2017年 理工学部 シラバス - 電気工学科
設置情報
科目名 | 回路とシステムの基礎 | ||
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設置学科 | 電気工学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 古川 慎一 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | I23P |
クラス | A・B | ||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 「回路とシステムの基礎」では,情報通信ネットワークの伝送系を線形ブラックボックスとしてとらえ,入力と出力の関係からシステムとしての性質をまとめる。この科目の内容は,基礎工学を支える振動・波動・拡散などの情報通信ネットワークシステムに共通した考え方を最も高度に体系化された伝送回路網の理論を通じて学習する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
電気回路の計算には,受動線形系に共通した基本的な性質を意識しないで利用している。受動線形系の入力(原因)と出力(結果)の基本的な性質をまとめた「公理系A」から出発しR,C,L,ITで合成できる伝達関数の条件とインピーダンス関数の条件とを学習する。授業と演習は出席者とのコニュニケーションをとりながら進める。 |
履修条件 | 電気回路の基礎,電気回路Ⅰ及び演習,電気回路Ⅱ及び演習,回路の応答を履修していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 伝送システムの理論は,電気回路に限るのではなく電磁波系,音響系など線形微分方程式で表される一般的な線形システムにも適用できる。例をあげ説明し,本講義の目的と内容,講義の進め方を述べる。 |
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第2回 | これまで習ってきた電気回路の計算法では,電圧と電流の時間的変化をexp(jωt) (j:虚数単位)として複素数を用いてきた。この方法の落ち入り易い誤りを指摘し,正しい解き方を説明する。 |
第3回 | 複素周波数を導入する理由と複素周波数の物理意味を説明。複素周波数を用いた回路網の表現は,ラプラス変換による回路網の表現と同じである。複素周波数を用いて,回路網の電圧,電流の求め方を学習する。 |
第4回 | ラプラス変換のsを用いた回路網の電圧と電流から時間領域の電圧と電流を求めるラプラス逆変換法を復習し、例題で演習を行う。 |
第5回 | 受動線形回路網の構成素子は,抵抗(R),キャパシタンス(C),インダクタンス(L),理想変成器(IT),理想ジャイレータ(IG),理想線路(IL),理想演算増幅器(IA)である。これらを含む回路網の電圧と電流の求め方を学習する。 |
第6回 | 分布線路の基本方程式を導出し,この方程式を解くことによって得られる進行波と電圧・電流の関係を説明。更に散乱行列とインピーダンス行列ならびにアドミッタンス行列との関係を説明する。 |
第7回 | R,C,L,IT,ILを含む基本的な回路網のについて伝達関数の求め方を説明し,代表的な回路網の伝達関数の求め方を学習する。 |
第8回 | 情報通信ネットワークには雑音を含むため,雑音から有効な情報を抽出するフィルタの設計が重要である。入力と出力の基本的な性質をまとめて「公理系A」に従うエネルギー有界な伝送系の性質について説明する。 |
第9回 | 「公理系A」の物理的意味と公理系の数式化について説明。「公理系A」から出力信号は入力信号とステップ応答の畳み込み積分で表されることを導出する。 |
第10回 | 入力信号f(t)と出力信号g(t)の関係をラプラス変換するとG(s)=F(s)H(s)となる。F(s),G(s)はft), g(t)のラプラス変換である。H(s)はステップ応答のラプラス変換であり伝達関数と呼ばれる。R,C,L,IT,ILを含む回路網の伝達関数H(s)の求め方について演習を行う。 |
第11回 | 伝達関数が有界実関数(BRF)であると言うことは,伝達関数をC,R,L,ITの回路素子を用いて合成できるための必要条件である。H(s)が有理関数と無理関数の場合についてBRFであるか否かの判定法を学習する。BRFの合成問題は1ポートのイミッタンスの合成問題に還元できる。 |
第12回 | 1ポートのインピーダンスは正実関数(PRF)となる。1ポートの有理PRFはC,R,L,ITを用いて合成できる。与えられた関数がPRFとなるか否かを判定する方法を学習する。 |
第13回 | LとCから構成されている回路網のインピーダンス関数はリアクタンス関数と呼ばれる。リアクタンス関数の性質とリアクタンス関数の性質を利用したHurwitz多項式の判定法などについて説明する。 |
第14回 | 情報通信ネットワークに要求される伝送特性を設計するには,ハードウエアとして実現できなければならない。伝達関数として実現できるのはBRFであり,インピーダンスとして実現できる のはPRFであることを説明する。 |
第15回 | 過去に出題した重要な試験問題は講義中に演習を行う。試験前に過去問だけを覚える勉強法は必ず試験に失敗する。講義中に説明した問題だけでなく,新たな問題を自分で作って解く様な勉強をして欲しい。 |
その他
教科書 |
細野敏夫 『線形ブラックボックスの基礎』 コロナ社 1980年 第9版
必要に応じて補足資料を配付する。
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参考書 |
高橋秀俊 『振動と回路』 岩波現代物理学講座 岩波書店
瀧 保夫 『伝送回路』 共立出版株式会社 1960年
武部 幹 『回路の応答』 電子通信学会大学シリーズ コロナ社 1981年
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成績評価の方法 及び基準 |
定期試験、授業中の演習及び授業において出題したレポート課題から総合的に評価する。 評価の指針は次の通りとする。 定期試験:80%、講義中の演習:10%、レポート10%。 |
質問への対応 | 随時。「この問題はどの様にして解くか」ではなく「ここまでできたが、この先は」の質問にすること |
研究室又は 連絡先 |
古川 慎一 お茶の水校舎 C607室 E-mail:furukawa@ele.cst.nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
火曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
木曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
金曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
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学生への メッセージ |
教科書を良く読み、講義中に行った例題は再度自分で解いて見ること。式を目で追うだけの勉強法では新しい問題を解けません。 |