2017年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 |
文学
SF作品と〈少女〉/〈女性〉
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 |
担当者 | 押山 美知子 | 履修期 | 前期 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜3 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | R23C R23W |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 1.テクストをジェンダー批評の観点から分析・考察し、言語化することができる。 2.日本の少女マンガ及び小説のSF作品において女性作家が〈少女〉/〈女性〉をどのように描いたのか見解を持つことができる。 3.女性作家の手によるSF作品の歴史的変遷を把握し、その存在意義や将来的な可能性について考えを深める。 |
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授業形態及び 授業方法 |
七〇年代以降に発表された女性作家の手によるSF作品(主に少女マンガ)を取り上げ、それらに描かれた〈女性〉/〈少女〉像を中心にジェンダー批評の観点から作品分析を行う。SF作品の女性登場人物は、特殊な能力を持つ存在として描かれることが多いが、その“特殊性”はSFという特徴的な物語世界においてどのような意味を持つのか、容姿造形、性格・行動、人間関係等の表象分析を通してSF世界と〈少女〉/〈女性〉との関係性について考察する。授業はPowerPointを使用し、毎回レジュメを配布する。 |
履修条件 | 学内外の図書館などを利用して参考文献を積極的に読み、SF研究、マンガ研究、少女文化論、セクシュアリティ・ジェンダー論の先行研究に触れるようにすること。ジェンダー批評はセクシュアリティの問題を含むため、作品によっては性愛描写、エロティシズム分析を行う。その点を踏まえた上で履修選択をすること。 文化教養サブメジャー・コース設置科目 |
授業計画
第1回 | 講義の概要と目的の説明・取扱い作品の紹介 講義内容及び進め方について説明し、七〇年代以降の女性作家の手による少女マンガ及び小説のSF作品について大まかな流れとその特徴について述べる。シラバスの内容を確認の上、授業に臨むこと。 |
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第2回 | 志賀公江『ルルが風にのって』 ヒロイン・ルルの造形及び七〇年代少女マンガのSF作品における〈少女〉像について考察する。『ルルが風にのって』を読んでくること。 |
第3回 | 萩尾望都『精霊狩り』 ヒロイン・ダーナの行動と変化について考察する。『精霊狩り』を読んでくること。 |
第4回 | 新井素子『あたしの中の…』 ヒロイン・京子とエクーディの関係について考察する。『あたしの中の…』を読んでくること。 |
第5回 | 花郁悠紀子『フェネラ』 ヒロイン・フェネラの造形について考察する・『フェネラ』を読んでくること。 |
第6回 | 萩尾望都『スター・レッド』 ヒロイン・セイの造形及び〈少女〉と超能力の関係について考察する。『スター・レッド』を読んでくること。 |
第7回 | 新井素子『グリーン・レクイエム』 ヒロイン・明日香の造形について考察する。『グリーン・レクイエム』を読んでくること。 |
第8回 | 佐々木淳子『那由多』 ヒロイン・那由多の造形及び八〇年代少女マンガのSF作品における〈少女〉像について考察する。『那由多』を読んでくること。 |
第9回 | 水樹和佳子『月虹ーセレス還元』 ヒロイン・ソミューの造形について考察する。『月虹ーセレス還元』を読んでくること。 |
第10回 | 清原なつの『真珠とり』 三人のヒロインの造形について比較しながら考察する。『真珠とり』を読んでくること。 |
第11回 | わかつきめぐみ『So What?』 ヒロイン・阿梨とライムの関係について考察する。『So What?』を読んでくること。 |
第12回 | 日渡早紀『ぼくの地球を守って』 ヒロイン・亜梨子と木蓮の造形について比較しながら考察する。『ぼくの地球を守って』を読んでくること。 |
第13回 | 清水礼子『月の子』 ジミーの造形について考察する。『月の子』を読んでくること。 |
第14回 | 川原泉『ブレーメンⅡ』 ヒロイン・キラ及び九〇年代少女マンガのSF作品における〈少女〉像について考察する。『ブレーメンⅡ』を読んでくること。 |
第15回 | まとめ及び平常試験 学習内容の総まとめとなる試験を行い、授業内容への理解度を確認する。第2回から第14回の授業内容をもう一度振り返り、全体的な流れを把握しておくこと。 |
その他
教科書 |
小説作品である新井素子『あたしの中の…』・『グリーン・レクイエム』は購入、もしくは、図書館で借りる等して必ず読んでおくこと。マンガ作品については授業時に指示する。
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参考書 |
米沢嘉博 『戦後SFマンガ史』 筑摩書房(ちくま文庫) 2008年
藤本由香里 『私の居場所はどこにあるの?少女マンガが映す心のかたち』 朝日新聞社(朝日文庫) 2008年
長山靖生 『戦後SF事件史ー日本的想像力の70年』 河出書房新社(河出ブックス) 2012年
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成績評価の方法 及び基準 |
平常試験:授業を踏まえた上で作品を深く読み込んでいるか、独自の観点から問題提起ができているか、考察が論理的且つ説得力のある文章で書かれているかの3点から評価する。(60%) 小テスト:授業内に1回の小テストを実施する(時期は授業時に告知)。講義内容の理解度を見る。(30%) 作品アンケート:毎回CSTポータル2にアンケートを設置し、取り上げる作品に対する意見や感想を募集する。作品に対して独自の見解が述べられているかで評価する。(10%) |
質問への対応 | 講義後に教室で受け付ける |
研究室又は 連絡先 |
yobato315@gmail.com |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
SFと聞いて皆さんは何をイメージしますか。少女マンガとSFは相容れないように感じる人もいるのではないでしょうか。マイナージャンルではありますが、少女マンガのSF作品は七〇年代から現在に至るまで存在しています。SF少女マンガを通して、少女マンガのヒロイン像の時代的変遷を辿ってみましょう。 小説とマンガは共に「読む」ものですが、表現方法が異なるため分析のアプローチも若干異なります。小説とマンガを「読む」こと、その違いについても考えてみましょう。 |