2017年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 | 教)道徳教育の理論と方法 | ||
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 2年 |
担当者 | 吉澤 良保 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 土曜1 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | Y61A |
クラス | 一般教育 |
概要
学修到達目標 | 生徒に生きる喜びや勇気を抱かせる内容の資料を活用して、生徒自らが人間の弱さやもろさと向き合い、人間としての在り方生き方を広い視野から考えていくことができるようになる指導法、また、生徒の体験的な活動や他の教科、特別活動、総合的な学習等との関連を図りながら考え見つめる事ができるようになる指導法を習得する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
講義形式の授業が主となるが、授業者が配布する資料を通して道徳指導に必要な価値内容の分析を行う。加えて、学生が抱く不安、各教科の授業と道徳授業の相違はどこにあるかを納得できるよう随時、質問を受け付ける授業を展開する。また、リアクションペーパーを活用して前時における確認を行うとともにクラス全員が共有できるようにする。 |
履修条件 | 今日的テーマであるいじめ、不登校、人権、高齢社会、福祉、環境にかかわる新聞、雑誌、インターネット情報等に関心を払い、自らの意見、感想を持てるようにしておく必要がある。 |
授業計画
第1回 | 平成31年度に開設される「特別の教科 道徳」(道徳科)では何を学習する教科なのかについて配布資料を基に講義する。加えて、道徳科の成立過程について昭和33年以降から現在に至る「道徳の時間」、戦前の「修身科」との比較説明を行う。 |
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第2回 | 前時に引き続き、「特別の教科 道徳」(道徳科)における教科書の使用の必要性とその意義、評価方法、学習過程で重視する「考え、議論する」深層学習と体験的学習について講義する。加えて、配布資料を基に「22の道徳の内容項目」の意味と配列順の意味について説明する。 |
第3回 | 道徳授業の指導法で昭和33年以降、「勝部真長」「青木孝頼」「平野武夫」「村上敏治」「井上治郎」らが開発提唱した指導理論を講義する。加えて、ZPD(最近接発達理論)及び レイブとウェンガーのLPP理論にも言及していく。 |
第4回 | 前時に引き続き、道徳授業を支える学習指導理論を講義する。その際、道徳授業では個人を社会化していくために要請される内面化と習慣化が輻輳することを確認する講義となる。 |
第5回 | 道徳科の学習指導案を作成する際に必要な基礎知識を講義するなかで、道徳の内容項目を意図的計画的に行うのに必要な道徳教育の全体計画、道徳科の年間指導計画等の説明をもとに配布資料で確認する作業を行う。 |
第6回 | 道徳の内容項目22の配列と4つの区分について、第2回の講義内容を前提に講義を深化する。配布資料「青い鳥」を基にローレンス・コールバーグの道徳性発達理論の説明を行うが、学生は「幸福」とは何をもって概念規定されるものなのか、について自ら考え、友人と議論することが期待される。 |
第7回 | 配布資料を基に道徳授業における「発問」をどのように作成し、生徒とのやりとりの過程で教師は道徳的内容に含まれる価値を「補充・深化・統合」するのかについて講義する。その際、レフ・ヴィゴツキーの活動理論を参考に「発問の三角形」を自らが作成し、検証する。 |
第8回 | 第2回、6回で講義した内容項目の配列の意義について確認、検証する過程で、道徳性と道徳的実践力の意味についての理解を深めていく。加えて、持続可能な社会づくり、人づくりの参考になるESDの内容についての講義を行う。 |
第9回 | 道徳科における評価の仕方について説明する。その際、生徒の気づき、考え、議論の仕方、人間として在り方生き方への関心度合をどのように教師が認識し、記録していけばよいかについて配布資料を使用して説明する。 |
第10回 | 資料(本多静六の生き方)を使用してセレンディピティ(の概念にみる偶然の発見)(予想外の出会い)について講義する。また、指導過程における中心発問の設定と生徒との問答法について説明する。加えて道徳性を育成するのに必要な「つながりを通して今までに無かった何かを生みだしていく」というへブの法則について講義する。「どうとく |
第11回 | アダム・スミスが「道徳感情論」で指摘したパラドックス(逆説)とシンパシー(共感)について講義するとともに、二宮金次郎が唱道した「心田開発」「協働の精神」の必要性について資料を用いて説明する。 |
第12回 | 資料を使用して考える道徳授業を展開するのに参考となる心の内に在る(憎悪)(嫉妬)(不安)(愛)(喜び)(悲しみ)(欲望)などの「情念」を増大させていく「想像力のピン」について講義する。 |
第13回 | 道徳授業の展開に参考となるアランの「幸福論」にみる「連帯」という発想について講義するとともに、デカルトのジェネロジテについて説明する。 |
第14回 | 約束や社会のきまりを守る必要性は理解しても「偶然の出来事」で片隅によけられ、希薄化していく道徳性について資料(二通の手紙)を使用して検証する。その際、資料中に埋め込まれている「ささいな表現」にどう着目できるかが生徒の人間として在り方生き方に影響を与えるかについて授業者の体験を基に講義する。 |
第15回 | 第1回から14回までの講義のポイントをノートで確認するとともに、配布資料をナンバリングして常に確認できるように整理する。 |
その他
教科書 | |
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参考書 |
吉澤良保『人間理解と道徳教育』(日本文教出版、2007年)を参考にすると講義の概略が俯瞰できる。
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成績評価の方法 及び基準 |
定期試験(70%)リアクションペーパーの提出(10%)出席(20%)として総合評価する。 |
質問への対応 | |
研究室又は 連絡先 |
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オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
現代という社会の中にあって、主として自分自身に関する事柄をいかに理解、認識して他の人や所属集団、郷土、国家、国際社会と関わっていけばよいかは難題である。また、環境問題や自然との関わり方にあってはどのように行動していくのがよいのかも同様である。こうした状況下で自分の在り方生き方をどう構築していけばよいかを考え、他の人や教師と議論し合っていく基盤づくりが本講義の内容となる。 |