2018年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 |
倫理学
「豊かさ」と「しあわせ」のRe-DESIGN
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 1年 |
担当者 | 勢力 尚雅 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜3 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | P33B |
クラス | 全学科 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 「あたりまえ」や「ふつう」って何? 「知恵」と「知識」,「恋」と「愛」,「区別」と「差別」の違いって何? 「正しさ」と「楽しさ」,「理性」と「感情」の関係はどんな関係? 「公益」のために個人の「自由」や「プライバシー」は制限されるべき? 「人工知能」のような科学技術に何をどこまで任せるべき? 「倫理」とか「人間らしさ」ってどういう意味? これらの概念を考え続けた古今東西の思想家や,最新の学問的知見や多様な作品と対話しながら,世界観・人間観・科学技術観・恋愛観・死生観・倫理観などを自分でデザインしなおす作業を通じて,受講者の倫理的思考力を鍛えます。 |
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授業形態及び 授業方法 |
講義を聴いて考えたこと・感じたことなどミニレポートを作成し授業直後に提出する |
履修条件 | 予備知識は特に必要ありません。映画やマンガ、絵本などを題材として、私たちのもっている無数の「あたりまえ」について根本から点検する時間です。 環境ライフサブメジャー・コース設置科目 |
授業計画
第1回 | 倫理学の弁明…私・他者・世界と出会いなおす「冒険」へのお誘い (和辻哲郎、三木清、メルロ=ポンティら) 【予習】シラバスを予め読み、何のために履修するのか考えておく。 【復習】勉強と学問、科学的探究と倫理学的探究の関係を再考する |
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第2回 | 感性と宗教…「見とれるような相手」との出会いってどんな体験? (映画『となりのトトロ』、人類学、ハイデガー、ベイトソン、ヒュームら) 【予習】物を道具と見る時代に環境問題の解決が可能なのか、予め考えておく。 【復習】感性、解釈学的循環、神、迷信、大人などの言葉をめぐって再考する。 |
第3回 | 「神」に頼りにくい時代の幸せの条件って何?…哲学者と詩人のビミョーな関係 (映画『イル・ポスティーノ』、プラトン、ギリシア悲劇作家、和辻哲郎ら) 【予習】「幸福」とは何?幸福になるためには何が必要か、予め考えておく。 【復習】詩的探究と、哲学や倫理学の探究における言語観の相違を再考する。 |
第4回 | エロース讃歌…御し難いエロースの狂気の「第五の行方」を讃えて (映画『千と千尋の神隠し』、『エヴァンゲリオン』、プラトン、九鬼周造ら) 【予習】「恋」は「よい狂気」といえるか、予め考えておく。 【復習】「エロース」と「イデア」をめぐるプラトンの考察を再考する。 |
第5回 | 呪縛のコミュニケーションと贈与のコミュニケーション (映画『スタンド・バイ・ミー』、アリストテレス、フーコーら) 【予習】「恋」と「愛」の相違について、予め考えておく。 【復習】「聴く」ことを実践するとともに、それが難しい理由を再考する。 |
第6回 | 生命操作時代の「人間」…区別と差別をつなぐものは何? <科学と技術の発達>と<エロースとフィリア>の両立に何が必要? (『ブラック・ジャックによろしく』、プラトン、ロック、ホッブズら) 【予習】「~は人間である」という判断はどのように可能か、予め考えておく。 【復習】授業で紹介した様々な生命操作技術をめぐる倫理的諸問題を再考する。 |
第7回 | ポスト・ノーマルサイエンス時代の情報倫理…科学技術と倫理学の共同探究 (映画『PSYCHO-PASS サイコパス』、アリストテレス、宮下紘ら) 【予習】人工知能は人間の判断をどこまで代行すべきか、予め考えておく。 【復習】倫理的判断を下す能力と、それを行使する自由について再考する。 |
