!』 スポ根少女マンガの代表作である本作のヒロイン像及びコーチとの関係性を考える。 |
第6回 | 牧村さとる『愛のアランフェス』 スポーツする少女と異性の関係性、その恋愛表象について考える。 |
第7回 | 高橋由佳里『なみだの陸上部』 スポーツする少女の身体表象について考える。 |
第8回 | 麻生いずみ『光の伝説』 自己表現としてのスポーツ及び求められる女性性について考える。 |
第9回 | 川原泉『銀のロマンティック・・・わはは』 スポーツ少女マンガをパロディ化することについて、その表象について考える。 |
第10回 | 野妻まゆみ『おんな甲子園!』 八〇年代におけるスポーツ少女マンガの特徴について考える。 |
第11回 | 藤田和子『真コール!』 九〇年代におけるスポーツ少女マンガの特徴について考える。 |
第12回 | 佐藤多佳子『ハンサム・ガール』 少女と野球の描かれ方について『おんな甲子園!』と比較検討する。 |
第13回 | 敷村良子『がんばっていきまっしょい』 スポーツにおける女性同士の繋がりの描き方について考察する。 |
第14回 | 小野綾子『女子高柔道部物語』 女子高柔道部の部員たちの描き分けについてジェンダー批評の観点から考察する。 |
第15回 | まとめ及び平常試験 学習内容の総まとめとなる試験を行い、授業内容への理解度を確認する。 |
その他
教科書 | |
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参考書 |
米沢嘉博 『『戦後少女マンガ史』』 筑摩書房(ちくま文庫) 2007年
米沢嘉博 『『戦後野球マンガ史 手塚治虫のいない風景』』 平凡社(平凡社新書154) 2002年
高井昌吏 『『女子マネージャーの誕生とメディア―スポーツ文化におけるジェンダー形成』』 ミネルヴァ書房 2005年
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成績評価の方法 及び基準 |
平常試験:授業を踏まえた上で作品を深く読み込んでいるか、独自の観点から問題提起ができているか、考察が論理的且つ説得力のある文章で書かれているかの3点から評価する。(60%) 小テスト:授業内に1回の小テストを実施する(時期は授業時に告知)。講義内容の理解度を見る。(30%) 作品アンケート:毎回取り上げる作品に対する意見や感想を募集する。作品に対して独自の見解が述べられているかで評価する。(10%) |
質問への対応 | 講義後に教室で受け付ける |
研究室又は 連絡先 |
yobato315@gmail.com |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
スポーツものを切り口に〈女性〉や〈少女〉について考えてみましょう。小説とマンガは共に「読む」ものですが、表現方法が異なるため分析のアプローチも若干異なります。小説とマンガを「読む」こと、その違いについても考えてみましょう。 |