2017年 理工学部 シラバス - 電気工学科
設置情報
科目名 | 情報工学 | ||
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設置学科 | 電気工学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 山﨑 恒樹 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | I42N |
クラス | A・B | ||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 「情報工学」は情報処理に関する講義である。情報処理の技術は広範囲にわたっているため,本講義では,符号の誤りの検出と符号の誤り訂正ができる符号の作り方とを学習する。符号の誤り訂正技術はシステムの信頼性向上の点から,衛星通信,移動通信,画像通信などに不可欠な技術であることを、演習を通して理解することができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
「0」と「1」の組み合わせで情報を伝送・処理する場合,情報ビットに検査ビットを追加(=符号)することによって符号の誤りを検出・訂正する方法を簡単な原理を説明し,更に誤りの訂正ができる群符号の構成法と巡回符号の構成法を学習する。授業や演習は出席者とコミュニケーションをとりながら進める。 |
履修条件 | 「情報エントロピーの科学」を履修していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 講義の概要説明:情報エントロピーの科学で学んだことの復習(符号化効率)し、本講義で重要となる誤り訂正符号(検査符号・誤り訂正符号)について説明する。 |
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第2回 | Shannonは情報効率を悪化させることなしに曖昧度を零にする符号化法が存在することを証明した(Shannonの第二定理)。Shannonの第二定理にもとずいて曖昧度小さくする方法を説明する。必要なのは実用上さしつかえない程度の曖昧度を持つ符号系を組織的・機械的に構成することである。 |
第3回 | 情報ビットは自由に与えることによって情報を運ぶことができるが,検査ビットは情報ビットの線形結合から決める(線形符号)。誤り検出符号として偶パリティ符号を例にとり,符号の作り方と符号化回路,誤り検出回路の構成法について説明する。 |
第4回 | 検査ビットを情報ビットの線形結合であらわす群符号の構成法を学習する。 |
第5回 | 4ビットの情報に3ビットの検査ビットを付加した符号を例に上げて剰余類表の作り方,剰余類首の選び方について説明。剰余類表を用いて誤り訂正の原理と誤り訂正符号の作り方を学習する。 |
第6回 | 符号間の最小距離が3の時、1ビットの誤りを訂正する符号(Hamming符号)について符号の作り方とシンドロームを用いた誤りの訂正法について学習する。 |
第7回 | 符合間の最小距離dがd≧5の場合,情報ビット数と検査ビット数の関係にVarsharmov-Gilbert-Sacksの限界式が十分条件であることを説明。d≧5の簡単な例として情報ビットkがk=2の場合について符号の作り方を説明する。 |
第8回 | 符号を多項式に変換によって得られる多項式符号を用いて巡回符号を説明。生成多項式は(1+z^n)の因子となる原始多項式を選ぶ。この様な生成多項式から作られる符号には周期が存在するする。 |
第9回 | 符号の誤り訂正能力(=符号間の最小距離)は生成多項式の周期pと符号長nによって決まる。n>p,n=p,n<pの場合,符号の誤り訂正能力はそれぞれがどの様になるか?を演習を通して理解する。 |
第10回 | m次の既約多項式には周期pがp=2^m-1となる多項式が存在する(原始多項式)。m次の原始多項式を生成多項式とする符号長nがn=2^m-1の符号は「6/15」で説明したHamming符号であることを理解する。 |
第11回 | 受信符号の誤りを検出する場合と誤りを訂正する場合には受信符号を生成多項式で割った剰余多項式を用いる。剰余多項式は原始多項式の根である原始元を受信符号に代入することによって求められる。2を法とする数体系について原始元を説明する。 |
第12回 | BCH符号(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem code):BCH符号を作るため原始元のべきの性質を利用する。べきの性質を利用して作る最小多項式の求め方について説明し、演習により1ビット誤り訂正技術を習得する。 |
第13回 | BCH符号の2ビット誤り訂正符号のアルゴリズムを説明し、演習により2ビット誤り訂正技術を習得する。 |
第14回 | BCH符号の3ビット誤り訂正符号のアルゴリズムを理解し、演習により3ビット誤り訂正技術を習得する。 |
第15回 | いままで講義を行った項目についてのまとめと演習を行う。 |
その他
教科書 |
細野敏夫 『情報工学の基礎』 コロナ社 1970年 第27版
寺田 文行・中村 直人・釈氏 孝浩・松居 辰則 『情報数学の基礎ー暗号・符号・データベース・ネットワーク・CGー』 サイエンス社 2008年 第8版
教科書を補足する資料を配付する。
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参考書 |
今井秀樹 『情報理論』 昭晃堂
宮川,岩垂、今井 『符号理論』 名著復刻シリーズ コンピュータ基礎講座18 電子情報通信学会発行 1973年
辻井,笠原 偏 『暗号と情報セキュリティ』 昭晃堂
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成績評価の方法 及び基準 |
定期試験70% 演習・宿題 30% |
質問への対応 | 随時対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
研究室:駿河台校舎(お茶の水校舎)6階C604号室。 メール:yamasaki@ele.cst.nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
土曜 駿河台 10:00 ~ 12:00
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学生への メッセージ |
教科書を良く読んで,自分で考えて講義ノートをとってほしい。 |