2017年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 | 地球環境化学 | ||
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 2年 |
担当者 | 村上 雅彦 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜5 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | T25E |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 人類は科学技術によって自らの活動を飛躍的に拡大させ物質的な豊かさを手に入れてきたが、その一方で地球の環境維持システムに多大な影響を与えた続けた結果、無視できない影響が表面化しつつある。我々の生命にとって適していた地球の環境がどのように確立され、我々の生活活動がこれにどのように影響しているのか?を理解することは、これからの科学技術を担う者にとって必要不可欠なものと言える。 そこで本講義では地球環境の成り立ちと現状、および人類活動の影響に関して考えられるメカニズムを理解し、技術者として今後の科学技術の方向性を模索するための基礎を養うことを目標とする。 |
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授業形態及び 授業方法 |
テキストを基に、パワーポイント及び板書による講義を行う。必要に応じてプリントを配布する。 |
履修条件 | 選択科目。開講時に指示する課題の提出が必須。化学についての基礎的な知識はある程度持っていることが望ましい。単なる知識ではなく「なぜか?」に関心を持つこと。出席状況は教室設置のカードリーダーによる記録に基づいて評価するので、出席時の記録を忘れないこと(学生証忘れについては対応しないので注意)。 |
授業計画
第1回 | 概論 物質およびエネルギー的側面から見た人類活動の肥大化の現状について概観し、本講義の目的を把握する。シラバスを参照し、科目の概要を理解して臨むこと。 |
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第2回 | 宇宙と元素の進化(1) ビッグバン宇宙論に基づく宇宙の進化について理解する。また、理解に必要な基本的知識(原子構造と素粒子、原子核の性質・反応など)を再確認する。 【復習】「ビッグバンと、これが起きたと考えられる根拠」を説明できるようにする。原子核の構造と原子核の反応(核融合・核分裂・放射性壊変)について説明できるようにする。 |
第3回 | 宇宙と元素の進化(2) 恒星と元素の形成過程を理解し、現在の宇宙の進化と元素の構造・性質についての知見が、矛盾無く物質進化の過程を表していることを理解する。 【復習】「恒星の誕生〜崩壊までの過程」と、「これに伴って起こる元素の形成」について説明し、宇宙元素存在度との相関について説明できるようにする。 |
第4回 | 地球環境の成り立ち(1) 太陽系の形成過程について解説し、比較惑星論的に地球環境の特異性とその理由を考える。 【復習】「太陽系の形成過程」「内惑星と外惑星の違いとそれが生じた理由」「地球と金星・火星の環境の主な違いとそれが生じた理由」について説明できるようにする。 |
第5回 | 地球環境の成り立ち(2) 地球環境の進化過程と、これにおける地圏・水圏・気圏の相互作用について理解する。 【復習】「現在までの地球大気組成の変化とその理由」を説明できるようにする。 |
第6回 | 地球大気の構造~オゾン層破壊(1) 地球大気の成り立ちと大気成分の光化学反応について概観し、オゾン層の形成と役割・フロンガス(CFC類)によるオゾン層破壊の発見の過程について理解する。 【復習】「地球大気の構造(対流圏・成層圏・中間圏・熱圏)とこれができた理由」、「オゾン層でのオゾン生成反応と環境への作用」について説明できるようにする。 |
第7回 | オゾン層破壊(2) オゾン層破壊(ClOxサイクル及び極域でのオゾンホール形成)のメカニズムと破壊の現状について理解する。 【復習】「ClOxサイクルとその終止反応」「極域でのオゾンホールとその特徴、形成メカニズム」について説明できるようにする。 |
第8回 | オゾン層破壊(3) オゾン層保護対策の流れと、フロンガス(CFC類)の特性・代替フロンとその問題点について理解する。 【復習】「CFC類の基本構造」「代替フロン類の構造とこれによるオゾン層保護対策の考え方・問題点」「オゾン層破壊の現状」について説明できるようにする。 |
第9回 | 地球の気候システム 地表付近の気候を支配する地球の熱収支と温室効果のメカニズム,赤外線と分子の相互作用(温室効果気体)について理解する。 【復習】「大気の温室効果」「温室効果気体分子とその作用」「地球の熱収支」「地球の気候を制御している基本要素」について説明できるようにする。 |
第10回 | 温室効果と地球温暖化(1) 温暖化要因①(各温室効果気体と温暖化能・GWP,二酸化炭素の生物地球化学的循環)について理解する。 【復習】「地球の気候に影響を与える主な人為的要因とその影響」「放射強制力」「温暖化能・GWP」「二酸化炭素の循環とその現状」について説明できるようにする。 |
第11回 | 温室効果と地球温暖化(2) 温暖化要因②(エアロゾル・雲の影響),人為的温暖化の評価法と温暖化の現状,今後の予測(シミュレーション)の方法と現状について理解する。 【復習】温暖化予測の方法とその現状・問題点について説明できるようにする。 |
第12回 | 温室効果と地球温暖化(3) 予想される温暖化影響と現在の気候変動対策の考え方,気候変動対策(京都議定書)とその現状,二酸化炭素の回収・貯留技術について理解する。 【復習】「気候変動対策の現状とその考え方・問題点」「二酸化炭素回収・貯留技術の現状とその問題点」について説明できるようにする。 |
第13回 | 放射性物質の環境影響とそのリスク 核分裂生成物及びそこから生じる放射能についての基礎的知識とその環境影響について理解する。 【復習】「各種放射線とその違い」「核分裂反応とその制御」「放射線の生体への影響」について説明できるようにする。 |
第14回 | リスクの考え方(1) リスクとは?リスクの性格的分類と評価について理解する。 【復習】「リスクとその種類」「閾値の有無によるリスク評価方法の違いと問題点」について説明できるようにする。 |
第15回 | リスクの考え方(2) リスクの統一的評価の手法及びリスクに基づく判断について概説する。 【復習】「リスクの統一的評価法」「リスクに基づく判断の必要性と問題点」について説明できるようにする。 |
その他
教科書 |
御代川喜久夫 著 『 環境科学の基礎』 培風館 2004年 第2版
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参考書 |
テキストの参考文献欄にあるものの他、講義内で適宜指示する。
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成績評価の方法 及び基準 |
主に定期試験の結果に基づいて評価する。 |
質問への対応 | 講義中および講義の前後、またはオフィスアワーで対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
船橋校舎821号室 |
オフィスアワー |
水曜 船橋 18:30 ~ 19:30
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学生への メッセージ |
地球環境は科学にとって最も複雑といえる対象であり、理解のためには自然科学の各分野に関する最低限の知識が必要になります。可能な限りサポートするつもりですが、足りない部分は自分で少しでも埋めるよう努力する姿勢を持つこと。 |