2019年 理工学部 シラバス - 海洋建築工学科
設置情報
科目名 |
浮体工学及び演習
浮体式の海洋建築物を計画する!
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設置学科 | 海洋建築工学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 居駒・相田 | 履修期 | 後期 |
単位 | 3 | 曜日時限 | 火曜2・3 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | D22F |
クラス | 海洋建築工学科3年 | ||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 海洋建築物を計画するにあたり,それを浮体式にすることで計画・設計の可能性は大いに広がるはずである。海面に構造物を浮かべるために必要な基本事項を修得しながら,安定して浮体を浮かべて簡易的な運動応答を扱えるようになる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
一部スライドを利用しながら全体像を解説するが,基本的には板書によって理論的取り扱いを解説しながら講義を進める。合わせてその内容を実際に演習することで具体的な計算方法を修得する。さらに,演習では電卓だけでなくパソコンを用いた効率的な計算を実施し,比較的複雑な式を計算しながら具体的な計算結果を求める演習を行う。(ノートPC,エクセルを利用) |
履修条件 | 海洋流体力学Iと水波工学Iの内容を修得していること。 |
授業計画
第1回 | 講義全体の解説と浮体式海洋構造物の用途/演習:海洋構造物の構造形式と固有周波数 【事前学修】:海洋構造物についてWEB検索により,どのような用途があり,どのような構造形式があるかをノートにまとめる。(120分) 【事後学修】:講義内容の整理と演習問題(180分) |
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第2回 | 重心の位置の算定/演習:重心位置の算定 【事前学修】:資料とその他の構造や流体力学の教科書を駆使して,断面の一次モーメントとその計算方法を理解しなおす。それを基に,重心位置の計算法を資料を使って予習する。(120分) 【事後学修】:講義内容の整理と演習問題の実施。(180分) |
第3回 | 浮体式構造物の静的安定性 基礎/演習:安定性の評価方法 アルキメデスの原理,浮力と重力のつり合い,偶力と合わせて,浮体の静的安定性の評価に必須であるメタセンタおよびメタセンタ高さを講義し,関連事項と計算法について演習する。 【事前学修】:浮力と重力,アルキメデスの原理を海洋流体力学Ⅰの教科書あるいはその他を使って復習するとともに,単位を確認してくる。また,矩形断面および円断面の断面二次モーメントを計算できるようにしておく。合わせて,資料を使って浮体のメタセンタ高さを求める計算をできるようにする。(120分) 【事後学修】:演習問題を復習しながら,メタセンタ高さと傾斜偶力や復原てこについて図解できるように復習する。(180分) |
第4回 | 浮体式構造物の静的安定性 発展/演習:外力による転倒モーメントと復原モーメント 風荷重(風圧力)などによる浮体の転倒モーメントの簡易評価法と,それによる傾斜に対する浮体の復原モーメントについて講義・演習する。 【事前学修】:三角関数および微小角における近似について復習する。また,力とモーメントおよび一次モーメントについて物理的意味を理解しながら計算できるようにしておく。(120分) 【事後学修】:演習問題を復習しながら,講義内容を整理して,自身で解説できるようにする。(180分) |
第5回 | 浮体式構造物の静的安定性 自由水の影響/演習:自由水による復原モーメントの変化および安定性評価 【事前学修】:参考図書#1の静的安定性,自由水の影響の項目を参考にしながら,前回までに学修した安定性が自由水によってどのように変化するかを理解する。また,不明な個所を整理しておく。(120分) 【事後学修】:演習問題を復習して完成させながら,自由水の影響と海洋建築物設計時の留意点をレポートとしてまとめる。(180分) |
第6回 | バラスト水の設定/演習:バラストタンクの位置と重量および重心位置の算定 【事前学修】:断面一次モーメントを使って,断面の図心を求める方法を復習する。重心高さの算定方法を復習する。参考図書#2の腐食と環境区分について内容を理解しておく。(120分) 【事後学修】:演習問題の復習と完成。講義内容を参考にしながら,バラスト水と腐食問題についてレポートとしてまとめる。(180分) |
第7回 | 中間テスト(浮体の静的安定性)および解説 【事前学修】:前半の講義と演習についてすべて復習しておく。(180分) 【事後学修】:テスト内容の復習および前半のノートの整理。(120分) |
