2016年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 |
文学
少女小説及び少女マンガにみる少女/女性同士の関係性
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 |
担当者 | 押山 美知子 | 履修期 | 前期 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜3 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | R23C R23W |
クラス |
概要
学修到達目標 | 1.テクストをジェンダー批評の観点から分析・考察し、言語化することができる。 2.日本の少女小説及び少女マンガにおいて女性作家が少女/女性同士の関係性をどのように表現したのか見解を持つことができる。 3.少女/女性同士の関係性のあり方について認識を深める。 |
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授業形態及び 授業方法 |
2013年に公開され、全世界で大ヒットを記録した『アナと雪の女王』は、ディズニー映画史上初のWヒロイン作品として注目を集めたが、2014年にスタジオジブリが制作した『思い出のマーニー』及びNHKの連続テレビ小説『花子とアン』でもWヒロインが登場し、その共通性が一部で話題となった。 2016年3月現在、放送中のNHK連続テレビ小説『あさが来た』でも、主人公のあさと姉のはつの人生が対照的に描き出されている。 翻って日本の少女小説及び少女マンガは、少女/女性間の関係性をどのように描いてきたのだろうか。本講義では、大正期から現代に至るまでの、少女小説及び少女マンガ作品から、友情もしくは「S(エス)」や「百合」、「レズビアン」と称される関係性までをも含め、少女/女性間の濃密な関係性を描いた作品を取り上げ、異性間及び男性間の関係性に比して焦点化され難い少女/女性間の関係性について、ジェンダー批評の観点から表象分析を行う。 |
履修条件 | 学内外の図書館などを利用して参考文献を積極的に読み、近現代女性文学の研究、マンガ研究、少女文化論、セクシュアリティ・ジェンダー論の先行研究に触れるようにする。ジェンダー批評はセクシュアリティの問題を含むため、作品によっては性愛描写、エロティシズム分析を行う。その点を踏まえた上で履修選択をすること。 文化教養サブメジャー・コース設置科目 |
授業計画
第1回 | 講義の概要と目的の説明・取扱い作品の紹介 講義内容及び進め方について説明し、少女小説及び少女マンガにおける少女/女性同士の関係性について概論する。 |
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第2回 | 吉屋信子『屋根裏の二處女』 「S」(エス)と呼ばれる大正期の女学生同士の関係性について学ぶ |
第3回 | 吉屋信子・小沢真理『花物語』 大正期の少女小説における少女同士の関係性について考察する |
第4回 | 川端康成『乙女の港』 昭和初期の少女小説における女学生同士の関係性について考察する |
第5回 | 一条ゆかり『摩耶の葬列』 七〇年代少女マンガにおける〈レズビアンもの〉について学ぶ |
第6回 | 池田理代子『おにいさまへ…』 七〇年代少女マンガにおける女子高生同士の関係性について考察する |
第7回 | イケスミチエコ『孔雀の微笑』 七〇年代少女マンガにおける女性同士の関係性について考察する |
第8回 | 有吉京子『アプローズ—喝采』 八〇年代少女マンガにおける女性同士の関係性について考察する |
第9回 | 市東亮子『やじきた学園道中記』 女性間の〈ホモソーシャル〉の可能性について考える |
第10回 | 吉田秋生『櫻の園』 八〇年代少女マンガにおける女子高生同士の関係性について考察する |
第11回 | 藤村真理『降っても晴れても』 九〇年代少女マンガにおける女子高生同士の関係性について考察する |
第12回 | さいとうちほ・ビーパパス『少女革命ウテナ』 〈男装の少女〉と女性間の関係性について考察する |
第13回 | 今野緒雪『マリア様がみてる』 現代の少女小説における女子高生同士の関係性について考察する |
第14回 | 榛野なな恵『ピエタ』 九〇年代少女マンガにおける女性同士の関係性について考察する |
第15回 | まとめ及び平常試験 学習内容の総まとめとなる試験を行い、授業内容への理解度を確認する。 |
その他
教科書 | |
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参考書 |
駒尺喜美 『吉屋信子 隠れフェミニスト』 リブロポート 1994年
藤本由香里 『私の居場所はどこにあるの?少女マンガが映す心のかたち』 朝日新聞社(朝日文庫) 2008年
『ユリイカ 特集=百合文化の現在』 青土社 2014年
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成績評価の方法 及び基準 |
平常試験:授業を踏まえた上で作品を深く読み込んでいるか、独自の観点から問題提起ができているか、考察が論理的且つ説得力のある文章で書かれているかの3点から評価する。(60%) 小テスト:授業内に1回の小テストを実施する(時期は授業時に告知)。講義内容の理解度を見る。(30%) 作品アンケート:毎回取り上げる作品に対する意見や感想を募集する。作品に対して独自の見解が述べられているかで評価する。(10%) |
質問への対応 | 講義後に教室で受け付ける |
研究室又は 連絡先 |
yobato315@gmail.com |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
少女/女性同士の関係性を切り口に〈女性〉や〈少女〉のあり方、異性と同性間の関係性の差異について考えてみましょう。小説とマンガは共に「読む」ものですが、表現方法が異なるため分析のアプローチも若干異なります。小説とマンガを「読む」こと、その違いについても考えてみましょう。 |