2015年 大学院理工学研究科 シラバス - 物理学専攻
設置情報
科目名 |
場の理論特論Ⅰ
場の理論の基礎を学ぶ
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設置学科 | 物理学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 出口 真一 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | L23A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 物理学および量子理工学を専攻する上で重要となる、正準量子化によるオーソドックスな場の量子論を紹介する。初めにスカラー場の量子化を解説し、それを基にスピノール場と電磁場の量子化を説明する。また、簡単な摂動計算についても述べる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
あらかじめ公開した講義ノートをもとに、スライドと板書を用いて講義を行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
準備学習として、次回の講義で予定される項目を把握し、講義ノートの内容をよく読んでわからない箇所をまとめておく。予備知識として、力学、量子力学、電磁気学の初歩的知識を必要とする。 |
授業計画
第1回 | 場の理論を学ぶための準備 -特殊相対論、Lorentz変換、Lorentz群、ベクトル・スカラー・テンソルの各量、場の概念について復習する。 |
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第2回 | スカラー場の古典論 -スカラー場の古典力学、Klein-Gordon方程式とその解、実スカラー場の解析力学を説明する。 |
第3回 | 保存則 -実スカラー場の作用をもとにNoetherの定理を証明し、エネルギー・運動量保存則を導く。 |
第4回 | 実スカラー場の正準形式 -実スカラー場の正準形式 (Hamilton形式)を解説する。 |
第5回 | 複素スカラー場の古典論 -複素スカラー場の解析力学を説明した後、複素スカラー場の位相変換と電荷の保存則の関連を述べる。 |
第6回 | Dirac場の古典力学 -実際にDirac方程式を解き、得られた解の性質を説明する。また、幾つかの公式を導出する。 |
第7回 | Dirac場の解析力学 -Dirac場の正準形式 (Hamilton形式)を解説する。また、Dirac場の位相変換を考察し、電荷の保存則を導く。 |
第8回 | 実スカラー場の量子化 -実スカラー場の正準形式を基に、実スカラー場の量子化を論じる。また、1次元調和振動子の量子化法を復習する。 |
第9回 | 実スカラー場のSchroedinger方程式 -実スカラー粒子のエネルギー固有値問題を考察する。また、多粒子系のSchroedinger方程式を導く。特に多粒子状態の波動関数に注目し、その性質について述べる。 |
第10回 | 複素スカラー場の量子化 -複素スカラー場の正準形式を基に、複素スカラー場の量子化を論じる。特に粒子と反粒子について解説する。 |
第11回 | Dirac場の量子化 -反交換関係に従う生成・消滅演算子を説明した後、Dirac場の量子化を論じる。また、Pauliの排他律と統計性について考察する。 |
第12回 | 場の理論の共変的記述 -実スカラー場を例にとり、その4次元交換関係と不変デルタ関数を導く。 |
第13回 | 伝播関数 -実スカラー場の伝播関数とグリーン関数、複素スカラー場の4次元交換関係とFeynman伝播関数などについて解説する。 |
第14回 | 電磁場の古典論 -電磁気学におけるゲージ場に注目し、局所位相変換とゲージ場、ゲージ場の運動項など、電磁場の古典論について復習する。 |
第15回 | 電磁場の量子化 -電磁場の量子化で必要となるゲージ固定を説明する。実際に電磁場の量子化を行うことで、光子の概念が現れることを示す。 |
その他
教科書 |
特に指定の教科書はない。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
F. Mandl and G. Shaw, Quantum Field Theory, A Wiley Interscience Publication, 1993, 2 edition
日置善郎 『場の量子論』 吉岡書店 2005年 第2版
武田暁 『場の理論』 物理学選書21 裳華房 1992年 第2版
九後太一郎 『ゲージ場の量子論Ⅰ』 新物理学シリーズ23 培風館 1989年 第1版
藤川和男 『ゲージ場の理論』 現代物理学叢書 岩波書店 2001年 第1版
I J R Aitchison, Gauge Theories in Particle Physics, Graduate Student Series in Physics, A J G Hey, 2004, 3 edition
参考書のいずれか1つで授業内容のすべてをカバーしているわけではない.あくまでも授業の一部を補足する参考書として考えてほしい.
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成績評価の方法 及び基準 |
期末に提出するレポートの内容、出席状況、授業における質問などの積極性を考慮して成績を評価する。 |
質問への対応 | 基本的には、各週の授業終了後を質問の時間とする。授業終了後に時間が取れないときは、代わりの時間を設ける。 |
研究室又は 連絡先 |
研究室: (出口)453A号室 E-mail: deguchi@phys.cst.nihon-u.ac.jp TEL: 03-3259-0867 |
オフィスアワー |
火曜 駿河台 12:00 ~ 13:00 4号館5階453A室
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学生への メッセージ |
場の理論特論Iでは場の正準量子化を講義し、場の理論特論Ⅱでは藤川先生に場の経路積分量子化を講義していただく予定です。 |