2019年 理工学部 シラバス - 物質応用化学科
設置情報
科目名 | 高分子材料物性 | ||
---|---|---|---|
設置学科 | 物質応用化学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 伊掛 浩輝 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜1 水曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | L31Q L32R |
クラス | A,B | ||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 高分子材料は金属やセラミックスと並ぶ三大材料のひとつである.高分子は分子鎖長が長いために,弾性,粘性,塑性といった材料の基本的な性質のすべてを持つ.この講義では,基本的な性質について概説し,特徴を整理することで高分子材料について理解することができる.また,単元ごとに例題および演習を実施し,先の理解を深めるとともに知識の定着をはかることができる.本講義で修得することができる事柄として,(1) 材料の弾性及び粘性についての基礎的な事項.(2) 高分子材料特有の粘弾性体の現象論と分子論.(3) 材料の力学的性質の動的挙動の側面から粘弾性体のエネルギー損失の算出法.これら(1)から(3)について理解することができる. |
---|---|
授業形態及び 授業方法 |
黒板を使用した講義形式で進める.単元ごとに理解度を確認するため,30分間程度の演習(5回)を行い実力養成につとめる. 演習後に解答例を配付するので,自学する際に参考にすること.解法や学習方法がわからない場合はオフィスアワーを積極的に活用すること. |
履修条件 | 基本的な高分子に関する用語,性質などを理解した上で受講すること.基本的な用語や性質は,手早くは高分子関連科目である高分子科学,高分子合成化学,高分子物理化学で学ぶことができるので,それらを履修していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | 「高分子材料物性」についての概説 シラバスの内容を確認の上,授業に臨むこと.受講にあたっての諸注意や授業内容の動機づけを行う. 【事前学習】シラバスの内容の確認.(0.5時間) 【事後学習】教科書を使ってシラバスに記載された専門用語やトピックを調べ,次回の準備を行う.(2時間) |
---|---|
第2回 | 固体の弾性1 等方体の弾性率(体積弾性率,Poisson比,ずり弾性率,剛性率,ヤング率) 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 139頁から140頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.単位系について次元解析を行い物理量について理解しておくこと.参考書にある例題に取り組み数式の使い方を確認しておくこと.(2時間) |
第3回 | 固体の弾性2 弾性の原因(エネルギー弾性,エントロピー弾性) 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 140頁から144頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.単位系に注意しつつ授業で取り扱った式の導出と使用方法を理解しておくこと.(2時間) |
第4回 | 液体の粘性1 Newton液体と非Newton液体(チキソトロピー,ダイラタンシー,べき乗則液体) 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 144頁から146頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.単位系について次元解析を行う.非Newton流体について該当する事象を調べておくこと.(2時間) |
第5回 | 液体の粘性2 非Newton液体(塑性流動,ビンガム流動,非Newton粘性率,Rabinowitsch式) 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 146頁から148頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.単位系について次元解析を行う.参考書の問題を使って取り扱った数式の使い方について確認をしておくこと.(2時間) |
第6回 | 液体の粘性3 粘性理論(Eyringの空孔理論,絶対反応速度論,Andradeの粘度式) 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 148頁から150頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式の導出方法について確認し,慣れておくこと.(2時間) |
第7回 | 静的粘弾性1 粘弾性モデル(応力緩和:Maxwellモデル,クリープ挙動:Voigtモデル) 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 150頁から155頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.粘弾性モデルと高分子材料特性について整理すること.導出した数式について適用条件などを整理しておくこと.(2時間) |
第8回 | 静的粘弾性2 4要素モデル 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 153頁から155頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式の導出方法について確認し,慣れておくこと.参考書の例題についても解法を整理しておくこと.(2時間) |
第9回 | 静的粘弾性3 静的粘弾性一般論(一般的緩和論:緩和スペクトル,一般的クリープ論:遅延スペクトル) 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 155頁から159頁,4章 高分子の固体物性 115頁から116頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式を整理し,慣れておくこと.(2時間) |
第10回 | ガラス転移温度 ガラス転移,等粘性理論,等自由体積理論 【事前学習】教科書 4章 高分子の固体物性 116頁から132頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.授業では必要な箇所のみ取り扱う.周辺の知識は教科書を使って調べ,不明な点は質問できるようにまとめておくこと.(2時間) |
第11回 | 重ね合わせの原理 Boltzmannの重ね合わせの原理,時間-温度の重ね合わせ,Doolittleの粘度式, Williams-Landed-Ferry(WLF)の式 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 161頁から164頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式を整理し,適応条件を含めて慣れておくこと.第3回目の授業ノートを再度見直しをしておくこと.(2時間) |
第12回 | 動的粘弾性1 動的粘弾性の基礎,動的弾性率・コンプライアンス・粘性率の一般的関係 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 165頁から167頁,168頁から170頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式を整理し,慣れておくこと.(2時間) |
第13回 | 動的粘弾性2 Maxwellモデル(応力緩和) 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 167頁から168頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式を整理し,慣れておくこと.第7回目の授業ノートを再度見直しをしておくこと.(2時間) |
第14回 | 動的粘弾性3 粘弾性体のエネルギー損失,損失エネルギー,貯蔵エネルギー 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 170頁から171頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式の導出方法について確認し,慣れておくこと.参考書の例題についても解法を整理しておくこと.(2時間) |
第15回 | 動的粘弾性4 粘弾性・実例と解釈,粘弾性の分子論:Rouseモデル 【事前学習】教科書 5章 高分子の力学的性質 164頁から165頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.参考書の例題と用語,材料物性挙動など関連性について考えまとめること.例題を使って数式の適用条件を含め解法に慣れておくこと.(3.5時間) |
その他
教科書 |
妹尾学,栗田公夫,矢野彰一郎,澤口孝志 『基礎 高分子科学』 共立出版 2000年 第1版
指定した教科書の5章を中心(一部4章を含むが)についてトピックを絞り解説する.理解を深めるために,関連する分野については教科書以外からも講義ノートとしてまとめてある.参考図書として講義の際に紹介する.
|
---|---|
参考書 |
物質応用化学編集委員会 『物質応用化学 基礎と演習』 培風館 2000年 第1版
この講義では参考書として,物質応用化学編集委員会『物質応用化学-基礎と演習-』 培風館 2000年 第初版を推薦するが,本書は入手が難しいので講義の際に必要に応じてプリントを配布する.
|
成績評価の方法 及び基準 |
定期試験及び平常時の演習点.定期試験: 60点,演習点: 40点.合計: 100点満点で評価する. |
質問への対応 | 授業内容については,講義中,講義後,オフィスアワー,E-mailを利用して質問のこと.E-mailを利用しての質問は,学科名,学生番号,氏名を必ず明記した上で質問すること.なお,質問への回答は講義の時に行うので,E-mailでの返信は行わない. |
研究室又は 連絡先 |
高分子工学研究室(理工学部2号館1階214室) E-mail: ikake.hiroki@nihon-u.ac.jp/電話: 03-3259-0823(直通) |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 14:00 ~ 15:30 高分子工学研究室(E-mailでの事前予約を希望)
|
学生への メッセージ |
今日では身近となった高分子材料であるが,その基本的な性質であるはずの力学的性質を理解するだけでも大変険しいものがある.多くの専門用語やいくつもの複雑な数式が紹介されている.この講義では,単元別に基本事項を整理した上で,一歩ずつ理解を深めていきたい.まずは苦手意識を持たずにナチュラルな気持ちで授業に参加してほしい. |