2015年 大学院理工学研究科 シラバス - 土木工学専攻
設置情報
科目名 |
土質力学特論Ⅵ
(地盤と地下水)
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設置学科 | 土木工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 中川 加明一郎 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜4 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | A54A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 多雨多湿な我が国では、各種土木構造物が構築される地盤・岩盤の安定性評価や各種対策を的確に行ううえで、地下水の存在を無視できない場合がほとんどである。この講義では、工学的な観点から地盤・岩盤の成り立ちや変遷を知ることも含め、地下水の関わる諸問題に対処しうる素養を身につけることを目指す。 |
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授業形態及び 授業方法 |
授業は講義形式で行う。特に決められた教科書を用いることはしない。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
特になし。 |
授業計画
第1回 | 地下水問題概説: まず、地下水の概念を解説する。地下水の価値、用途等、人間生活との関わりを論じる。また地下水を取り巻く諸問題についても概観する。 |
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第2回 | 我が国の地下水を論じる上での基礎知識:まず、日本列島の特色を地球物理学的な観点から概観する。地質時代区分について概説する。地形的な特徴についても述べる。 |
第3回 | 地下水の存在する、地殻を構成する材料の考察:火成岩、堆積岩、未固結堆積物といった岩盤、地盤の構成要素の分類、変成作用や変質、風化といった変遷について概説する。 |
第4回 | 地下水の基礎概念の水循環としての考察:岩盤・地盤の間隙を流動する地下水の特徴を水理地質学的観点から概説する。 |
第5回 | 地下水挙動の数理的な表現:飽和・不飽和状態まで含んだ地下水挙動を表現する基礎式を考察する。 |
第6回 | 地下水および水理地質調査の概説:従来より資源探査を目的として地下内部の様子を推定するために開発されてきた物理探査法の、地下水調査への適用を考察する。 |
第7回 | 地下水調査・試験と地下水流動モデル化の概説:循環する地下水の通り道の特性や地下水の履歴情報を得るための、地下水調査・試験法について理解を深める。 |
第8回 | 地下水の水質:地下水利用にあたって重要な要素である、地下水の水質について論じる。まずその基礎となる水の特性について述べ、地下水の化学的変化を考察する。必要な地下水水質の表示方法を検討する。 |
第9回 | 土木構造物建設における地下水問題の事例検討:ここではトンネル掘削における安定性評価や周辺への影響評価の基本について論じる。 |
第10回 | 地下水を利用したエネルギー地下貯蔵施設:石油地下備蓄や圧縮空気貯蔵といった地下水を利用したエネルギー地下貯蔵施設について概説する。このような施設設計に要求される土木地質条件、地下水条件、課題等を考察する。 |
第11回 | 将来技術と地下水と題し放射性廃棄物(HLW)の地層処分:超長期の安定性評価が必要となるHLWの地層処分における、地質・地下水調査と評価の方法を考察する。 |
第12回 | 地下水と将来技術として二酸化炭素(CO2)地中貯留:地球温暖化の主要な原因であるCO2を地下深部の帯水層へ閉じ込めてしまうという、CO2地中貯留における地下水に関わる課題を探る。 |
第13回 | 地下水を巡る問題として地盤沈下:地下水利用の結果として地盤沈下を引き起こすメカニズムを考察し、対策を論じる |
第14回 | 地下水を巡る問題として地下水汚染:我々の活動が地下水利用に大きく依存する一方、地下水汚染が深刻な問題となっている。問題の解説と地下水汚染への対応策をあわせて検討する。 |
第15回 | 平常試験とその解説 |
その他
教科書 | |
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
日本地下水学会, 井田徹治 『見えない巨大水脈 地下水の科学』 ブルーバックス B-1639 講談社 2009年
Steven E. Ingebritsen, Ward E. Sanford, Christopher E. Neuzil, Groundwater in Geologic Processes, Cambridge University Press, 2006, 2 edition
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成績評価の方法 及び基準 |
理解度確認期間(第15回)に実施する平常試験で評価する. |
質問への対応 | 授業後あるいはE-mailで受け付ける |
研究室又は 連絡先 |
k.nakagawa@asahi-net.email.ne.jp または k.nakagawa@diaconsult.co.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |