2019年 理工学部 シラバス - まちづくり工学科
設置情報
科目名 |
まちづくり倫理学
「共在」と「幸福」の循環的生成と構築をめぐる倫理学的探求
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設置学科 | まちづくり工学科 | 学年 | 4年 |
担当者 | 勢力 尚雅 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | E22P |
クラス | |||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 本科目は、古今東西の思想との対話を通じて、まちづくりのための倫理的思考力を養います。技術者倫理および専門応用学力 の達成に主力的に関与する重要な科目です。 また、デザイン能力・ファシリテイト能力・コミュニケーション能力を、専門的合理性だけに偏することなく、磨いていくために補足的に関与する科目です。 「まちづくりとは、何を、誰が、何のために、どのようにしてつくるものなのか?」という問いに対する人文社会科学からの探究手法を身につけます。 |
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授業形態及び 授業方法 |
テーマに関連する資料を配付し、資料のテキストを読んだり、関連する動画を視聴することを通じて問題の所在と連関を探り、板書を活用しながら、本質的な問いと、その問いをめぐって得られる複眼的な視点を探求します。 |
履修条件 | 古今東西の人文社会科学の知見や言説を通じ、「人間とは何者か、どのような方向に進みがちで、どのような可能性を秘めているか」といった問題を考えながら、まちづくりの倫理学を探求します。好奇心と探求心が履修条件です。予備知識はなくてもかまいません。 |
授業計画
第1回 | まちづくりのアフォーダンスをめぐる問題群 [スコットランドのエジンバラと『ジキルとハイド』の問題群] 【事前学習(80分)】 :あなだがつくりたい「まち」って何?「まち」は何が共在する場所か考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
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第2回 | 「ふれる」「ふれあう」とは、どんな経験か? ―ムラ(「扉」の外側)を求める私たち [ボードレール/ベンヤミン/鷲田清一/ジンメル/平田オリザら] 【事前学習(80分)】 :「オフィシャル」「オープン」「コモン」の関係について、予め考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第3回 | 扉の外に在るものとの「ふれあい」から何が生まれるのか? ―演劇的コミュニケーションの倫理 [坂部恵/隈研吾/ベンサム/ロールズ/セン/岡田美智男ら] 【事前学習(80分)】 :「まち」の発達おかげで達成されることと「ふれあい」の関係について考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第4回 | まちの「扉」① アトム的まちとスポンジ的まちの混ざりあいを探るサードプレイス [オルデンバーグ/宮台真司/茂木健一郎/吉見俊哉ら] 【事前学習(80分)】 :「まちの魅力を測る物差し」とは何かについて、予め考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第5回 | まちの「扉」② 価値観の対立する者どうしが「共創」することを阻むものは何? [平田オリザ/ギャスティル/サンスティーン/ローティー/ムフら] 【事前学習(80分)】 :「対話」や「合意形成」と似て非なることは何かについて、予め考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第6回 | まちの「扉」③ 「他人の目で物を見る」ための学びあいの場・語り合いの場とその仕掛 [岡田暁生/伊藤亜紗/熊谷晋一郎/ベンヤミンら] 【事前学習(80分)】 :デジタル社会における図書館の役割・可能性を、予め考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第7回 | まちの「扉」④ 世紀末芸術とモダニズムの思想と課題 [ホフマンスタール/クラウス/フロイト/マーラー/ジンメルら] 【事前学習(80分)】 :スペクタクル社会の貧困は何で、どのようにして生じるか、考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第8回 | まちの「扉」➄ イメージとのつきあいかた ―「逸脱の瞬間」を通じて「自分の中の他者性」に気づく境界の出入り [ランシエール/ナンシー/ブランショ/鷲田清一/橋川文三ら] 【事前学習(80分)】 :スペクタクル社会における美と政治の危うい関係について、予め考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第9回 | まちの「扉」⑥ 「安心社会」と「不寛容社会」の連鎖を断つ「対話」と「折衝」 [フーコー/ドゥルーズ/山岸俊男/平田オリザら] 【事前学習(80分)】 :「安心安全だが不寛容なまち」の特徴について、予め考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第10回 | まちの「扉」⑦ 言葉を翻訳・歪曲しあい仲介物を共創しあう「天使」のマナー [パウル・クレー/桑子敏雄/田北雅裕/ドゥルーズ/ジョナサン・ハイトら] 【事前学習(80分)】 :「まちを歩きをしていて気づいたささいな違和感とその処方箋」について考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第11回 | まちの「扉」⑧ 多様性が生む「内乱」とその処方箋としてのアジールの育て方 [プラトン/ホッブズ/アーレント/中沢新一ら] 【事前学習(80分)】 :「多様性」と「合理性」の副産物とは何か、考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第12回 | まちの「扉」➈ ケイパビリティを確保するための共同幻想のレシピ [ヌスバウム/柳田国男/南方熊楠/デランダ/モートンら] 【事前学習(80分)】 :「多様性」と「合理性」の副産物とは何か、予め考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第13回 | まちの「扉」⑩「共同幻想」と 「まち」とのつながり―対幻想の行方 [吉本隆明/テイラー/ハーマッハー/センら] 【事前学習(80分)】 :あなたが好きな「まち」に抱くイメージの正体とその根拠について考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第14回 | 21世紀の展望とネットワークの課題 ―少子高齢化・科学技術の発達等から見える30年後の「まち」について 【事前学習(80分)】 :30年後の未来世界を構想しながら、「まちづくり」に必要な複数の視点を考えておく。 【事後学習(160分)】 :授業後、図書館に足を運び、授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき 文献(複数)を自ら探し、それらを批判的に読みながら、自分の考察を次回までに まとめておくこと。 |
第15回 | まとめ 【事前学習(160分)】 :「まちづくり」とは、何を、誰が、何のために、どのようにしてつくるものなのか、 ということについて、予め自分の考えをまとめておく。 【事後学習(80分)】 :授業内で与えられた課題を考察するために参照すべき文献(複数)を自ら探し、 それらを批判的に読みながら、今後考察し続けたい問いと、その問いをめぐる考察を 洗練させ、その表現を他者に向けて試すこと。 |
その他
教科書 |
授業中に配布するプリントを用います。
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参考書 |
授業内で適宜紹介します。
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成績評価の方法 及び基準 |
➀【事前学習】と【事後学習】の成果を問う授業内ミニレポート(不定期実施)40% ②授業内課題レポート(数回実施。具体的な課題と実施回は事前に予告)60% ①と②に点数をつけ合算して成績評価とします。 各課題については授業内で解説をします。 |
質問への対応 | 授業直後に対応します。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台…333研究室 船橋 …532研究室 メール…seiriki.nobumasa@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 12:20 ~ 13:20 333研究室
水曜 船橋 12:20 ~ 13:10 532研究室
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学生への メッセージ |
「まちづくり」は、とても魅力的な言葉ですが、たいへん謎めいた言葉でもあります。 その証拠に、「まちづくりとは、何を、誰が、何のために、どのようにしてつくるものなのか?」という問いは、難解で、おそらく工学的探究だけでは十分に解決できないでしょう。 この授業は、浅薄な「合意」形成のスキルにばかり習熟して思考停止するのでなく、人間と「まち」の関係を複眼的に考察することを通じて、「まちづくりの倫理思想」を、腰を据えて自ら探究する時間です。意欲的な参加を期待しています。 |