2015年 大学院理工学研究科 シラバス - 不動産科学専攻
設置情報
科目名 | 不動産法律特論Ⅱ | ||
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設置学科 | 不動産科学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 上原 由起夫 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | N23B |
クラス |
概要
学修到達目標 | この講義は、不動産に関する民法とその特別法を対象として判例・学説を検討するのであり、いわゆる不動産私法に特化した講義となる。借地借家法については特に「借地借家法の変容」というテーマでくわしく扱うことにしたい。建物の区分所有等に関する法律も取り上げる。水準としては、不動産鑑定士の試験科目である「民法」の論文試験に対応できる内容とする。 なお、前期の「不動産法律特論Ⅰ」を受講していない者でも受講することができるので、安心して選択してほしい。 |
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授業形態及び 授業方法 |
双方向・多方向で受講者全員が議論に参加する。教員の独演会ではない。毎回のテーマについて徹底的に掘り下げ、理解を深めていきたい。授業終了後には、復習(振り返り)をすること。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
1 必ずしも「不動産法律特論Ⅰ」を履修済みでなくてもよい。 2 国語(日本語)の理解力があればよい。留学生については考慮するので心配しなくてよい。 3 準備学習の内容としては、シラバス記載の毎週の「授業計画」の内容を確認の上、授業に臨むこと。 |
授業計画
第1回 | 不動産私法の体系 民法と特別法の関係について解説する。民法を一般法とすると、借地借家法は特別法という関係になる。特別法は一般法に優先する。 |
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第2回 | 借地の問題点 借地借家法の中の、借地の部分について概観する。わが国の法制では、土地と建物は別個独立の不動産であるので、多くの国々のように、建物は土地に附合しない。そこで、借地が認められることになり、法定地上権のような複雑な制度が必要になることに注意が必要である。 |
第3回 | 定期借地権とは何か 借地法22条から24条に規定された定期借地権について、正当事由制度に縛られた普通借地権との差異を論ずる。 |
第4回 | 事業用定期借地権について 平成20年1月1日より施行されている事業用定期借地権について考察する。議員立法により改正されたものである。 |
第5回 | 自己借地権について 借地借家法15条に規定する自己借地権について、混同原則の例外として考察する。法定地上権との関連についても検討する。実体は、区分所有権に関連する規定である。 |
第6回 | 借家の問題点 借地借家法の中の、借家(建物賃貸借)の部分について概観する。敷金返還請求の少額訴訟(60万円)の利用の増加(本人訴訟)や、最近の家賃保証会社による違法な借家人追い出しなどの社会現象についても検討する。 |
第7回 | サブリース契約について 大手不動産会社が契約を守らないことを最高裁判所が認めてしまったという判例理論の問題点を検討したい。 |
第8回 | 定期借家制度について 正当事由制度に縛られない画期的制度であり、議員立法によって実現したものである。見直しの方向も含めて検討する。 |
第9回 | 災害と借地人・借家人 罹災都市借地借家臨時処理法が阪神・淡路大震災に果たした役割はどうであったか。その問題点及び法の廃止も含めて検討したい。東日本大震災では、この法律が施行されなかったことに注意されたい。昨年、この法律は廃止された。 |
第10回 | 高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正 高齢者居住安定確保計画の策定によるものである。老人ホームや介護問題についても言及する。終身建物賃貸借という画期的制度が根底にあることに注意。 |
第11回 | マンション法と区分所有権 建物の区分所有等に関する法律について概観する。建替えの問題についても議論を深めたい。「法と経済学」を理解する良い教材である。区分所有権の解消についても、ここで検討する。 |
第12回 | マンションの重要判例について 駐車場使用権など、具体的な紛争について最高裁判例を検討する。 |
第13回 | 土壌汚染の問題について 法的問題を考察し、最高裁判例を検討する。環境法への入門となる。 |
第14回 | 更新料と消費者契約法10条について 居住用借家の更新料特約については、関西地方において、有効判決と無効判決が対立していたが、平成23年7月15日、最高裁は更新料特約を有効とする判決を出した。反対の学説も踏まえて、検討を加える。 |
第15回 | 民法(債権法)改正問題について 法務省で着々と準備してきたが、ついに改正要綱が出ることになった。どこに問題があるのか、不動産法の観点から検討する。なお、「理解度確認期間」として、「平常試験及びその解説」を実施する。 |
その他
教科書 |
田山輝明・澤野順彦・野澤正充(編) 『新基本法コンメンタール 借地借家法』 日本評論社 2014年
教科書については、六法とともに開講時に説明するので、予め購入しておく必要はない。。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
吉田修平法律事務所 『最近の不動産の話』 金融財政事情研究会 2013年
参考書については、毎回、紹介する。
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成績評価の方法 及び基準 |
授業での報告(20%)、平常試験(80%)による総合評価で行う。試験は、定期試験期間ではなく、最後の授業時に実施する。 |
質問への対応 | 授業中の質問は大歓迎。授業開始前、授業終了後も教室で質問を受け付ける。なお、メールも可。 |
研究室又は 連絡先 |
uehara@law.seikei.ac.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
毎回の授業を大切に。 |