2017年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 | デザイン文化思想 | ||
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 2年 |
担当者 | 奥波 一秀 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | T12D |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 文化概念の多用な意味、文化現象としてのデザインの問題について理解を広め・深めるとともに、文化を超えてコミュニケートすることの必要性・困難、文化のデザインの面白さについて考えていけるような手がかりを獲得する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
プリント・視覚教材等を適宜利用しながら講義を行う。毎回講義終了後にレスポンスカードを書いてもらい、そこで出された疑問・要望等を(次の)講義にフィードバックさせていく。受講者の問題意識や講義の進度に合わせて、授業計画に一部変更が生じる場合もある。 |
履修条件 | 環境ライフサブメジャー・コース設置科目。中学程度の日本史・世界史の知識。 |
授業計画
第1回 | 文化とはなにか?:文化相互の理解の可能性と必然性が、どのような意味で問題であるか。文化のデザインの課題について、大まかな見通しを与える。 |
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第2回 | 「文化」概念の歴史:culture/文化という概念の意味とその問題系について、ラテン語からの語源や、日本語のニュアンスにいたるまで、簡潔に概説する。 |
第3回 | 日本人とはなにか?:文化問題への通路として、「日本人」の定義を考えてみる。「日本人」のノーベル賞受賞者数の問題の問題など。 |
第4回 | 文化と民族の関係:民族という観点から、民族対立の問題まで射程にいれて、それと文化とのかかわりを考察する。在日外国人の問題。 |
第5回 | 文化と政治の関係:政治と文化とが、どのようにリンクさせられてきたか、その問題性はどのような点にあるか、考察する。 |
第6回 | 同上の事例考察(1):国宝制度の成立とその意味を、古社寺保存法の経緯等から理解する。日本の固有な美術の価値を確信したフェノロサ、その功績と限界等について考察する。 |
第7回 | 同上の事例考察(2):韓国での国宝番号再指定問題に即して、ナショナリズムと文化の問題を考える。南大門は国宝番号1としてふさわしくない、とは、どういう意味・理由か、日本の場合はどうかなど、具体的に考えて行く。 |
第8回 | 同上の事例考察(3):文化遺産の返還問題について、ベルリン博物館島の事例に即して、理解する。イギリス、フランスほどではないにせよ、ドイツ、そして日本は、宗主国だった過去に「収集」した文化遺産等の返還要求をうける立場にある。これが、どういう経緯からきているか、概説する。 |
第9回 | 国民国家と文化:近代「国民国家」において「文化」概念がどのような機能を果たしてきたか、果たしているか。とくに日本の問題について考察する。文明に対する文化というドイツの主張様式に似たしかたで、日本が自身の「精神的価値」等を位置づけ、主張していく、その理論的内容を解説する。 |
第10回 | 同上の事例研究(1):日本の祭りの多様性から、明治以前の日本の文化実態を理解する。「日本文化」という仕方で総括できるものは、どのていどあるか? 国内の各地にある祭りの様子をみて、日本文化内の多様性・差異について、気づいてもらう。 |
第11回 | 同上の事例研究(2):近代日本における「異文化」破壊と「固有文化」の創出を廃仏毀釈の事例に即して考察する。日本における「伝統」の実態というものを、とくに江戸から明治への転換期の事例に即して、知ってもらう。 |
第12回 | 同上の事例研究(3)民族あるいは「文化」の可能性とは、どういうものでありうるか。柳宗悦の民藝運動に即して考察する。民族ごとの「美」というものを柳は措定し、朝鮮・沖縄その他、周縁的とされた文化を擁護しようとした。このことの意義と限界を考察する。 |
第13回 | 同上の事例研究(4)政治と文化のかかわりのなかで、どういう振る舞いがありうるか。柳宗悦の朝鮮へのかかわりに即して考察する。光化門事件など、朝鮮への柳のかかわりかたは、政治と文化の難しい関係を考えるうえでの、貴重なテストケースとなっている。このことを解説する。 |
第14回 | 同上の事例研究(5)戦後日本の「文化国家」という理念を再検討する。「文化」という概念が今日の日本において、いまだ保持している「ポジティブ」な意味、そこには過剰・過度なものはないだろうか。「文化」概念の歴史そのものも踏まえつつ、再検討する。 |
第15回 | まとめ:14回の講義において触れた、具体的事例をふりかえりつつ、「文化」という言葉の用法、その機能の問題点等について、再確認し、講義全体の総括とする。 |
その他
教科書 | |
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参考書 |
奧波一秀 『クナッパーツブッシュ』 みすず書房 2001年
奧波一秀 『フルトヴェングラー』 筑摩書房 2011年
文化と政治の交錯がもたらす問題の難しさを、音楽家・指揮者の事例に即して理解してほしい。
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成績評価の方法 及び基準 |
ミニ・テスト等により、総合的に評価する。評価のポイントは、最低限の基本的な事実認識をふまえているか、デザイン文化思想にまつわる諸問題をきちんと消化し・みずから思考しているかどうか、適切に表現できるか、以上の三点である。 |
質問への対応 | maginost@yahoo.co.jp に連絡・質問すること。 |
研究室又は 連絡先 |
maginost@yahoo.co.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |