2019年 理工学部 シラバス - まちづくり工学科
設置情報
科目名 | 地域コミュニケーション論 | ||
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設置学科 | まちづくり工学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 高村 義晴 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | E33O |
クラス | |||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 近年、まちづくりに当たっては,地域の総力の結集が求められる.そのためには関係する多様な主体間(行政,民間企業,まちづくりNPO,市民等)での合意形成が欠かせない.本講義では,コミュニケーションの方法,合意形成手法,地域ガバナンスのあり方,まちづくり学習の方法などについて,事例を通じて学習する.これにより次の目標に到達する. ⑴様々なプロジェクトやまちづくりに関し,住民の合意を形成できる. ⑵住民主体のまちづくり,住民協働のまちづくりをプロデュースできる. |
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授業形態及び 授業方法 |
パワーポイント等を中心として,資料を配布して講義する.またより実践的な理解を深めるため,テーマごとの授業の終わりに演習を行う. |
履修条件 | 日々報じられる地域の意見の対立に関する諸話題にも興味を持ちつつ,まちづくり分野における「住民協働」と「合意形成」への関心を高めておくことが望ましい. |
授業計画
第1回 | まちづくり分野の地域コミュニケーション 「まちづくり分野の合意形成のための地域コミュニケーションの意味」「合意形成が重要となる背景・原因」「地域コミュニケーションが現場で求められる理由」を説明する,そのうえで、まちづくりの実践現場においては、①地域の合意形成、②住民協働のまちづくりのプロデュース,③地域コミュニティの形成/再生の三つの局面でそれが求められていることを示す. 【事前学習】まちづくり分野において地域住民との対話が求められているケースをまとめておくこと(120分) 【事後学習】まちづくり分野で地域コミュニケーションが求められる局面と,その際の留意点等をまとめること(120分) |
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第2回 | 地域の合意形成(1) 地域の合意形成方法として大きくは「都市計画決定手続き」「市の施策/プロジェクト/各種計画への住民の意見反映手続き」の二つがあることを紹介し,現行の合意形成の状況と問題点を明らかにする. 【事前学習】地域の合意形成が必要となる局面と,その場合想定される方法についてまとめておくこと(120分) 【事後学習】都市計画手続き,パブリックコメント,パブリックインボルブメントについてその概要と留意点をまとめること(120分) |
第3回 | 地域の合意形成(2) 「まちづくり分野の合意形成」と「土木分野での合意形成」の違い・特質・課題を明らかにし,地域の合意形成(インフラ施設,物的施設計画,都市計画)に求められる条件と手順,方法等を説明する. 【事前学習】インフラ施設等の地域の合意形成にとって必要と思われることを整理しておくこと(120分) 【事後学習】インフラ施設等の地域の合意形成に求められる条件・手順をまとめること(120分) |
第4回 | 地域の合意形成(3)(演習) インフラ施設,各種計画において地域の合意形成のための手法,手続き等の設計を行う. 【事前学習】大規模道路なり計画について住民合意を形成するのに必要と思われることをまとめておくこと(120分) 【事後学習】【事後学習】演習内容を見直し,今後ほかで活用できるような形で整理しておくこと(120分) |
第5回 | 住民協働のまちづくりのプロデュース(1) 住民協働/住民主体のまちづくりの考えとその要所等について説明する. 【事前学習】住民協働/住民主体のまちづくりの要所について自分の思うところを整理しておくこと(120分) 【事後学習】授業内容を踏まえ、自分の言葉で住民協働/住民主体のまちづくりの要所・留意点をまとめること(120分) |
第6回 | 住民協働のまちづくりのプロデュース(2) 住民協働のまちづくりの「プロセスの設計」の必要性と考え方を説明する.「段階的な合意形成」「手順・手続き」を学ぶ. 【事前学習】住民協働のまちづくりのプロセス(段階)を自分なりに考えまとめてみること(120分) 【事後学習】授業内容を踏まえ、自分の言葉で「プロセス設計」の方法をまとめること(120分) |
第7回 | 住民協働のまちづくりのプロデュース(3) プロデュースには「プロセス設計」に加え,提案・表現の仕方(話術・情熱・真剣さを含む)・信頼の構築などが,欠かせないことを説明する.特に近年,地域社会の変質・変化に伴い,信頼関係(ソーシャルキャピタル),地域ガバナンスという地域社会の在りようの重要性についても説明する. 【事前学習】住民協働/住民主体のまちづくりに当たって必要とされる環境整備とは何か、自分の思うところをまとめておくこと(120分) 【事後学習】授業内容を踏まえ、住民協働/住民主体のまちづくりに当たって望まれる環境整備とその方策についてまとめること(120分) |
