2017年 理工学部 シラバス - 物質応用化学科
設置情報
科目名 | 高分子材料物性 | ||
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設置学科 | 物質応用化学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 伊掛 浩輝 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜1 水曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | L31Q L32R |
クラス | |||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 高分子材料は金属やセラミックスと並ぶ三大材料のひとつである.高分子は分子鎖長が長いために,弾性,粘性,塑性といった材料の基本的な性質のすべてを持つ.この講義では,高分子材料の力学的性質に焦点を当て概説するが,はじめに,材料の弾性(エントロピー弾性については,前期の高分子物理化学を参照)及び粘性について基礎的な事項を整理する.その上で,高分子材料特有の非ニュートン性を概説した後,粘弾性体の現象論と分子論について丁寧に詳説する.また,力学的性質の動的挙動の側面から粘弾性体のエネルギー損失の算出についても理解を深める. |
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授業形態及び 授業方法 |
黒板を使用した講義形式で進める.単元ごとに理解度を確認するため,30分間程度の演習(5回)を行い実力養成につとめる.出席する際には関数電卓も必ず持参すること. |
履修条件 | 基本的な高分子に関する用語,性質などを理解した上で受講すること.基本的な用語や性質は,手早くは高分子関連科目である高分子科学,高分子合成化学,高分子物理化学で学ぶことができるので,それらを履修していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | 「高分子材料物性」についての概説 シラバス内容の確認,受講にあたっての諸注意や授業内容の動機づけを行う. |
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第2回 | 固体の弾性1 等方体の弾性率(体積弾性率,Poisson比,ずり弾性率,剛性率,ヤング率) |
第3回 | 固体の弾性2 弾性の原因(エネルギー弾性,エントロピー弾性) |
第4回 | 液体の粘性1 Newton液体と非Newton液体(チキソトロピー,ダイラタンシー,べき乗則液体) |
第5回 | 液体の粘性2 非Newton液体(塑性流動,ビンガム流動,非Newton粘性率,Rabinowitsch式) |
第6回 | 液体の粘性3 粘性理論(Eyringの空孔理論,絶対反応速度論,Andradeの粘度式) |
第7回 | 静的粘弾性1 粘弾性モデル(応力緩和:Maxwellモデル,クリープ挙動:Voigtモデル) |
第8回 | 静的粘弾性2 4要素モデル |
第9回 | 静的粘弾性3 静的粘弾性一般論(一般的緩和論:緩和スペクトル,一般的クリープ論:遅延スペクトル) 粘弾性の分子論:Rouseモデル |
第10回 | ガラス転移温度1 ガラス転移,等粘性理論,等自由体積理論 |
第11回 | ガラス転移温度2 相溶性ポリマーブレンド・高分子-可塑剤ブレンド体のガラス転移温度,等自由体積理論による粘性率の温度依存性 |
第12回 | 重ね合わせの原理 Boltzmannの重ね合わせの原理,時間-温度の重ね合わせ,Doolittleの粘度式, Williams-Landed-Ferry(WLF)の式 |
第13回 | 動的粘弾性1 動的粘弾性の基礎,動的弾性率・コンプライアンス・粘性率の一般的関係 |
第14回 | 動的粘弾性2 粘弾性体のエネルギー損失,損失エネルギー,貯蔵エネルギー,動的粘弾性の実例と解釈 |
第15回 | 理解度確認とその詳説 これまでの講義の理解度を演習をふり返り確認し,詳説することで知識の定着をはかる. |
その他
教科書 |
妹尾学,栗田公夫,矢野彰一郎,澤口孝志 『基礎 高分子科学』 共立出版 2000年 第1版
指定した教科書の5章を中心(一部4章を含むが)についてトピックを絞り解説する.理解を深めるために,関連する分野については教科書以外からも講義ノートとしてまとめてある.参考図書として講義の際に紹介する.
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参考書 |
物質応用化学編集委員会 『物質応用化学 基礎と演習』 培風館 2000年 第1版
この講義では参考書として,物質応用化学編集委員会『物質応用化学-基礎と演習-』 培風館 2000年 第初版を推薦するが,本書は入手が難しいので講義の際に必要に応じてプリントを配布する.
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成績評価の方法 及び基準 |
定期試験及び平常時の演習点.定期試験: 60点,演習点: 40点.合計: 100点満点で評価する. |
質問への対応 | 授業内容については,講義中,講義後,オフィスアワー,E-mailを利用して質問のこと.E-mailを利用しての質問は,学科名,学生番号,氏名を必ず明記した上で質問すること.なお,質問への回答は講義の時に行うので,E-mailでの返信は行わない. |
研究室又は 連絡先 |
高分子工学研究室(理工学部2号館1階214室) E-mail: ikake.hiroki@nihon-u.ac.jp/電話: 03-3259-0823(直通) |
オフィスアワー |
金曜 駿河台 10:30 ~ 12:00 高分子工学研究室(E-mailでの事前予約を希望)
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学生への メッセージ |
今日では身近となった高分子材料であるが,その基本的な性質であるはずの力学的性質を理解するだけでも大変険しいものがある.多くの専門用語やいくつもの複雑な数式が紹介されている.この講義では,単元別に基本事項を整理した上で,一歩ずつ理解を深めていきたい.まずは苦手意識を持たずにナチュラルな気持ちで授業に参加してほしい. |