2017年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 | 基礎化学 | ||
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 |
担当者 | 村上 雅彦 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜5 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | Q35E |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 「物質」についての知識は,「材料化学」や「環境学」を学ぶ上で基礎的な情報として必須である。この「物質」の性質や反応を理解するには,微視的に(ミクロな視点で)原子や分子を理解することが重要である。「基礎化学」では,このような見方を通して物質とこれに関わる現象を理解・説明できるようにする。 |
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授業形態及び 授業方法 |
板書を中心にプロジェクタを併用した講義形式で行う。必要に応じてプリントを配布する。 |
履修条件 | 選択科目。出席状況は教室設置のカードリーダーによる記録に基づいて評価するので、出席時の記録を忘れないこと(学生証忘れについては対応しないので注意)。 |
授業計画
第1回 | 説明と基礎的事項の確認 高校化学との違いなど基礎的事項を確認し,科学の方法と特徴を理解する。シラバスを参照し,科目の概要を確認して講義に臨むこと。 |
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第2回 | 原子の構造(1) 原子構造解明の過程(電子の発見,質量電荷比の決定)とその実験について理解する。 【予習・復習】高校「物理基礎」および「物理」教科書の”電気・磁気”,”原子”の単元等を再確認し,これらの実験における電場および磁場中の電子の運動について理解しておくこと。 |
第3回 | 原子の構造(2) 放射線を用いた原子構造解明の過程(α線散乱実験と原子核モデル,人工元素変換,中性子の発見)とその実験について理解する。また,これにより明らかとなった古典力学の限界について理解する。 【予習・復習】高校「物理」教科書の”原子”の単元等を参照し,これらの実験に見られる物理現象を理解しておくこと。 |
第4回 | 量子論的原子モデルの確立(1) 量子力学の始まりとなるエネルギー量子仮説,光電効果と光量子仮説について理解する。 【予習・復習】高校「物理」教科書の”原子”および”波動”に関する単元を参照し,波動の特性と干渉現象について再確認しておくこと。 |
第5回 | 量子論的原子モデルの確立(2) ボーアの原子モデル,量子化学の基本とシュレディンガーの波動方程式について理解する。 【予習・復習】高校「物理基礎」および高校「物理」教科書の”電場中の力とエネルギー”,”遠心力”に関する項目および”原子”の単元等を参照し,原子核と電子の間に働く力とエネルギーの釣り合いを理解しておくこと。 |
第6回 | 原子軌道(オービタル)と電子配置 原子軌道の種類と電子配置とその規則(構成原理)について理解する。 【復習】原子軌道の種類と形状,エネルギー準位,電子配置の規則(構成原理)を理解し,原子番号21番(Sc)までの元素の電子配置と原子の形状を全て示せるようにすること。 |
第7回 | 電子配置と周期表 元素の化学的性質・イオン化エネルギーの周期性とその主な理由となる有効核電荷・遮蔽効果について理解する。 【復習】原子番号11番(Na)までの元素の第一イオン化エネルギーの変化の特徴を,有効核電荷の変化と原子構造の違いで説明できるようにすること。遮蔽の考え方を理解し,有効核電荷を計算できるようにすること。 |
第8回 | 化学結合(1) 分子軌道法に基づく化学結合理論について理解する。 【復習】水素分子の形成,ヘリウムなどの希ガス元素が結合を作らない理由,光エネルギーによる結合の切断などを分子軌道理論で説明できるようにすること。 |
第9回 | 化学結合(2) 混成軌道の形成とこれに基づく分子形状・性質の考え方について理解する。【復習】混成軌道の考え方を理解し,炭素化合物をはじめとする簡単な分子の結合と分子形状について説明できるようにすること。 |
第10回 | 化学結合(3) 結合のイオン性とその結合及び分子集団の性質への影響,電気陰性度,双極子モーメントについて理解する。 【復習】分子内での電子の偏りと,その物質の性質への影響を理解し,双極子モーメントと結合のイオン性が計算できるようにする。 |
第11回 | 化学結合と物性(1) 結合の種類と固体(結晶)の性質の関係ついて理解する。 【復習】イオン性結晶,共有結合性結晶,分子結晶の違い,水および炭素(黒鉛・ダイヤモンド)の結晶構造と性質を結合から説明できるようにする。 |
第12回 | 化学結合と物性(2) 固体物性の基礎となるバンド理論を分子軌道の延長として理解し,遷移金属元素の電子配置と物性の関係について理解する。 【復習】金属とその性質,導体・半導体・絶縁体の違いを,バンド理論で説明できるようにする。遷移金属元素の電子配置を示せるようにし,これに基づいて各元素金属の融点・硬度・電気抵抗などの物性の違いを説明できるようにする。 |
第13回 | 分子集団としての物質の状態 物質の三態(気体,液体,固体)およびプラズマ状態,超臨界状態を,物質の状態とその変化の基礎について理解する。 【復習】各状態の違いと特性について,分子の状態の違いで説明できるようにする。 |
第14回 | 物質の状態変化・束一的性質 状態間の平衡とその見方,温度や圧力との関係について理解する。 【復習】平衡状態や状態変化,沸点・融点への濃度の影響とその理由,状態図について説明できるようにする。 |
第15回 | 総合・トピックス 重要事項の再確認を行う。補足的な内容や最新の話題について理解する。 |
その他
教科書 |
小林憲司他 『化学の世界への招待』 三共出版 2011年 第3版
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参考書 |
J.マクマリー,R.C.フェイ著 『マクマリー 一般化学(上)』 東京化学同人 2010年 第1版
J.マクマリー,R.C.フェイ著 『マクマリー 一般化学(下)』 東京化学同人 2010年 第1版
高度な内容も含まれるが、判りやすくより詳しく解説されている。図版も美しく、より発展的な理解のために役立つ。
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成績評価の方法 及び基準 |
定期試験の成績を基本とする。 |
質問への対応 | オフィスアワーあるいは授業終了後に対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
船橋校舎8号館821室 |
オフィスアワー |
水曜 船橋 18:30 ~ 19:30
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学生への メッセージ |
判らないことは判らないままにしないこと。常に”物質の性質や物質が変化する理由は何か(どのように説明できるか)?”を理解するよう心がけて下さい。 |