第8回 | 世界像の操作・改変を企てる人間理性への抱負と不安―脱魔術化による再魔術化 (映画『マトリックス』、デカルト、要素還元主義の方法、ハイデガーら) 【予習】「仮想現実」と「ほんとうの現実」の相違は何か、予め考えておく。 【復習】近代科学の方法的特徴とポストノーマルサイエンスの関係を再考する。 |
第9回 | 「知」の身分と確実性への反省への旅 (デカルト、ロック、ヒューム、カントら) 【予習】因果的判断はどんな根拠に基づいて下されているか、予め考えておく。 【復習】私たちの知性の特徴と限界について再考する。 |
第10回 | 「これが人間か!?」…アウシュヴィッツは終わらない (映画『es』、プリーモ・レーヴィ、ホッブズ、アーレント、エーコら) 【予習】「いじめ」はなぜなくならないのだろうか、予め考えておく。 【復習】「協調」と「共謀」の関係、「ファシズム」について再考する。 |
第11回 | 文明は私たちをどこに連れて行くのか?(1)…ホッブズ・ヒューム・レーヴィ (ドラマ『火垂るの墓』、ホッブズ、ヒューム、レーヴィ、レヴィナスら) 【予習】人と人の協調を可能にするもの、失敗させるものを、予め考えておく。 【復習】新しいルールを共創し続けるためのフォロワーの役割を再考する。 |
第12回 | 文明は私たちをどこに連れて行くのか?(2)…カント・末人 (『Liar Game』『DEATH NOTE』、カント、ドストエフスキー、ニーチェら) 【予習】「~のために生きる」の「~」に何が入るか、予め考えておく。 【復習】互いを手段としてのみ扱わないという実践の遂行可能性を再考する。 |
第13回 | 美的な企てとしての生…クリエイティブな探求と表現の倫理 (『星の王子さま』、『こころ』、ロマン主義、ニーチェ、クレーら) 【予習】「ナルシシズム」と「創造性」の関係について、予め考えておく。 【復習】「私」や「個性」と「表現」の関係について再考する。 |
第14回 | 末人(偽ベテラン・サイコパス)の自閉への処方箋―スミス・ベンサム (映画『七人の侍』、アダム・スミス、ベンサムら) 【予習】近代化に伴う「道徳感情の堕落」の要因について予め考えておく。 【復習】「末人の自閉」の諸形態と、それに対する処方箋について再考する。 |
第15回 | ブラックボックス化する時代の「正義」と「享楽」の一致を共同探求するために (J.S.ミル、ジョイス、ヌスバウム、下條信輔、ジョナサン・ハイトら) 【予習】「最大多数の最大幸福」の促進は「正義」か、予め考えておく。 【復習】自尊心と懐疑、自尊心と言葉の関係について再考する。 |
その他
教科書 |
授業で配るプリントを用います。
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参考書 |
勢力尚雅・古田徹也『経験論から言語哲学へ』(放送大学教育振興会)。その他の参考書については、授業中に指示します。
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成績評価の方法 及び基準 |
毎回の授業内でミニレポートを作成し、授業直後に提出してもらいます。 そのミニレポートに毎回点数をつけ、それを累計して成績評価します。 したがって、授業への出席はもちろん、授業内に作成するミニレポートの内容を重視します。 |
質問への対応 | 講義後などに質問してください。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台3号館333研究室(月曜日) 船橋5号館 532研究室(水曜日) |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 12:20 ~ 13:00 333研究室
水曜 船橋 12:20 ~ 13:00 532研究室
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学生への メッセージ |
誰もが無意識のうちにやっている世界観・人生観の更新作業を、古今東西の先哲たちの意見を参照しつつ共同で進める時間です。現代を生きる私たちにとって切実ないろいろなテーマについて考えていく予定です。自分がこだわっていきたいテーマを探す時間として、ぜひお気軽に参加してください。 受講者数が多い場合には、第1回目の授業でセレクション(受講資格抽選)を行なう場合があります。 |