2015年 大学院理工学研究科 シラバス - 電気工学専攻
設置情報
科目名 | レーザ工学 | ||
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設置学科 | 電気工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 鈴木 薫 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜3 月曜6 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | H13A H16B |
クラス |
概要
学修到達目標 | レーザは1953年Towns, Schawlowにより開発された「誘導放出による光増幅:Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」の頭文字から命名されもので、単色性や指向性・干渉性・高エネルギー密度などの特長により,光通信や計測・加工・医療など幅広い分野において応用されている。特に黒体放射や誘導放出・反転分布・増幅など量子光学の基礎概念を用いると同時に、レーザ光の応用を身近な例から理解し活用できるように講義する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
配布する講義資料や参考書で予習してきていることを前提として、毎回に設定された題目について輪講形式で行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
なし。オプトロニクスの知識があれば理解は早い。 |
授業計画
第1回 | レーザ工学の概略と体系的な特徴を歴史的な経緯や理論的な考え方などについてまとめ、レーザの基礎と応用に関する導入として講義する。 |
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第2回 | 黒体放射:物質が加熱されると光を放射する現象を熱放射といい,物質固有の線スペクトルと連続スペクトルが観測される。温度に依存する連続スペクトルのみを放射する理想物質を黒体といい,そのような物質の熱放射を黒体放射と呼ぶ。Raileigh-Jeansの式やWienの式及びPlanckの式について概略を講義する。 |
第3回 | 誘導放出:光が照射されることにより,上準位から下準位への遷移がおき,光が放出されることを誘導放出という。誘導放出を利用して光の増幅・発振を行う装置がレーザで,Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字から命名されもので,これについて講義する。 |
第4回 | 反転分布:上準位にある粒子の密度は下準位にある粒子の密度よりも小さいことが一般的であり,平衡状態では吸収される光のパワーの方が放出されるパワーよりも大きく,光は減衰する。もし何らかの方法で上準位の粒子密度が下準位の粒子密度よりも大きい反転分布状態とすることが出来れば光は増幅されることになり,これについて講義する。 |
第5回 | 放射スペクトル:光の放射時における振動数を古典論的振動モデルから求め,Lorentz形関数で与えられるスペクトルの均一拡がりについて述べる。また気体分子の熱運動に基づくドップラー効果などによって生じるGauss形関数で与えられるスペクトルの不均一拡がりについても講義する。 |
第6回 | 増幅:ある振動数の単色光が反転分布した媒質中に存在した場合,単位断面積で考えて,光が微小区間を進む間の誘導放出による正味のエネルギー増加を増幅率と考え,これについて講義する。 |
第7回 | 利得の飽和:反転分布を形成するためには下準位原子を上準位へ励起する必要があり,これをPumpingという。上準位密度と下準位密度および光子密度それぞれの時間変化を,各準位間の遷移確率を用いて表したものをレート方程式といい,これにより利得の飽和現象を考察する。 |
第8回 | 発振:増幅作用があれば,適当なフィードバック機構によって発振させることが可能である。レーザにおいては,光を2枚の平行平面ミラーで反射させ,その間に反転分布した媒質を入れることにより発振が起こる現象を講義する。 |
第9回 | 共振器:レーザにおいて共振器は2枚の反射鏡で構成されるが,この共振器の特性である横モードと縦モードについて講義する。 |
第10回 | エネルギー準位:反転分布を形成する方法として,核外電子の持つ電子エネルギーと分子の振動準位および回転準位による分子エネルギーについて講義する。 |
第11回 | レーザ各論:レーザは,主として媒質とポンピング方法により分類され,発振形態と波長が異なる。媒質としては,気体レーザ・液体レーザ・固体レーザ・半導体レーザを例にとり励起方法について講義する。また、自由電子レーザなどの最新の技術についても概説する。 |
第12回 | レーザ光の特徴:レーザ光の特徴である単色性・指向性・高輝度性などは可干渉性(Coherence)に基づいているため,これについて講義する。また、近接場光や非線形光学効果などについても概説する。 |
第13回 | レーザ光の通信や計測への応用:レーザ光の応用は単色性や指向性・干渉性・高エネルギー密度などの利用が挙げられる。光通信や計測など具体例をあげて講義する。 |
第14回 | レーザ光の加工や医療への応用:レーザ光の応用は単色性や指向性・干渉性・高エネルギー密度などの利用が挙げられる。レーザ加工・医療応用など具体例をあげて講義する。 |
第15回 | レーザ工学の体系的な特徴や理論的な考え方および基礎と応用に関する演習、課題の設定(レポートの提出日は別に設ける。)などを行い、講義の総括を行う。 |
その他
教科書 |
『プリント』
講義資料を配布する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
A. YARIV著、多田・神谷共訳 『光エレクトロニクスの基礎』 丸善 1988年 第3版
電気学会次世代レーザプロセシングとその産業応用調査専門委員会 『最新レーザプロセシングの基礎と産業応用』 オーム社 2007年 第1版
この他に沢山の参考書が出版されているので自由に選択して下さい。
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成績評価の方法 及び基準 |
提出されたレポートの内容:50%と口頭試問:50% |
質問への対応 | 随時質問可能、講義の後は電子メール |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎8号館811号室, Tel : 03-3259-0770, E-mail : suzuki.kaoru@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
水曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
金曜 駿河台 18:20 ~ 19:50
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学生への メッセージ |
輪講により自己啓発的な学習方法とプレゼンテーション能力を養って頂きたい。 |