第8回 | 住民協働のまちづくりのプロデュース(4)演習 住民協働のまちづくりのためのプロセス設計(手法・手続き等)を行う. 【事前学習】住民協働のまちづくりをプロデュースるのに必要と思われることをまとめておくこと(120分) 【事後学習】演習内容を見直し,今後ほかで活用できるような形で整理しておくこと(120分) |
第9回 | コミュニケーションの阻害要因と対策(1) 関係者の意識構造のずれの把握とその調整が重要となることを説明する.そこに近年話題となる「バイアスの問題」が底流する.またこの意識のずれには,「モチベーションのずれ」「主に年齢による時間認識のずれ」「目標に対する認識のずれ」などがある.関係者が思いを同じくし,共通の目標に向かって行動を共にするには,「共有価値の創造(関係性の設計)」が必要になることを示す.それぞれ立場や利害が異なる主体間での合意形成にはどうすればよいかを考える. 【事前学習】コミュニケーションの障害となる「バイアス」の問題について調べ整理しておくこと(120分) 【事後学習】コミュニケーションを阻害する要因についてまとめること(120分) |
第10回 | コミュニケーションの阻害要因と対策(2)演習 コミュニケーションを阻害する要因についての対策を考える. 【事前学習】コミュニケーションを阻害するバイアスを軽減するにはどうすればよいかを自分なりに考えておくこと(120分) 【事後学習】演習内容を見直し,今後ほかで活用できるような形で整理しておくこと(120分) |
第11回 | 地域コミュニティの形成/再生(1) 現在の都市政策において求められ出している地域コミュニティの課題とこれまでの議論を紹介する.また地域コミュニティに関する取組み事例を紹介する. 【事前学習】なにゆえ、地域コミュニティの形成/再生がまちづくりにとって必要となっているのか、またどうしてそれが疲弊傾向にあるのかについて調べまとめておくこと(120分) 【事後学習】地域コミュニティ形成/創生のまちづくりにおける意味と、その実現策について自分の考えをまとめること(120分) |
第12回 | 地域コミュニティの形成/再生(2) 地域コミュニティの形成/再生に関する地方公共団体の施策とその課題について説明する.そのうえで、地域コミュニティ形成/再生のための新たな方法論を検討する. 【事前学習】地域コミュニティの形成/再生に関する施策(たとえば金沢市の条例)を調べ整理しておくこと(120分) 【事後学習】疲弊する地域コミュニティの活性化のための方法論を整理すること(120分) |
第13回 | 地域コミュニティの形成/再生(3)演習 ある地域・団地等を対象に地域コミュニティ形成/再生のための計画を作成してみる. 【事前学習】関心のある地域・団地についてコミュニティ形成/再生のためには、何をどうすればよいか、自分の考えをまとめておくこと(120分) 【事後学習】演習内容を見直し,今後ほかで活用できるような形で整理しておくこと(120分) |
第14回 | まとめ 地域政策・まちづくり政策の変化と地域コミュニケーション 都市政策が大きな時代の潮流のなかで変革を求められる状況下にあって,今後の地域コミュニケーションの課題と展望を,事例を交えつつ明らかにする.さらに提出レポートの解説を行うとともに,本授業の要点を総整理し,理解度を深める. 【事前学習】これまでの授業内容の要点をおさらいしておくこと(120分) 【事後学習】地域政策・まちづくり政策の今後の方向について自分の考え方を整理するとともに,それに対応した地域コミュニケーションのあり方についてまとめること(120分) |
第15回 | まとめ 本授業の要点を総整理し,理解度を確認するとともにさらなる理解を深める.また今後のまちづくりの実践においての意味と課題についても確認する. 【事前学習】これまでの授業内容をおさらいしておくこと(120分) 【事後学習】これまでの演習の成果を改めて確認する(120分) |
その他
教科書 |
特に教科書は用いず、資料を配布する。
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参考書 |
授業のなかで紹介する.
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成績評価の方法 及び基準 |
定期試験(80%)、レポート(20%)で評価する。出席が7割未満の者は、特別な理由が認められない限り、単位認定にはならない。 |
質問への対応 | 授業終了後に質問を受け付けるほか、オフィスアワーに対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
高村研究室 TEL:03-3259-0655 E-mail:takamura.yoshiharu@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 11:00 ~ 12:00 高村教授が対応する
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学生への メッセージ |
近年まちづくりは、行政主導から、地域の総力の結集が大きなテーマとなっている。住民だけでなく、民間・経済団体との連携も重要となっている。このためには、これら地域の関係者の想いを共有化するとともに、ミッションを同じくする体制の構築が欠かせず、そのための方法が地域コミュニケーション/合意形成である。まちづくりを実践しようとすれば、避けては通れないテーマであり、その基本を習得してほしい。 |