2018年 理工学部 シラバス - 教養教育・外国語・保健体育・共通基礎
設置情報
科目名 | 倫理学 | ||
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設置学科 | 一般教育 | 学年 | 2年 |
担当者 | 奥波 一秀 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | W12P |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 人のこと、行為をどう見るべきか、評するべきか、うけとめるべきか? 歴史的な出来事に即して、さまざまな倫理的問題とそのための諸前提を考える。この科目履修を通して、現在進行形の身近な事例について抽象的・原理的な思考を行う能力を身につけることができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
プリント・視覚教材等を適宜利用しながら講義を行う。毎回講義終了後にレスポンスカードを書いてもらい、そこで出された疑問・要望等を(次の)講義にフィードバックさせていく。 |
履修条件 | 中学ていどの歴史・社会の知識を前提とする。講義において、学生たちの事情にあわせて、適宜、歴史的背景については補足説明を行う。 |
授業計画
第1回 | 倫理学とはどういう学問か:人間存在の相互連関の事実性と、その見通しがたさ・制御不可能さがもたらす「倫理的」な諸問題について導入をはかる。 予習:「倫理」「道徳」という語の意味について調べる。 復習;「倫理」「道徳」についての理解を深める。 |
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第2回 | 日本国憲法の原則:国民主権、基本的人権の尊重、平和主義が日本国憲法の三大原則とされるが、この三つの原則の相互の関係はどうなっているか、考察してみる。 予習:憲法第九条についての近年の議論を調べる。 復習:講義をうけて自身の考えを深める。 |
第3回 | 戦争において顕在化する倫理的な諸問題について概説する。平時に対する戦時の特徴とはなにか。戦時においてこそ顕在化することとして、どのようなことがあるか、簡潔に先取りしながら、解説する。 予習:戦争に関する一般的なイメージ・言説を調べる。 復習:戦争に関する一般的なイメージ・言説の問題点を列挙する。 |
第4回 | 上記事例考察(1):特攻という現象の経緯と意味:慶応大学を早期卒業のかたちで学徒出陣し、特攻死した上原良司の事例に即して、特攻とはどのようなものだったか、解説する。 予習:特攻についての一般的なイメージ・言説を調べる。 復習:特攻に関する一般的なイメージ・言説の問題点を考える。 |
第5回 | 上記事例考察(2):志願か指名か強制か? 自由に決める、とはどういうことか? 特攻は形式上「志願」とされたが、上原良司の場合のように、かならずしも実質として「志願」だったわけではない。こうした事情について解説する。 予習:「自由に決める」とはどういうことか、自分なりに考えてみる。 復習:「自由」という概念についての理解を深める。 |
第6回 | 上記事例考察(3):挙国一致のもとの一般市民の位置:久米島事件は、敵国市民への戦争犯罪というカテゴリーにおさまらない、難しい問題を提起している。このことについて解説・考察する。 予習:戦争に関する一般的なイメージ・言説を調べる。 復習:戦争に関する一般的なイメージ・言説の問題点を列挙する。 |
第7回 | 上記事例考察(4):戦時の宣伝・教育の問題:「集団自決」とは、どのようなものだったか、どのような条件で起きたのか、いくつかの事例に即して、考察する。 予習:沖縄戦に関する一般的なイメージ・言説を調べる。 復習:沖縄戦に関する一般的なイメージ・言説の問題点を考える。 |
第8回 | 上記事例考察(5):構造的な問題としての徴発:中国大陸その他において、日本軍は兵站の弱いままに展開し、現地での「徴発」を必要とした。この構図、それがもたらした問題について、考察する。 予習:日中戦争に関する一般的なイメージ・言説を調べる。 復習:日中戦争に関する一般的なイメージ・言説の問題点を考える。 |
第9回 | 上記事例考察(6):開戦・戦争遂行を支持する論理・心理:非戦闘員としての民間人が、戦争を支持する理由は、どのようなものだったか。満蒙開拓団等の事例にそくして、銃後における戦争の問題を考察する。 予習:満州事変に関する一般的なイメージ・言説を調べる。 復習:満州経営に関する一般的なイメージ・言説の問題点を考える。 |
第10回 | 上記事例考察(7):大東亜共栄、五族共和などの理念と現実。日中戦争、太平洋戦争における戦争遂行の目的、理念、名目はなんだったか。対して「実態」はどうだったか。当時のいくつかの証言等に即して考察する。 予習:戦争遂行目的に関する一般的なイメージ・言説を調べる。 復習:戦争遂行目的に関する一般的なイメージ・言説の問題点を考える。 |
第11回 | 上記事例研究(8):スパイ・便意兵の問題:戦時国際法の理念と限界:ニューギニアその他において、スパイ容疑での現地人の殺害が起こり、戦後、BC級犯罪として処罰されることになった。こうした問題を、いくつかの事例に即して、考察する。 予習:戦時国際法の歴史について大まかに言説を調べる。 復習:実際の現地人殺害が当時の戦時国際法からみてどう評価・判断されうるか、自ら考える。 |
第12回 | 戦争の総括・事後処理の問題:(侵略的な)開戦の責任/戦争遂行中の「犯罪」/敗戦の責任/戦後責任といった、戦争の問題を考える上で厳密に理解しておくべき、基本的なカテゴリーについて説明する。 予習:「戦争責任」に関する一般的なイメージ・言説を調べる。 復習:「戦争責任」に関する一般的なイメージ・言説の問題点を考える。 |
第13回 | 上記事例研究(1):東京裁判とBC級裁判の差異。東京裁判の事実関係を説明すると同時に、開戦責任・戦争責任を追及する東京裁判の原則、問題点等を概説する。 予習:東京裁判に関する一般的なイメージ・言説を調べる。 復習:東京裁判に関する一般的なイメージ・言説の問題点を考える。 |
第14回 | 上記事例研究(2):東京裁判の意義と限界:ブレークニーの主張とその再検討、判決における少数意見の再検討を通して、東京裁判の今日的な意味を考える。 予習:原爆投下に関する一般的なイメージ・言説を調べる。 復習:原爆投下の是非に関して自ら考える。 |
第15回 | まとめ:14回の講義においてあつかった諸事例をふりかえりつつ、戦争責任等、戦争の問題に関する基本的なカテゴリー、分析枠組み等を再確認し、講義全体の総括とする。 予習:日中戦争、太平洋戦争の事例から、倫理学的な問題をいくつか抽出・定式する。 復習:上記問題についてみずから考える。 |
その他
教科書 | |
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参考書 |
鴋澤歩(編) 『ドイツ現代史探訪』 大阪大学出版会 2011年
ドイツにおける「過去の克服」について論じた章を参考にしてほしい。
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成績評価の方法 及び基準 |
ミニ・テスト等により、総合的に判断する。最低限の基礎知識と、諸問題の的確な消化にもとづく自分なりの思考、この二点が評価のポイントとなる。 |
質問への対応 | maginost@yahoo.co.jp に連絡・質問すること |
研究室又は 連絡先 |
maginost@yahoo.co.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |