2019年 理工学部 シラバス - 土木工学科
設置情報
科目名 | 海岸環境工学 | ||
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設置学科 | 土木工学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 前野 賀彦 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | A43R |
クラス | |||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 四海に囲まれた我が国の国土の特殊性から、国民の多くが沿岸部に居住しており、沿岸域における環境保全や防災・減災問題と密接に関わっている。そこで、自然環境と調和した沿岸域利用の理念とその利用技術について学習する。 項目的な知識だけの学習ではなく、海岸環境をどのように保全するのか、そのためには何をなすべきなのか、それを実行するためにはどのような知識が求められるのか理解を深める。 |
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授業形態及び 授業方法 |
視聴覚機材(PC,VIDEO)を活用し、実際の施工例を用いて具体的な計画・調査・設計・施工の一連の流れが理解できるように講義を組み立てている。簡単な設計項目については実際に簡略な計算を科し、常識的な設計諸数値の範囲を認識させている。さらに、沿岸環境の修復・保全技術にも言及する。全員に質問を行うことは困難であるが、適宜受講者に質問を投げかけ、前回までに学んだ事柄を復習する機会を設けている。授業内容には実務上使われる内容もあり、社会に出て実際の設計ができるよう心がけてる。 |
履修条件 | 水理学、地盤力学、応用力学の基礎的知識があることが望ましい.また、欠席せずに毎回授業を受講できることが求められる。 |
授業計画
第1回 | 人間社会と沿岸域 沿岸域とは/人類の沿岸域との関わり/沿岸域利用 授業を始める前に全体の授業計画を述べ、継続的出席の重要性を強調する。沿岸域の管理や開発に伴う海岸環境工学や、海岸工学、港湾工学の重要性の理解を求める。 自宅学習として事前にシラバスを確認すること(30分程度)、また沿岸域の定義や開発と管理について整理しながら復習することを求める(90分程度)。 |
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第2回 | 沿岸域開発とその実例 米国における沿岸域開発/欧州における沿岸域開発/日本における沿岸域開発 開発理念と開発のプロセス 住民参加/環境アセスメント/ミチゲーション 自宅学習として事前にシラバスを確認すること(30分程度)、及び米国や日本の沿岸域開発に伴う諸問題とその対策について復習し、自分なりの沿岸域開発に対する考えをまとめておくことを求める(90分程度)。 |
第3回 | 沿岸域管理と環境保全 沿岸域管理者/海岸法/漁港法/その他関連法規 オイルスピルと水質保全 油濁/汚濁/赤潮/青潮/環境保全関連法規 自宅学習として事前にシラバスを確認すること(30分程度)、及び沿岸域管理と環境保全に伴う各種法令を復習し、歴史的に法令のコンセプトどのような考え方に基づき編成してきたかを確認することを求める(90分程度)。 |
第4回 | 沿岸環境の修復と保全 ウエットランド/ベジテーション/バイオレメディエーション/ 環境修復の実例/米国における干潟の造成 自宅学習として事前にシラバスを確認するとともに(30分程度)、沿岸環境の修復と保全手法についてそれらの特質を整理し問題点を抽出しておくことを求める(30分程度)。事後学習として沿岸環境の修復と保全における問題点を講義資料再確認の上認識を深めることを求める(60程度)。 |
第5回 | 閉鎖水域の環境汚染と対策I 環境汚染の概要、環境汚染基準、底質の汚染対策 以後2回の授業では自宅学習として事前にシラバスを確認し(30分程度)、事後学習として閉鎖水域における環境汚染とその対策について知識を整理するとともに、これからどのような手法が考えられるのか知識を整理しておくことを求める(90分程度)。 |
第6回 | 閉鎖水域の環境汚染と対策II 水質汚染対策 自宅学習として事前にシラバスを確認し(30分程度)、事後学習として閉鎖水域における環境汚染とその対策について知識を整理するとともに、これからどのような手法が考えられるのか知識を整理しておくことを求める(90分程度)。 |
第7回 | 海岸地形 海岸の分類/海岸断面/沿岸砂州 沿岸災害の概要 護岸の決壊/海岸侵食/高潮/津波 自宅学習として、事前にシラバスの内容を確認し、沿岸災害について知識を整理するとともに、問題点の抽出を行なっておくことを求める(30分程度)。事後学習としては沿岸災害とその対策について整理した教材を再度読み返し既存の対策の問題点を自分なりにまとめておくことを求める(90分程度)。 |
第8回 | 海岸侵食とその対策 侵食と堆積/河口埋没/漁港・港湾埋没/浚渫/漂砂/海岸護岸 海岸侵食対策工とその施工例 離岸堤/突堤/人工リーフ・潜堤/ヘッドランド工法/サンドバイパス工法 自宅学習として、事前にシラバスの内容を確認し、古典的な海岸侵食とその対策について知識を整理するとともに、問題点の抽出を行なっておくことを求める(60分程度)。事後学習としては海岸侵食とその対策について整理した教材を再度読み返し既存の事前学習でまとめた対策の問題点を再度確認することを求める(90分程度)。 |
