2016年 理工学部 シラバス - 物理学科
設置情報
科目名 | 物理学特殊講義Ⅰ | ||
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設置学科 | 物理学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 高野 良紀 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M13R |
クラス |
概要
学修到達目標 | 物理学科に設置されている他の専門科目では、それぞれの科目の全般的な内容を、ある程度網羅的に学習する必要があるため、その中のひとつひとつの項目に長い時間をかけることができない。一方、3年次後期に設置されている「物理学プロジェクト実験」では、ひとつのテーマについて半年をかけて実験する予定になっている。本講義はこれの講義版のようなものを想定し、1つないし2つのテーマに絞って講義を行う。本年度は、水素類似原子中の電子について考察する。その際に必要な数学の基本的な事項、特殊関数(ルジャンドルの(陪)多項式、ラゲールの(陪)多項式)の性質や結果として得られる波動関数から導かれる基本的な物理量について詳しく学習する。また、時間に余裕があれば、異なる特殊関数(エルミートの多項式)の応用例として量子力学的な1次元調和振動子についても触れる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
板書による講義形式。必要に応じてプロジェクターを用いる。 |
履修条件 | 量子力学I,物理数学IおよびIIを履修していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 数学的準備 (水素類似原子のシュレディンガー方程式。極座標系のラプラシアンの導出。) |
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第2回 | 球面調和関数1 (φ方向の解。補間多項式とθ方向の方程式がルジャンドルの陪方程式になる理由(1)。) |
第3回 | 球面調和関数2 (補間多項式とθ方向の方程式がルジャンドルの陪方程式になる理由(2)。) |
第4回 | 球面調和関数3 (ルジャンドルの方程式。ルジャンドルの多項式とロドリーグの公式。母関数。) |
第5回 | 球面調和関数4 (ルジャンドルの陪方程式。ルジャンドルの陪多項式とロドリーグの公式。) |
第6回 | 球面調和関数5 (ルジャンドルの陪多項式の規格直交条件。球面調和関数としての表現。) |
第7回 | 超幾何関数(ガウスの超幾何関数。合流型超幾何関数。) |
第8回 | lとmの意味1 (軌道角運動量演算子の極座標表示。) |
第9回 | lとmの意味2 (昇降演算子。固有関数としての球面調和関数と固有値。) |
第10回 | 動径波動関数1 (動径方向のシュレディンガー方程式の無次元化。補間多項式としてのラゲールの陪多項式。) |
第11回 | 動径波動関数2 (ラゲールの方程式。ラゲールの多項式とロドリーグの公式。母関数。) |
第12回 | 動径波動関数3 (ラゲールの陪方程式。ラゲールの陪多項式とロドリーグの公式。母関数。無次元化した動径波動関数の規格化条件。) |
第13回 | 水素類似原子の波動関数1 (水素類似原子の波動関数。代表的な軌道半径rのベキ乗の平均。) |
第14回 | 水素類似原子の波動関数2 (動径分布関数。水素原子のエネルギー準位とスペクトル。ビリアル定理。) |
第15回 | 多電子原子 (ハートリー近似とハートリー・フォック近似。多電子原子のエネルギー準位。) |
その他
教科書 | |
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参考書 |
P. T. Matthews, (藤井昭彦 訳) 『初等量子力学』 培風館
A. Yariv, (野村 昭一郎 訳) 『量子力学の基礎と応用』 啓学出版
桂 重俊, 井上 真 『量子力学演習 』 理工学講座 東京電機大学出版局
時弘哲治 『工学における特殊関数』 工系数学講座 共立出版
量子力学I、量子力学IIおよび量子力学演習の参考書でもよい。
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成績評価の方法 及び基準 |
自筆のノート提出(80%)、レポート(20%) |
質問への対応 | |
研究室又は 連絡先 |
7号館1階711D室。メールアドレスなどは初回の講義のときに伝えます。 |
オフィスアワー |
火曜 駿河台 12:10 ~ 13:20
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学生への メッセージ |
量子力学は微視的な世界を記述する理論体系です。原子の中の電子はその代表であるといっていいでしょう。じっくり考えていきましょう。講義の進み具合に応じて、シラバス通りにならない可能性がありますが、その場合には講義の中で、事前に連絡します。 |