2018年 大学院理工学研究科 シラバス - まちづくり工学専攻
設置情報
科目名 | 環境心理学特論 | ||
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設置学科 | まちづくり工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 本山 友衣 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜4 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | E14A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 環境心理学は,物理的な環境だけでなく,対人関係などの社会的環境も含めた総体的な環境と人との関係について探求する学問領域である。本講義では,都市空間行動に関わる英語文献の講読を通じて,環境心理学に対する知識と理解を深める。これまで人間-行動研究の中で研究されてきた事例について理解し議論を行うことで,環境心理学の知識に基づきながら都市環境の中の問題を発見し,その解決方法を提案する力を身につける。 |
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授業形態及び 授業方法 |
本講義は,環境心理学の概論的な講義と受講者による発表によって構成される。受講者は自分の興味関心に応じて書籍の章を選択し,その内容と自分の意見について発表し,全体で議論を行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
予備知識はとくに求めない。受講者は全講義の中で一度発表することが求められるので,その回の授業に割り当てられた受講者は文献を精読したうえで,配布資料を受講者の人数分用意しておくこと。 |
授業計画
第1回 | 環境心理学とは/環境心理学の歴史と研究の概観,書籍や論文の紹介と授業スケジュール(割り当て回)の決定 [準備]シラバスの内容を確認の上,授業に臨むこと |
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第2回 | 環境の知覚と認知に関する概論と全体議論/視覚,そして視覚以外の認知,認知地図を中心に解説する [準備]頭の中にある大学キャンパス周辺の地図を,地図を見ないで書いてくること |
第3回 | 環境の評価に関する概論と全体議論/環境評価の基礎次元と選好を説明する様々なモデルについて解説する [準備]人々に好まれる環境の要素には,どのようなものがあるか考えてくること |
第4回 | 都市での人間行動選択に関する概論と全体議論/パーソナル・スペース,テリトリアリティについて解説する [準備]街や大学で,人と人がどんな距離で行動しているか観察してくること |
第5回 | 環境心理学におけるパーソナリティに関する概論と全体議論/パーソナリティが環境評価や行動にどう影響するか考える [復習]講義中に心理検査を体験するので,結果を簡単にまとめておくこと |
第6回 | 都市・社会環境における環境心理学的研究に関する概論と全体議論/場所愛着と社会的ジレンマを中心に解説する [復習]講義中に体験する2者間のジレンマをふまえて,コモンズのジレンマの解決方略を考えること |
第7回 | 自然環境における環境心理学的研究に関する概論と全体議論/ストレスと自然が人にもたらす効果について考える [復習]講義中に環境評価の小実験を行うので,結果を簡単にまとめておくこと |
第8回 | 環境犯罪学の概論と全体議論/環境デザインによる防犯や割れ窓理論,サークル仮説等について紹介する [準備]日常生活で犯罪不安が高いと感じる場所について,その特徴を考えてくること |
第9回 | 発表と議論(1)/患者・利用者が参加した病院の改修プロジェクトの事例を取り上げる(参考書No.1 Chapter4他) [準備]割り当てられた受講者は資料を用意し,発表できるようにしておくこと |
第10回 | 発表と議論(2)/大学寮において社会的交流を検討した事例を取り上げる(参考書No.1 Chapter7他) [準備]割り当てられた受講者は資料を用意し,発表できるようにしておくこと |
第11回 | 発表と議論(3)/精神科病棟において空間配置と利用者間の社会的交流の関係を検討した事例を取り上げる(参考書No.1 Chapter8他) [準備]割り当てられた受講者は資料を用意し,発表できるようにしておくこと |
第12回 | 発表と議論(4)/小公園の改修とコミュニティデザインの事例を取り上げる(参考書No.1 Chapter9他) [準備]割り当てられた受講者は資料を用意し,発表できるようにしておくこと |
第13回 | 発表と議論(5)/街路に賑わいをもたらすために,交通量や街路での活動に着目した事例を取り上げる(参考書No.1 Chapter10他) [準備]割り当てられた受講者は資料を用意し,発表できるようにしておくこと |
第14回 | 発表と議論(6)/環境デザインの工夫による犯罪防止・軽減の概念である「守ることのできる空間」の導入事例を取り上げる。(参考書No.1 Chapter11他) [準備]割り当てられた受講者は資料を用意し,発表できるようにしておくこと |
第15回 | これまでの講義・発表内容の整理とまとめ [準備]これまでの講義・発表内容について復習しておくこと |
その他
教科書 |
とくに定めません。 講義の中で,必要に応じて資料等を配布します。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
Cherulnik, P. D., Applications of Environment-Behavior Research: Case Studies and Analysis, Environment and Behavior, Cambridge University Press, 1993
羽生和紀 『環境心理学:人間と環境の調和のために』 サイエンス社 2008年
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成績評価の方法 及び基準 |
発表課題およびレポート(70%),講義時の積極的な討議への参加態度(30%) |
質問への対応 | 講義後教室にて。 |
研究室又は 連絡先 |
初回の講義において開示します。 |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
担当教員の専門は環境心理学で,主に都市景観の評価について視覚的特性と感情的評価の観点から研究してきました。専門的な知識のない,一般の人がどのように街を感じ行動しているのか,どのような都市空間が求められているのかについて文献を読みながら一緒に考える機会になればと思います。また,各回の内容を体験できるような機会(小実験等)を設けますので,積極的に取り組んでください。講義や他の受講者の発表回でも,受講者は各回必ず一度は発言するようにしましょう。 |