2017年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 | 科学技術と人間 | ||
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 2年 |
担当者 | 島村 修平 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | T12B |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 現代に生きる私たちにとって、科学や科学技術はとても身近なものです。この授業の目標は、そうした身近な科学の営みについて、改めて「科学とは何か?」と問い直してみることにあります。もっと具体的に言うと、この授業で取り組むのは、例えば次のような問いです。 ・なぜ科学が生まれたのは東洋ではなく西洋だったのか? ・なぜ科学では理論と経験のバランスがうまく取れているのだろうか? ・物事を科学的に説明するとはどういうことか? ・科学は何のために行われているのか? 科学に関するこうした問いに取り組む分野を「科学哲学」と言います。科学哲学の問いは、科学の問いとは少し性格が違います。科学の問いは、うまく答えることができれば、様々な現象の理解をもたらします。これに対して、科学哲学の問いが目指すのは、科学という営みそれ自体を理解することです。上に挙げた問いに取り組むことを通じて、それまで当たり前だと思っていた科学の不思議な一面が見えてきたなら、この授業の目標は達成されたことになります。 |
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授業形態及び 授業方法 |
・授業形態は講義形式です。毎回の授業時にその回の要点を記載したハンドアウトを配布します。 ・各回の終わりにその回の中心的内容の理解を問う小テストを出題し、次の回の冒頭にその小テストの解説を行います。 ・成績評価の要となる学期末の平常試験は、各回の小テストの問題から選んで出題します。もし小テストの解説を聞いて分からない部分がある場合には、そのままにせず、必ずその日の内に質問に来てください。 |
履修条件 | 履修条件はとくにありません。環境ライフサブメジャー・コース設置科目。 |
授業計画
第1回 | イントロダクション 哲学ってどんな分野?科学哲学って何をするの? |
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第2回 | なぜ西洋文明は科学を生むことができたのか? 科学の歴史――科学と哲学の切っても切れない関係 |
第3回 | Ⅰ 科学の方法――なぜ科学は「理屈っぽい」のに「頭でっかち」にならないのか? ①演繹と帰納 |
第4回 | Ⅰ 科学の方法――なぜ科学は「理屈っぽい」のに「頭でっかち」にならないのか? ②仮説演繹法 |
第5回 | II 科学の基礎を疑ってみる――帰納法って本当に大丈夫? ①経験主義とヒュームの問題 |
第6回 | II 科学の基礎を疑ってみる――帰納法って本当に大丈夫? ②カラスとエメラルド――投射可能性の問題 |
第7回 | 理解度確認プレ試験(自己採点)とその解説 |
第8回 | III 合理的な知的活動としての科学 ①反証主義――科学から帰納を追い出したらどうなるだろう? |
第9回 | III 合理的な知的活動としての科学 ②線引き問題――科学と疑似科学を分けるものは何か? |
第10回 | IV 「科学的に説明する」ってどういうこと? ①推論の観点から |
第11回 | IV 「科学的に説明する」ってどういうこと? ②因果関係の観点から |
第12回 | V 科学的実在論vs. 科学的反実在論――「電子は実在する」って本当に言える? ①理論の決定不全性 |
第13回 | V 科学的実在論vs. 科学的反実在論――「電子は実在する」って本当に言える? ②奇跡論法と悲観的帰納法 |
第14回 | V 科学的実在論vs. 科学的反実在論――「電子は実在する」って本当に言える? ③対象実在論 |
第15回 | 平常試験及びその解説 |
その他
教科書 |
戸田山和久 『科学哲学の冒険』 NHK出版 2005年
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参考書 |
授業中に適宜指示します。
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成績評価の方法 及び基準 |
リアクションペーパー:30%、平常試験:70%の割合で採点し、GPS制度の基準に従って合否および優劣の評価を行います。 |
質問への対応 | 授業の前後、またはオフィスアワーに質問を受け付けます。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台キャンパス(主に月):333研究室 船橋キャンパス(主に火・水):532研究室 |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 12:20 ~ 13:00
火曜 船橋 16:40 ~ 17:20
水曜 船橋 16:40 ~ 17:20
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学生への メッセージ |
科学を学ぶことで、身の回りのありふれた現象がそれまでと異なる角度から興味深く見えてくるという経験をしたことがある人は多いでしょう。それを「驚きの感覚(sense of wonder)」と呼ぶなら、この授業が目指すのは、科学そのものに対する「驚きの感覚」を喚起することです。そうした感覚を持って色々な角度から科学という営みについて深く考えてみることは、エンジニアや研究者の卵としてこれから科学を行う側に入っていくみなさんにとって、決して無駄にはならないはずです。 |