2015年 大学院理工学研究科 シラバス - 不動産科学専攻
設置情報
科目名 | 不動産法律特論Ⅰ | ||
---|---|---|---|
設置学科 | 不動産科学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 上原 由起夫 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜5 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | N15A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 不動産に関する法律を体系的に理解するために、土地所有権を制約しているそれぞれの法律 を検討することにより、土地所有権がどのように変容しているかを明らかにする。公法・私法を融合して理解することにより、不動産法の全貌をつかめるようにするのが目標である。この講義では、新たな21世紀の土地所有権論を提示したいと考える。 |
---|---|
授業形態及び 授業方法 |
双方向・多方向で受講者全員が議論に参加する。教員の独演会ではない。毎回のテーマにつ いて徹底的に掘り下げ、理解を深めていきたい。 授業終了後には、復習(振り返り)を行うこと。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
1 日本語の読解力。要するに高等学校までの現代文の理解があること。留学生については、配慮する。 2 大学院なので、受講者が必ずしも理工学部出身者ではないことも考慮に入れるが、大学の教養科目を学ん できたことは前提とする。 3 準備学習としては、毎回、シラバスの「授業計画」の内容を確認の上、授業に臨むことが要求される。 |
授業計画
第1回 | 日本の土地政策と不動産法の関係について 田中角栄首相の唱えた日本列島改造論による地価高騰、土地神話によるバブルとその崩壊及び失われた?年、サブプライムローン問題、リーマンシヨック、ギリシャ危機とたてつづけに起こった世界不況への道程の中、ついに政権交代で日本は救われた。安倍内閣は期待通りの成果をあげている。東京オリンピックを目標に、景気の回復により、不動産分野も忙しくなる。不動産の時代が再来したのであるから、これを契機に、プライドをもって不動産科学の学修にしっかり取り組んでもらいたい。 |
---|---|
第2回 | 土地・建物の取引とは何か 第1回の授業で理解したように、不動産取引は、経済動向によって大きく左右されるのだが、取引に関する判例・学説は遅れて発展することに注意してもらいたい。取引の沈静化による不動産業者の倒産も当然のように起きたのだが、そこには金融の罠があることについて問題提起をしたい。不動産法は金融法である。 |
第3回 | 取引の当事者(自然人・法人) 自立して取引ができない人を保護する制限行為能力の制度について学ぶ。自然人というのは、生きている人間のことであるが、法人との対比のための法律用語であり、翻訳である。ここで、法人という概念についても理解を深める。公益法人改革も取り上げる。かつての公益法人が公益認定を受けられるかが大きな問題となっていたが、甘い認定となった。 |
第4回 | 法律行為=契約について 契約は、取引の基本であるから、ここで法律概念としてしっかり身に着けてもらい、意思表示との関係を学習する。あわせて行政行為という概念についても取り上げたい(公法と私法の考え方について)。 |
第5回 | 代理 無権代理・表見代理とは何かを知ることにより、代理という重要な法律概念を理解してもらうことにする。代理の概念は、あらゆる法律分野で基本となる。 |
第6回 | 契約をめぐる紛争の解決 契約を守らないと債務不履行ということで、強制執行や契約解除・損害賠償の問題となるが、売主の担保責任や不法行為についてもここで取り上げる。 |
第7回 | 土地の利用権 借地権について考察するが、その応用として、事業用借地権の改正と定期借地権の問題を取り扱う。 |
第8回 | 建物の利用権 借家権について考察するが、正当事由制度及び定期借家制度の見直しについても検討したい。 |
第9回 | 不動産登記 登記制度の基本を学んだ上で、「筆界特定制度と筆界確定訴訟」について検討を加える。 |
第10回 | 区分所有権 特に今日、大問題となっているマンションの建替えについて、その阻害要因である抵当権者と借家人の問題を検討する。区分所有権の解消についてもここで扱う。 |
第11回 | 不動産の担保(抵当権、譲渡担保、仮登記担保)の基本を理解した上で、競売の問題点を考察し、民間競売の必要性を考える。 |
第12回 | 法令上の制限(1)都市計画法・建築基準法 とくに紛争となった裁判例について検討を加える。その前提として、行政法の基本的な考え方を解説する。 |
第13回 | 法令上の制限(2)景観法・土壌汚染対策法 新しい法律であるが、不動産に大きなかかわりを持つ領域であり、環境法という視点から考察したい。 |
第14回 | 不動産業と宅地建物取引業法 宅地建物取引士の役割と、重要事項説明について検討する。不動産科学専攻の院生は、宅地建物取引士の資格を有することは必須である。 |
第15回 | 不動産の証券化 不動産法は金融法であるという命題を再確認してもらうことになる。なお、平常試験及びその解説もまとめとして行う。 |
その他
教科書 |
国土交通省不動産業課監修 『宅地建物取引の知識 平成27年版』 住宅新報社 2015年 第52版
六法については開講時に指示する。教科書は、開講時には用意しなくてよい。
|
---|---|
参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
参考書については、毎回、紹介する。資料は随時、複写したものを用意する。
|
成績評価の方法 及び基準 |
授業での発言(20%)、平常試験(80%)による総合評価である。 |
質問への対応 | 授業中の質問も歓迎しているが、授業開始前、終了後にも教室で質問を受け付ける。メールも可。 |
研究室又は 連絡先 |
uehara@law.seikei.ac.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
毎回の授業を大切に。 |