第8回 | 海洋波中で海洋構造物が受ける波荷重/演習:海洋波の特性と圧力積分 海洋波の特性と分散関係式を理解して後者を数値的に解けるようにする。また静的・動的それぞれの水圧による全荷重を圧力積分によって計算する。 【事前学修】:参考図書#1の第2章を熟読し,海洋波の基本特性(波高,波周期,波数,円周波数,波長,海洋波の周期帯)と分散関係式を整理する。(基本的内容は水波工学Ⅰの復習である)(120分) 【事後学修】:演習問題の復習と完成。分散関係式をニュートンラフソン法によって数値的にExcelを使って解けるようにする。(180分) |
第9回 | 固定された円筒型海洋構造物に働く波荷重算定(モリソン式)/演習:波力計算 【事前学修】:モリソン式による円柱の波力計算を水波工学Ⅰの教科書と参考図書#1の対応ヵ所を読んで,基本事項を理解しておく。三角関数と双曲線関数およびその導関数を理解しておく。また,それぞれの関数を時間で偏微分できるようにする。(120分) 【事後学修】:演習問題内容の再確認と復習。また,モリソン式で波力を求める際の波浪場の状況を図解して説明できるようにする。(180分) |
第10回 | モリソン式による波浪荷重の算定と空間的な位相の考慮/演習:モリソン式による2本円柱に作用する波浪荷重算定 【事前学修】:空間的な位相と時間的な位相を正弦波形を用いて説明できるようにする。(120分) 【事後学修】:演習問題の整理と海洋構造物設計における重要性について実現象と照らし合わせながらレポートとしてまとめる。(180分) |
第11回 | フルードクリロフ力による簡易的な波力算定法/演習:圧力積分とフルードクリロフ力の算定 【事前学修】:参考図書あるはWEB検索によって,「波強制力」,「ディフラクション力」および「フルードクリロフ力」について調べてまとめる。(120分) 【事後学修】:講義内容の整理と演習問題の復習(180分) |
第12回 | 海洋波中における浮体の剛体運動と固有周期/演習:付加質量・造波減衰係数の簡易的な取り扱いと固有周期・固有周波数の算定 浮体の静的安定性と共に初期設計で非常に重要となる浮体の固有周期の設定を講義する。 【事前学修】:ニュートンの第二法則(ニュートンの運動方程式)について理解する。前回までの講義で学修した波の攪乱が浮体が動くこと自身で起きた場合には,どのような波荷重が作用すると考えられるかの仮説を立てる。(120分) 【事後学修】: |
第13回 | 小型円筒ブイの上下揺の固有周期の算定と実践/演習:自作模型による固有周期の計測と計算結果の比較 ペットボトルを使って小型ブイを製作し,その上下瑶の固有周期を水槽実験室で計測する。それを自身で理論的に求めた値と比較することで,計算の妥当性を理解するとともに,実現象を理解する。 【事前学修】:ペットボトルを指定した方法で用意し,重心高さを求める。また,喫水線の位置を把握しておく。その喫水線まわりの周長さを計測しておく。(120分) 【事後学修】:実験内容と結果等について講義された内容の視点で実施報告書をまとめる。(180分) |
第14回 | 理解度評価試験および解説/復習と理解度再評価 【事前学修】:これまでの講義および演習の総復習を行っておく。(180分) 【事後学修】:試験内容とその解説をノートに整理して,すべての解答ができるようにする。(120分) |
第15回 | 確認テストおよび講義全体の振り返りおよび海洋建築物設計とのかかわり/演習:海洋建築物設計時の留意点の確認 【事前学修】:これまでの講義を振り返りながら,海洋建築物の設計における留意点をレポートとしてまとめる。(180分) 【事後学修】:全体を通したノートの整理と本授業と海洋建築物設計への適用方法について講義内容を振り返りながらレポートにする。 |
その他
教科書 |
2年生の「海洋資源と開発技術」で使用した教科書を参考図書として利用する。
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参考書 |
日本船舶海洋工学会 『船舶海洋工学シリーズ12 「海洋構造物」』 成山堂書店 2013年 第初版
前田久明,近藤健雄,増田光一 『海と海洋建築』 成山堂書店 2006年 第初版
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成績評価の方法 及び基準 |
授業への参加意欲(質疑など)10%,演習課題40%,試験50% |
質問への対応 | 随時行う |
研究室又は 連絡先 |
居駒・惠藤・相田研究室 ikoma.tomoki@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
火曜 船橋 16:40 ~ 17:30 1341室にて対応する
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学生への メッセージ |
海洋工学分野に興味を持つ学生はもちろん,意匠系を目指す学生にもぜひ受講してもらい科目です。浮体を浮かべるための基礎事項を修得できます。 |