2019年 理工学部 シラバス - 物理学科
設置情報
科目名 | 数理統計の基礎Ⅰ | ||
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設置学科 | 物理学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 安部 公輔 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | M13Q |
クラス | |||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 世論調査などでは数の限られた(一般に少数の)サンプルデータから全体の性質を推測する必要があるが,その結果はサンプルによってばらつくのが一般的である.また,物理的な実験でも観測誤差の影響により毎回のデータは少しずつ異なる.このような不確定要因の影響を加味してデータを解析し推定や検定を行う手法に対して,確率論を用いて数学的基礎を与えるのが数理統計学である. この講義では統計的推測や検定の基本的手法や考え方を,必要な確率論とともに学修する. |
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授業形態及び 授業方法 |
一般的な講義形式で行う. |
履修条件 | 微分積分学と線形代数学に関する最低限の知識(積分と面積,基本的な行列の計算など)は仮定する. 高校学校数学Iの「データの分析」や数学Aの「場合の数と確率」の学習経験があると望ましい.数学B「確率分布と統計的な推測」までの学習経験があればなお有益である. |
授業計画
第1回 | イントロダクション:統計的推測の目的や確率論の必要性など,本講義で扱う内容を俯瞰して動機付けを行う.高校で学習する(場合の数に基づく)確率について簡単に復習する. 【事前学習】高校数学Iの「データの分析」や数学Aの「場合の数と確率」の内容についておさらいをしておく(学習経験がない者はWEBなどで調べてみる).(120分) 【事後学習】講義資料の入手方法を確認する.WEBなどで自分に合う参考資料がないか調査する.(120分) |
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第2回 | 確率論の基礎:標本空間や事象,確率の数学的な定義と性質について具体例も交じえながら解説する. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第3回 | 条件付確率と事象の独立性:数学的な定義・性質とともに,現実の問題に適用する際の注意点を解説する. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第4回 | ベイズの定理:ベイズの定理を導出し,その応用の可能性や注意点などを解説する. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第5回 | 確率変数:確率変数の分布と期待値,分散などの定義と意味を解説する. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第6回 | 確率変数の独立性:独立同分布な確率変数列の性質について,特に期待値や分散を中心に解説する. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第7回 | 代表的な確率分布①:ベルヌーイ分布,二項分布,幾何分布や指数分布などの性質と適用場面について解説する. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第8回 | 極限定理:大数の法則,中心極限定理,少数の法則について解説する. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第9回 | 代表的な確率分布②:正規分布とポアソン分布の性質と適用場面について解説する. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第10回 | 点推定①:母集団や標本,推定量などの概念を導入し数学的に定式化する.母数やサンプルサイズなどの言葉の意味を正しく理解する. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第11回 | 点推定②:推定量に望まれる性質として不偏性や一致性などを定義し,具体例として標本平均と不偏分散について解説する. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第12回 | 区間推定①:中心極限定理を根拠に,大標本の場合の母平均の区間推定について解説する. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第13回 | 区間推定②:t分布を用いた正規母集団の母平均の区間推定について解説する. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第14回 | 総括:これまでの内容を俯瞰し整理することで,総合的な理解を得る. 【事前学習】レジュメに目を通しておく.(60分) 【事後学習】解説した例題や指示のあった問題を自分でも解いてみる.解らなかった点について質問したり自分で調べたりする.(180分) |
第15回 | 平常試験及びその解説を行い知識を再確認する. 【事前学習】試験の準備.(180分) 【事後学習】試験を参考に前期の内容を一通り確認する.(60分) |
その他
教科書 |
特に指定しない.
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参考書 |
講義中などに随時紹介する.
講義資料はWEBで配布する.
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成績評価の方法 及び基準 |
平常試験の結果に基づき評価する. |
質問への対応 | 確実なのは講義中および講義後だが,それ以外にもメールでの質問・アポ取りなど随時対応する.詳細は初回講義時に説明する. |
研究室又は 連絡先 |
研究室:船橋校舎8号館849A abe.kousukeあっとまーくnihon-u.ac.jp https://kousukeabe.mokuren.ne.jp/ |
オフィスアワー |
金曜 船橋 10:40 ~ 13:10 8号館849A
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学生への メッセージ |
数理統計学の内容には,確率論の計算などの数学的部分と,それを道具に実際的問題に対処しようとする非数学的部分とが混在し,それが分かり難さの一因ではないかと思います.逆に考えると,今は数学の計算の話をしているのかそれとも使い方や解釈の話をしているのかを意識して頭を切り替えられれば,複雑な確率の計算はともかく,推定や検定の基本的発想はかなり素朴であることがわかるはずです.柔軟な頭で取り組むことを期待します. |