2019年 理工学部 シラバス - 建築学科
設置情報
科目名 | 建築史Ⅱ | ||
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設置学科 | 建築学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 田所 辰之助 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | C32O |
クラス | 2組 | ||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 企画経営コースの系統図確認 建築コースの系統図確認 |
概要
学修到達目標 | 西欧近代の建築を扱い、1)近代建築への道のり、2)近代建築における造形的規範の変容、3)近代建築が目指した空間像、4)近代建築の多義性、の各項目について重点的に解説する。今日の建築の状況へさまざまな経路を通じてつながっている「近代建築」の特徴を理解し、その成り立ちを重層的に読み解いていきたい。時代・社会背景との関連のなかで建築を理解し、建築のデザイン・造形を幅広い視野から考えることのできる目を養っていきたい。 |
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授業形態及び 授業方法 |
全体を大きく4つの章に分け、近代建築の1)始動因、2)改革運動としての側面、3)空間、4)多義性、の各主題にもとづいて講義を進める。パワーポイントにより代表的作品を紹介しながら、その背景となる時代や社会背景を解説する。授業の中間期にレポートの作成、および学期末に試験を行い、その解説を通じて理解を深める。 |
履修条件 | 「建築デザインと歴史」を修得していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | イントロダクション(序論):なぜ歴史を学ぶのか/建築史(西欧)の見取り図-近代建築の位置づけ/授業スケジュールについて [事前学習]シラバスを通読し、授業の主旨と講義内容の全体構成について理解する。(120分) [事後学習]西欧における建築史の流れのなかで、近代建築の時代性とその独自性について、テキスト(教科書)や配布プリント、参考書等を参照して概要を知る。(120分) |
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第2回 | Ⅰ.近代建築への道のり(1):19世紀の状況 歴史主義の建築 「様式」の解体 建築の「原型」の追求 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[001/005/006/012](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、また時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の確立を目指しさまざまな試みが着手されるに至った社会的背景について理解を深める。(120分) |
第3回 | Ⅰ.近代建築への道のり(2):産業革命による建築の転換 新材料と空間の変容 建築か建物か シカゴ派の建築 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[007/010/011](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、また時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の確立を目指しさまざまな試みが着手されるに至った社会的背景について理解を深める。(120分) |
第4回 | Ⅰ.近代建築への道のり(3):ウィリアム・モリスとアーツ・アンド・クラフツ運動 「芸術」から「生活」へ 田園都市運動 ジードルンクと郊外 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[013/014/015/016](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、また時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の確立を目指しさまざまな試みが着手されるに至った社会的背景について理解を深める。(120分) |
第5回 | Ⅱ.近代建築における造形的規範の変容(1):「デザイン」の誕生 ドイツ工作連盟とバウハウス インターナショナル・スタイル(国際様式)への道のり [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[021/022/034/039/040](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の美的規範がつくられていった過程とその意義について考察する。(120分) |
第6回 | Ⅱ.近代建築における造形的規範の変容(2):美意識の転換 芸術運動とモダニズム デ・ステイル ロシア構成主義 「抽象」とは 国際的構成主義の成立 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[017/024/025/029/033/035](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の美的規範がつくられていった過程とその意義について考察する。(120分) |
第7回 | Ⅱ.近代建築における造形的規範の変容(3):近代建築と都市 都市文化の形成 アール・ヌーヴォー ウィーン分離派 CIAM [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[002/003/018/019/020](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築の美的規範がつくられていった過程とその意義について考察する。(120分) |
第8回 | 中間レポートおよび解説 [事前学習]授業前半の講義内容や配布プリント、教科書・参考書等を参照し、与えられたテーマについて要点を整理する。(120分) [事後学習]与えられたテーマをめぐって、関連する建築家やその作品と設計思想、時代状況をさらに調べ、近代建築の成立過程とその社会的要因、背景について理解を深める。(120分) |
第9回 | Ⅲ.近代建築の空間像(1):フランク・ロイド・ライトと有機的建築の系譜 地域性・場所性 空間の流動性 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[026/056](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築における空間のとらえ方の変容・展開過程について考察する。(120分) |
第10回 | Ⅲ.近代建築の空間像(2):住宅は住むための機械である ル・コルビュジエと近代建築の5原則 純粋形態 機能主義 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[032/038/046/053/058](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築における空間のとらえ方の変容・展開過程について考察する。(120分) |
第11回 | Ⅲ.近代建築の空間像(3):ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエとユニヴァーサル・スペース 空間の普遍性 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[041/048/059/060](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、近代建築における空間のとらえ方の変容・展開過程について考察する。(120分) |
第12回 | Ⅳ.近代建築の多義性(1):ドイツ表現主義の建築 神話と共同体 ブルーノ・タウトと日本 ロマンティック・ナショナリズム [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[023/026/027](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、さまざまな文化圏や地域性、時代性のなかで多様な現れ方を示す近代建築の事例について理解を深める。(120分) |
第13回 | Ⅳ.近代建築の多義性(2):1930年代の建築 全体主義の興隆 ナチス・ドイツと近代建築 イタリア・ラショナリズムの建築 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[047](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、さまざまな文化圏や地域性、時代性のなかで多様な現れ方を示す近代建築の事例について理解を深める。(120分) |
第14回 | Ⅳ.近代建築の多義性(3):近代建築の日本への導入 前川國男と丹下健三 メタボリズムの展開 近代建築と「伝統」 [事前学習]テキスト(教科書)内の下記番号の項をあらかじめ通読し、関連するテーマ、建築作品や建築家について予備知識を得る。[057/066/070/071/074](120分) [事後学習]授業内で扱った建築家の作品やその設計思想、時代状況をめぐってさらに調べ、さまざまな文化圏や地域性、時代性のなかで多様な現れ方を示す近代建築の事例について理解を深める。(120分) |
第15回 | 平常試験および解説・まとめ [事前学習]配布プリントや教科書・参考書等を参照し、近代建築の理解のあり方をめぐって、授業内で提示した各要点を中心にあらためて整理する。(120分) [事後学習]近代建築の確立が求められていった時代状況、社会背景についてさらに理解を深め、近代建築を多様な観点から理解し、現代建築との照応関係について考察する。(120分) |
その他
教科書 |
矢代真己、田所辰之助、濱嵜良実 『マトリクスで読む20世紀の空間デザイン』 彰国社 2003年 第1版
必要に応じ、関連資料を配布する。
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参考書 |
大川三雄、川向正人、初田亨、吉田鋼一 『図説 近代建築の系譜』 彰国社 1997年 第3版
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成績評価の方法 及び基準 |
中間レポート(30%)および期末試験(70%)を総合して評価する。 |
質問への対応 | 授業終了後に対応する。あるいは、下記の研究室を来室されたい。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワー・スコラ8階S817C室(田所研究室) |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 12:30 ~ 13:30 タワー・スコラ8階S817C室
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学生への メッセージ |
今日の建築の礎となる近代建築がどのような過程を経てつくられていったのか。建築家たちによるさまざまな試行錯誤があり、それぞれの建築のもつ豊かさにまずは目を向けていきたい。さらにもう一歩進めて、こうした試みがなぜ必要とされたのか、その時代背景や社会状況との関わりへも興味を広げていってほしい。 |