第9回 | 漁村整備と過疎化対策 日本の漁村/小規模漁村整備/沿岸整備事業 マリーナと漁港ネットワーク マリーナ/漁港整備/海洋性レクリエーション 自宅学習としては事前にシラバスの確認(30分程度)、事後学習としては、漁村整備と過疎化対策について知識を整理するとともに(60分程度)、近くの漁港区域を見学する機会を設けて実際の状況を把握してもらいたい(半日程度)。 |
第10回 | 海岸構造物の耐震設計 地震による海岸構造物の被害/震度法/地震応答解析 地震による海岸構造物の被災例 震度法による耐震設計の演習を行う。 自宅学習としては事前にはシラバスの確認を求め(30分程度)、事後学習として授業内で行った演習の流れを自分自身でなぞり震度法に基づき耐震設計が行えるよう計算実習の復習を行うことを求める(90分程度)。 |
第11回 | 各種波の理論 規則波と不規則波/深海波/浅海波/長波/津波 波浪推算 波別解析法/ゼロダウンクロス法/代表波法/有義波/最大波/波浪スペクトル 波浪推算に関する演習を授業時間内に行う。 自宅学習として事前にシラバスの確認を求める(30分程度)。地震で波浪推算ができるか演習の結果をおさらいして、確実に波浪推算ができるようにすることを求める(120分程度)。 |
第12回 | 線形波理論の誘導 微小振幅波/水粒子速度/波速/波群/群速度/重複波/波圧/波のエネルギー 海岸構造物の耐波設計 重複波圧/砕波圧/広井公式/サンフルー式/合田式/ミニキン式 授業時間内に講義と併せて実際の耐波設計に基づく演習を行う。 自宅学習では事前にシラバスの確認を行い(30分程度)、事後学習としては授業時間に行った演習計算問題を自分自身で導くことができるまで反復演習することを求める(90分程度)。 |
第13回 | 沿岸の流れ 沿岸流/離岸流/海浜流/底引き流れ/潮流/海浜流系統 波の変形I 波のエネルギー/波の浅水変形/砕波 授業中に実際の計算演習を潜水変形について行う。 自宅学習では事前にシラバスの確認を行い(30分程度)、事後学習として自宅で授業中演習を行った潜水変形の計算を再度自分で行い計算法を習得するとともに、授業中説明した屈折について自ら計算できるよう自習を求める(120分程度)。継続して後期設置の『海岸施設の設計と管理』の受講を強く求める。 |
第14回 | 波の変形II 屈折/回折/反射/海底摩擦 波・流れ解析 航跡図/深浅図/屈折図/波高分布 自宅学習では事前にシラバスの確認を行い(30分程度)、事後学習として授業中説明した回折について自ら計算できるよう自習を求める(120分程度)。 |
第15回 | 総合演習およびその解説 波浪推算の小試験を行い内容の解説を行う。 事前学習として第11回の授業で行なった波浪推算の演習内容をなぞり、手順良く波浪推算が行えるようにすることを求める(60分程度)。事後学習として試験後に行う解説を参考に再度計算手順を確認し以後間違えなく波浪推算をできるよう計算手法を習得することを求める(120分程度)。 |
その他
教科書 |
特定の教科書を指定しないが、参考書を推薦する。教科書の代わりに授業出席者にプリントを配付する。
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参考書 |
合田良實・佐藤昭二 『海岸・港湾』 わかり易い土木講座17 彰国社 1981年 第2版
合田良實 『港湾構造物の耐波設計』 鹿島出版会 1991年 第2版
椹木亨 『波と漂砂と構造物』 技報堂出版 1991年 第1版
上記以外にも数多くの参考書があるので、図書館等で目的に応じて閲覧することを推賞します。
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成績評価の方法 及び基準 |
基本的に定期試験を重視します。定期試験の割合は90%以上で、適宜課す課題は10%程度の割合で総合評価します。複数の専門知識や資料に基づき設計諸数値を求める力を問います。時間のかかる波浪推算などの理解度を確認するため理解度確認期間に中間的な試験を実施します。その配点は全体で問う理解度に対する割合で定期試験結果に按分します。 |
質問への対応 | 質問は授業終了後に受け付けます。それ以外はメールにて事前にアポイントを取ることを条件に研究室で対応します。電話による問い合わせには応じられません。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワースコラ10階S1001室 E-mail: maeno.yoshihiko@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 12:15 ~ 13:15 駿河台校舎タワースコラ10階S1001室
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学生への メッセージ |
本講義は幅広い専門分野を総合して成立っています。したがって、事前に幅広く専門科目を受講していることは有意義です。また、逆に本講義を受講した後関連した専門科目を受講することも一つの方法です。単に専門用語や公式を暗記するようなことをせずに、それらの背景を理解することを求めます。授業中に適宜設計諸数値の計算を求めますので、電卓・定規を持参して下さい。定期試験においても単に知識を求める問題ではなく設計値を求める計算問題や総合的な知識を問う問題を中心に出題しますので授業への出席が必須です。 |