2017年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 |
歴史環境論
歴史的建造物の保存と再生・活用
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 2年 |
担当者 | 藤島 幸彦 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜1 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | T11F |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | この講座では都市を中心にした歴史的建造物の保存・再生・活用の実例を紹介し、現代社会における住まいと自然環境・文化環境・歴史環境との深い関わりを考察し、新しい環境観の形成に向けて今なすべき事は何かを見出すことを目標にする。そのために歴史的建造物がどのように保護されているのか、保存活用でどんな効果があるのか、実例を通して検討したい。そして、現代および未来の社会における歴史環境の必要性を確認することを最終目標とする。 |
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授業形態及び 授業方法 |
基本的には講義形態で、主に教科書を参照しつつ、板書を併用して分かりやすく解説する。また、時間に余裕がある回は、その日のテーマの歴史的建造物(町家建築)や町並み景観の映像をDVD・ビデオで放映し、視覚的・実感的に理解できるようにする。その中で随時問題提起を行う。 |
履修条件 | ●専門的な予備知識は不要。暗記も不要。ただ、広い視野から歴史を現代社会へ生かすという意識を持つこと。 ●古い和風建築の基本的知識に関心を持つこと ●教科書の指定項目に必ず目を通すこと ●まちづくり、文化財保護の予備知識 ※環境ライフサブメジャー・コース設置科目 |
授業計画
第1回 | 歴史環境論とは何か? 学問としての歴史環境論の意味と本講座の趣旨を解説 ※例年受講希望者多数のため、抽選により履修人数調整も行う可能性あり。履修希望者は必ず第1回に出席すること。(第1回に欠席した場合、就職活動、病気などいかなる止む無き理由による欠席であっても、履修人数調整での特例措置は取らない) |
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第2回 | 自然保護・文化財保護の歴史的変遷と制度 自然保護と公害問題―尾瀬沼の自然保護運動の実例解説。文化財保護法と保存問題-三菱1号館を例に解説 |
第3回 | 歴史環境の「視点」としての町家 町家とはどのようなものか、町家という語の意味、京都の町家の特色と魅力についての解説ビデオを鑑賞 |
第4回 | 京町家に見る伝統と美意識(1)重要文化財二条陣屋・杉本家住宅 町家が重要文化財に指定された意義および歴史と特色を解説。 |
第5回 | 京町家に見る伝統と美意識(2)西陣の帯屋捨松家と伏見の酒蔵 伝統産業を継承する老舗商店と、京都の産業の町並み |
第6回 | 京町家に見る伝統と美意識(3)鳥居本の茶屋 京都近郊の町並み保存地区「奥嵯峨鳥居本」に残る高級料理茶屋と自然景観と建築景観が融和した町並み |
第7回 | 町家の保存・再生・活用(1)柳川の北原白秋生家・信州須坂の田中本家等に見る保存公開施設としての活用 |
第8回 | 町家の保存・再生・活用(2)西伊豆松崎のなまこ壁の町並みと左官芸術(伊豆長八)の保存。映画・ドラマのロケ地としての活用。 |
第9回 | 町家の保存・再生・活用(3)文京区千駄木の旧安田邸の保存活動 市民ボランティアが守った旧安田邸の保存・再生・活用の歴史と現状 |
第10回 | 歴史的町並みの保存制度とまちづくり(1)近江八幡の旧西川家 国の重要伝統的建造物群保存地区の代表的町家、近江商人の拠点の町並み |
第11回 | 歴史的町並みの保存制度とまちづくり(2)尾張有松の竹田家 名古屋市独自の町並み保存から国の町並み保存地区への変遷。全国町並み保存連盟発祥の地としての意義 |
第12回 | 歴史的町並みの保存制度とまちづくり(3)金沢のひがしの茶屋町 京文化が加賀文化に与えた影響を、江戸時代の名残を残す繁華街のお茶屋建築を通して見る |
第13回 | 町家と生活文化―祇園祭に欠かせない京町家(「会所」の役割)など。重要文化財杉本家住宅の保存の意義を再考 |
第14回 | 理解度確認期間 これからの環境観の形成に向けて 寂れ行く下津井の町並みと東日本大震災からの復興を期す宮城県村田町を例に歴史的建造物の保存・再生・活用と「まちづくり」の意義と問題点をまとめる |
第15回 | 試験及びその解説 理解度確認期間のまとめとしての試験を行い、その趣旨を解説する |
その他
教科書 |
藤島亥治郎・藤島幸彦 『町家点描』 学芸出版社 2016年 第7版
教科書には歴史を伝える町家の写真と図面が多数掲載されている。また、歴史的町家を取り巻く生活文化や環境の特色が解説されている。必ず購入し、授業に持参すること。授業でも極力参照・活用しており、試験問題も教科書持ち込み参照を認める代わりに教科書から多く出題している。試験が終わったら捨てるような本ではない。長く保存活用していただける本である。この点を納得した上で有効に活用してほしい。
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参考書 | |
成績評価の方法 及び基準 |
基本的には最終回に実施する試験の得点で評価する。(ただし出席率が極端に低い者は減点の対象にする。)試験は教科書・ノートを持参して参照しながら解答する形式である。コンスタントに出席し、授業の筋道を理解し、教科書とノートを使いこなせば、合格点は容易に取れるように配慮している。(逆に出席せず、教科書も買わないのであれば試験問題は難しい。) |
質問への対応 | 授業後教室で、またはメールで気軽に質問してほしい。出来る限りお答えする。ただし、メールでの質問は、試験の時間割・教室割り当てなど、授業内容以外の事務所教務課等が対応すべき内容、および試験結果の質問には返信しない。 |
研究室又は 連絡先 |
fwjd6307@mb.infoweb.ne.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
専門科目以外の教科書を買うことや、講義を聴くことを負担に思う者の受講はお勧め出来ない。また、出来るだけ出席すること。ただし、実験・実習・重病・就職活動による欠席は届けを出せば考慮する。この授業では暗記は不要。受講生一人一人が「そこに“町家がある”歴史景観」に関心を持ち、歴史的環境を見出していただければと思う。 あくまでも選択科目であるから、上記の授業内容・教科書・試験方法等をよく吟味して、納得した上で登録していただきたい。なお、大人数のため、どうしても一部に大きな声で雑談をする、座席の譲り合いに協力しないなどの不謹慎な態度を取る学生がいる。特に授業中の私語は厳禁する。周囲の受講生の迷惑になるばかりか、授業の進行の妨げになるからである。教室環境を維持するために、あえて厳しい態度や言葉遣いで注意するなどの対応をとることもある。環境論の授業にふさわしいように、教室環境・授業環境の向上に協力してほしい。 |