2015年 大学院理工学研究科 シラバス - 医療・福祉工学専攻
設置情報
科目名 | 感性工学特論 | ||
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設置学科 | 医療・福祉工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 田村 治美 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | P53A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 感性工学とは「人間の感性やイメージを物理的なデザイン要素に翻訳し、物作りや製品に生かすための設計技術」であり、情報学、生理学、心理学、脳科学、環境学、芸術学、社会学など、広域にわたる学際的学問である。本講義ではまず感性を生む諸器官の基礎知識及び生理的、心理的計測と解析方法を学ぶ。具体的な環境刺激例として、昨今研究が急速に進んでいる「音」に焦点をあて、その物理的特性、評価測定法を学ぶ。また、自らフィールドワークをおこない、環境や文化社会的背景と感性との関わりを考察する。さらに発展的なトピックとして、視覚と聴覚の関係やサウンドビジネスの実態、音・音楽と生態系(動植物、魚類)との関わりや、音の受容に関する最新の研究(脳科学、分子生物学)を紹介する。また、高齢化社会を見据えての音楽の役割、音環境の整備について考察を深める。以上により、工学、生理学、心理学、音楽療法などの多様な視点から音・音楽の意義と有用性を考察し、医療、福祉、環境、公共空間やものづくりへの応用力を育成する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
講義、ディスカッション、フィールドワークおよびプレゼンテイション。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
音・音楽について自分なりに興味を持つこと。 自分の身の周りにある音のデザインを意識し、評価すること。高齢化社会の音環境について、改善すべき点、新たに必要なサービスについて考察すること。 これらについて、第1回目の授業でデイスカッションしてから講義をはじめる。課題は必ず提出し、発表もおこなうこと。 |
授業計画
第1回 | 感性工学とは何か |
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第2回 | 感性を作るもの:アンケート |
第3回 | 音とは何か -物理的特性と測定法- |
第4回 | 聴覚のしくみと音・音楽の認知 |
第5回 | 感性の生理的評価法 |
第6回 | 感性の心理的測定法 |
第7回 | 日本の音文化に見られる音色の感受性の特徴 |
第8回 | 公共空間における音・音楽の役割 |
第9回 | 様々な製品における音・音楽の役割 |
第10回 | 音の印象を伝える-高齢化社会を見据える。ビジネスに生かす |
第11回 | 音・音楽と生態系 |
第12回 | 映像と音楽、視覚と聴覚の関係 |
第13回 | 音楽療法 |
第14回 | 音楽の効果に関する近年の研究の紹介 |
第15回 | 平常試験およびその解説 |
その他
教科書 |
毎回の授業で資料を配布します。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
日本音響学会 『新版 音響用語辞典』』 2003年 第3版
岩宮眞一郎 他 『音色の感性学』 コロナ社 2010年 第1版
岩宮眞一郎 『サイン音の科学ーメッセージを伝える音のデザイン論ー』 コロナ社 2012年 第1版
授業テーマに沿って、その都度紹介します。
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成績評価の方法 及び基準 |
宿題提出と発表(50%)、レポート提出(50%) |
質問への対応 | 授業の前後に受け付けるほか、メールでも可。 |
研究室又は 連絡先 |
haru79710@nifty.com 080-5449-1798 |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
私たちの周りには様々な音が存在します。その音環境は人間の快適性、健康など、生活に多くの影響を与えています。人間だけでなく、様々な生態系でも音は重要な役割をはたしています。また、私達は音への印象や快適度を測定し、評価し、情報処理を行ない、医療や公共空間や製品に反映させるなど、生活のなかで役立てることができます。音・音楽のビジネスとしての利用価値も着目されてきました。さらに高齢化社会にむけて、ハード面、ソフト面での音環境の整備や音楽作りが求められています。これらのスペックを基盤として音・音楽の奥深さや有効性を様々な視点から学び、体験したいと思います。楽しみに授業に臨んでいただきたいと思います。 |