2019年 理工学部 シラバス - 航空宇宙工学科
設置情報
科目名 | 航空力学Ⅰ | ||
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設置学科 | 航空宇宙工学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 大竹 智久 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜2 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | H22H |
クラス | |||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 航空機の飛行の原理に関わる空気力学の基礎的な事項や考え方を全般的に学ぶ. 航空機に働く空気力(空気力学)をとりあげ,空気力の基本的な特性,空気の流れと物体表面圧力との関係,翼型の空力特性,航空機の高速飛行時に現れる不安定現象,3次元翼の空力特性などの内容について,理論的な解釈をふまえて航空機の空気力学についての理解を深める. |
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授業形態及び 授業方法 |
板書を中心とした講義形式とする.授業内容に関する演習および課題を適宜実施する. |
履修条件 | 熱力学と流体力学の基礎,流体力学Iを修得していることが望ましい. この授業科目は「未来博士工房対応科目」です. |
授業計画
第1回 | 講義概要の説明:航空力学Ⅰの半年間の講義概要の説明をする. 航空機(1)航空機の概要:航空機の定義,揚力の発生原理と種類について説明する. 【事前学習】 シラバスの内容をよく読んでおくこと.また,教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
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第2回 | 航空機(2)航空機の分類:揚力の発生原理に基づき定義される航空機の分類について説明する.また,航空機の飛行時に機体に作用する力の釣合い関係についても説明する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・第1章の章末問題を使って復習しておくこと.(120分) |
第3回 | 空気力学の概要(1)空気力学:空気力学とは何か?について概説し,空気の力学的特性や状態変化,内部エネルギー変化の影響についても説明する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
第4回 | 空気力学の概要(2)空気の特性:空気の特性である「粘性」と「圧縮性」について説明し,これらの特性が関わる流体現象や物体に作用する応力の変化についても説明する.また,流れ場の取り扱いについても説明し,「連続の式」と「ベルヌーイの定理」を用いた流速の算出方法を説明する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
第5回 | 空気力学の概要(3)渦と循環:空気力学の中で特に「翼理論」に関わる重要な要素である渦と循環に関する概念を説明する(「渦線」,「渦管」,「渦糸」).また,渦糸により得られる誘起速度の算出方法についても説明する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
第6回 | 空気力学の概要(4)翼の圧力分布:流れの中におかれた物体の表面には,物体の形状や流れ場の状態に応じて圧力が作用し「圧力分布」が得られる.翼や円柱を例に挙げて,圧力分布により得られる空気力の特性が「完全流体」と「実在流体」でどのように異なるのか説明する(「ダランベールの背理」). 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
第7回 | 空気力学の概要(5)揚力と抗力:流れ中におかれた物体には空気力が作用する.物体に作用する空気力の成分である「揚力」と「抗力」の定義について説明する.また,循環を伴う物体まわりの流れにより流体力が発生する仕組み(「マグナス効果」,「クッタ・ジューコフスキーの定理」)についても説明する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
第8回 | 空気力学の概要(6) ・次元解析と相似則:π定理に基づく「次元解析」手法について説明し,空気力学・流体力学の中で重要な「相似則」の概念についても説明する. ・風洞:空気力学・流体力学の計測分野において使用される「風洞」の分類・概要について説明する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・第2章の章末問題・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
第9回 | 翼(1)翼の幾何学的構成: 航空機で用いられる主翼の形状について,翼を構成する幾何学的要素である「平面形」,「断面形(翼型)」,「空間的な配置」について説明する.また,「幾何平均翼弦」,「空力平均翼弦」,「縦横比」の定義についても説明する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
第10回 | 翼(2)翼の性能の表し方: 翼に作用する空気力である「揚力」,「抗力」,「縦揺れモーメント」の定義を説明し,「風圧中心」と「空力中心」の違いを説明する.また,空気力の特性(「空力特性」)の表し方についても説明する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
第11回 | 翼(3)薄翼理論: 翼厚を限りなく薄い条件とした翼に作用する揚力と縦揺れモーメントについて理論的に扱うことができる「薄翼理論」の概念について説明し,代表的な薄翼である「平板翼」,「放物線キャンバ翼」,「反転キャンバ翼」を例に挙げ,どのような理論解が得られるかを説明する.また,等角写像を用いて翼型の特性を計算できる「ジューコフスキー翼」についても概説する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
第12回 | 翼(4)翼型の表わし方: 系統的に開発された翼型として代表的な「NACA4字番号翼型」,「NACA5字番号翼型」,「NACA6字系翼型」を例に挙げ,翼型の表し方や翼型の特性について説明する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
第13回 | 翼(5)翼型の空力特性: 翼型に作用する空気力のうち特に抗力に注目し,層流境界層と乱流境界層で「摩擦抗力係数」がどのように変化するのか説明する.また,空力特性で重要な要素である「翼型の失速」についても代表的な失速例を例に挙げて説明する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
第14回 | 翼(6)翼の空力特性: 圧縮性を考慮した状態で翼に作用する空気力の特性がどのように変化するのか,実際の航空機で生じる「不安定現象」を含めて説明する.また,翼端をもつ翼(「3次元翼」)で生じる「誘導抗力」の発生原理や,「縦横比」が翼の空力特性に与える影響についても説明する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
第15回 | 翼(7) ・揚力分布と翼端失速: 3次元翼では翼幅方向に揚力分布が変化する.その特性について説明し,「テーパー翼」で現れる「翼端失速」の特性についても説明する.その他に,翼の平面形による空力特性への影響や「ウイングレット」,「高揚力装置」の特性についても説明する. 【事前学習】 教科書で授業内容に該当する箇所を読んでくること.(120分) 【事後学習】 授業中に板書した内容をもとに,教科書・第3章の章末問題・参考書を使って復習しておくこと.(120分) |
その他
教科書 |
牧野光雄 『航空力学の基礎(第3版)』 産業図書
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参考書 |
東 昭 『航空工学 Ⅰ』 裳華房
東 昭 『航空工学 Ⅱ』 裳華房
東 昭 『航空を科学する 上巻』 酣燈社 1995年
東 昭 『航空を科学する 下巻』 酣燈社 1995年
その他にも「航空工学」についてまとめられた書籍は数多くあるので,自分に合ったものを参考書として使ってもらいたい.
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成績評価の方法 及び基準 |
定期試験の結果により評価する. |
質問への対応 | 研究室にて対応する.質問等はオフィスアワー以外でも対応します. |
研究室又は 連絡先 |
3号館3階333室 |
オフィスアワー |
火曜 船橋 16:40 ~ 18:00
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学生への メッセージ |
航空機に興味を持ってもらい,「なぜ飛ぶことができるのか?」その理由を理論的に学んでもらいたいです. |