2015年 大学院理工学研究科 シラバス - 電気工学専攻
設置情報
科目名 | 放電物理 | ||
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設置学科 | 電気工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 鈴木 薫 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜5 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | H55A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 放電現象は電気集塵器やエンジンの点火プラグ・蛍光灯・アーク溶接・放電加工・薄膜形成・表面改質等広い分野に亘って応用され、直流から高周波・マイクロ波・レーザ光など様々なパワーソースが用いられている。将来放電を利用するさらに新しい機器や加工方法の考案に必要な基礎知識を習得することを目標として、放電理論の考え方や実験方法について講義する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
配布する講義資料や参考書で予習してきていることを前提として、毎回に設定された題目について輪講形式で行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
学部で「放電プラズマ工学」を履修していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 気中放電:気中放電過程の火花放電・グロー放電・アーク放電・コロナ放電などの概要について述べる。 |
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第2回 | 気中放電過程:気中放電は気体の種類・圧力や温度・印加される電圧の波形や極性及び大きさ・電極の形やギャップ長などによって多様に変化するため、これらを考慮した放電過程について述べる。 |
第3回 | 気中放電のシミュレーション:気中放電のシミュレーションは大気の条件や電極形状および印加電圧などの条件が与えられたときに、スパークオーバ電圧や時間さらにスパークオーバにいたるまでの放電物理量を予測することであり、絶縁破壊過程を追求するモデルについて述べる。 |
第4回 | 電子雪崩のモンテカルロシミュレーション:電子は気体を構成する原子や分子を電離して放電の進展・形成・維持に寄与するほか、励起原子・分子の生成・分子の解離によるラジカルの生成・正イオンとの再結合など、放電の性質を決定する過程に寄与するため、電子の集団の性質をモンテカルロ法で明らかにする方法について述べる。 |
第5回 | 電子軌道の決定:放電中の電子は①電界による力;なめらかな軌道;②原子・分子との衝突による力;突然折れ曲がる;を受けて運動し、この繰り返しでできている電子軌道のシミュレーションについて述べる。 |
第6回 | 輸送係数のサンプリング:個々の電子の運動から、多数の電子の集団である電子なだれの輸送係数あるいはスオームパラメータを求める方法について述べる。 |
第7回 | ストリーマのシミュレーション:高気圧長ギャップ放電や不平等電界中の放電過程であるストリーマやリーダの物理特性やシミュレーションモデルについて述べる。 |
第8回 | 平等電界中のストリーマ:平行平板ギャップにおけるストリーマ進展のモデルとして、放電プラズマ内の電子やイオンの個々における運動に基づく粒子モデルと、それら粒子の集団的な流れに着目した流体モデルについて述べる。 |
第9回 | 不平等電界中のストリーマ:不平等電界中のストリーマに関する物理モデルとして実験結果が説明できる、正ストリーマを対象としたモデルについて述べる。 |
第10回 | 高周波放電のシミュレーション:容量結合型および誘導結合型リアクターで励起される高周波放電プラズマはプラズマ化学的気相堆積法やエッチングなどのプラズマプロセスに利用されており、これらのシミュレーション技法について述べる。 |
第11回 | 高周波放電のモデリングと数値計算法:高周波放電プラズマの構造をシミュレーションするには連続体モデルと粒子モデルがあり、これらについて述べる。 |
第12回 | マイクロ波放電:マイクロ波領域の電磁波による放電現象のモデルである拡散理論について述べる。 |
第13回 | 逆制動放射による光電離:自由電子が光子を吸収する際にエネルギー保存則が満たされて加速し、原子の励起エネルギーに達すると衝突励起を行い、カスケード過程で電離に到る現象について詳述する。 |
第14回 | 多光子吸収による光電離:一つの原子や分子が多光子吸収により励起状態に遷移し、さらに多光子吸収により電離し、ついに放電に到る機構について詳述する。 |
第15回 | 放電物理の体系的な特徴や理論的な考え方および基礎と応用に関する演習や課題の設定(レポートの提出日は別に設ける。)などを行い、講義の総括を行う。 |
その他
教科書 |
講義資料を配布する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
電気学会 『放電ハンドブック』 オーム社 1999年 第2版
升谷孝也、中田順治 『高電圧工学』 コロナ社 2010年 第12版
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成績評価の方法 及び基準 |
提出されたレポートの内容:50%と口頭試問:50% |
質問への対応 | 随時質問可能、講義の後は電子メール |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎8号館811号室,Tel : 03-3259-0770, E-mail : suzuki.kaoru@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
水曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
金曜 駿河台 18:20 ~ 19:50
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学生への メッセージ |
輪講により自己啓発的な学習方法とプレゼンテーション能力を養って頂きたい。 |