2017年 理工学部 シラバス - 物理学科
設置情報
科目名 | 物理実験学 | ||
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設置学科 | 物理学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 高橋 努 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜1 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M31M |
クラス | |||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 計測や実験機器に関する基礎的知識や実験データを取り扱う方法について学び,物理現象を定量的に把握できる力を養い,必修科目である物理学実験Ⅰ ,Ⅱにおいて完璧な実験報告書を作成できるようになる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
各回ともテーマに関連した物理現象や実験の実例を紹介し,それら数値的に取り扱う方法について解説する。また,小テストにより習熟度を確認する。配布する演習問題によって応用力を養う。これらを通して修得した力を物理学実験Ⅰ,Ⅱの報告書作成において実践する。 |
履修条件 | 基礎物理学実験,物理数学Ⅰに関する基礎知識を習得していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 物理実験学で何を学ぶか! (1)基礎物理学実験で何を学んだか (2)物理数学Ⅰで学んだことをどのように使うか (3)目盛りの読み方 (4)誤差を含めて物理量を表す(実験データ(測定値)の表し方) (5)グラフを使って実験データの図示 キーワード:有効数字,主尺と副尺,平均値,平均二乗偏差,根平均二乗誤差誤差,SI単位, 非SI単位,グラフのスケール |
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第2回 | 誤差の取り扱い (1)測定値の表し方 (2)相対誤差と絶対誤差 (3)測定値の四則演算の方法 (4)計測実験についての平方根則 キーワード:最良推定値,絶対誤差,相対誤差,系統誤差,偶然誤差, |
第3回 | 誤差の伝播と誤差の分布 (1)誤差の伝播 (2)平均値,標準偏差, (3)系統誤差と偶然誤差 (4)ヒストグラムと分布、その極限分布 (5)正規分布 キーワード:誤差伝播の法則、平均値,母集団標準偏差,標本標準偏差,正規分布,中心極限定理 |
第4回 | 誤差の分布と最確値 (1)正規分布する測定値の誤差伝播,平均値の標準偏差 (2)二項分布,ポアソン分布,確率分布 (3)確率分布に関するさまざまな特性値 (4)測定値の受容可能性 キーワード:確率分布,確率質量関数,確率密度関数,期待値,平均,分散,モーメント,中心モーメント,二項分布,ポアソン分布,累積分布関数,対数正規分布,ローレンツ分布, |
第5回 | 関数によるデータのフィッティング(最小二乗法/実験式) (1)χ2乗検定 (2)線形回帰 (3)最小2乗法 キーワード:最小二乗法,χ2乗検定,データの棄却 |
第6回 | A/D変換 (1)アナログーデジタル変換 (2)ナイキストのサンプリング定理 (3)量子化誤差、分解能とビット数 (4)2進数の演算と有効数字 (4)コンピュータによるデータ処理 (5)インターフェース キーワード;アナログ信号,デジタル信号,2進数の演算,分解能,量子化誤差,GPIB, USB,分解能,ビット数,量子化誤差,ナイキストのサンプリング定理,A/D変換器 |
第7回 | 物理実験のための電気回路(信号の伝送とアナログ回路) (1)実験で扱う電気回路・電子回路素子 (2)直流と交流 (3)オームの法則とキルヒホッフの法則 (4)集中定数回路と分布定数回路 (5)過渡特性と周波数特性 (6)微分回路と積分回路 キーワード:オームの法則、キルヒホッフの法則、集中乗数回路、分布乗数回路、過渡特性、周波数特性,微分・積分回路 |
第8回 | インピーダンスと伝送線路 (1)電気抵抗,静電容量,インダクタンス, (2)インピーダンス (3)分布定数回路(線路)の取り扱い キーワード:電気抵抗、静電容量,インダクタンス、インピーダンス |
第9回 | ノイズと計測 雑音 ノーマルモードとコモンモード 雑音の分離法 演算による雑音除去 キーワード:不規則雑音,ノーマルモード,コモンモード |
第10回 | 真空技術 (1)真空 (2)真空を作る (3)真空を計る (4)真空を扱う基礎的な心構え |
第11回 | 光学計測の基本技術 (1)光の性質(波動性と粒子性) (2)スペクトル線と連続光 (3)偏光,回折,干渉 (4)レーザー光 (5)光学素子 (6)光検出器 (7)分光器,干渉計 |
第12回 | 磁場計測/温度計測 (1)磁場を作る(定常磁場、時間変化する磁場) (2)磁場を計る(定常磁場、時間変化する磁場) (3)温度 (4)低温、高温を作る (5)低温、高温を計る |
第13回 | 放射線と粒子の測定 (1)放射線(α線,β線,γ線)と単位 (2)原子核の崩壊 (3)原子核融合と分裂 (4)放射線計測 (5)計測技術(分解時間と数え落としの補正,バックグランドの補正,計数の誤差) (6)放射線防御の基礎 |
第14回 | 物理実験のための物理数学 (1)近似計算(テーラー展開) (2)複素数,ベクトル、行列 (3)微分方程式、偏微分方程式 (4)フーリエ変換、ラプラス変換 |
第15回 | 物理実験における安全 (1)物理実験における安全マニュアル (2)心得,服装,作業環境 (3)実験装置、器具の扱い (4)電気に関する実験における安全について (5)光学実験における安全について (6)放射線実験における安全について (7)高圧ガス、不活性ガス、低温ガスの扱い |
その他
教科書 |
教科書は特に指定しません。
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参考書 |
John R. Taylor 『計測における誤差解析入門』 東京化学同人 2000年
高野良紀他 『専門課程 物理学実験』 裳華房 2012年
兵藤申一 『物理実験者のための13章』 物理工学実験1 東京大学出版会 1976年
鈴木秀次 『実験物理 上・下』 バークレー物理学コース 丸善 2011年 第復刻版版
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成績評価の方法 及び基準 |
授業内に行なう小テスト(30%),レポート(20%),および中間試験(25%)期末試験(25%)の結果によって評価する。 |
質問への対応 | メールまたは居室にて随時対応します。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎7号館721室A |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 12:10 ~ 13:00 髙橋
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学生への メッセージ |
この科目で修得した力を実践する場として,物理学実験Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,物理学プロジェクト実験をこの科目合わせて受講することが望ましい。内容をさらに深めるために,2年生前期で開講される回路理論,3年生前期で開講されている電子回路,制御理論,3年生後期に開講されている計測物理学を受講するすると内容をさらに深めることができる。 |