2019年 大学院理工学研究科 シラバス - 航空宇宙工学専攻
設置情報
科目名 | 構造信頼性工学 | ||
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設置学科 | 航空宇宙工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 田上 良継 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜3 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | H43B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 材料や構造の力学的特性値や疲労強度の特性値は本来統計的な量であり、構造物に負荷される荷重も従来の経験に基づいて、統計的に設定されたものである。ここでは航空機構造の静的強度や疲労強度を統計的な考え方に基づいて解析し、安全率や寿命安全係数と構造信頼性について学ぶ。これにより、航空宇宙機の構造の安全性、信頼性解析ができるようになることを目標とする。また、信頼性、安全性確保のための解析、試験、検査等の考え方について考察する。 |
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授業形態及び 授業方法 |
現在、実施されている航空機や宇宙機構造の信頼積確保のための解析、設計、試験評価について講義。簡単な例題について演習を行う。また、課題演習として、最近の航空機の事故や非破壊検査等について調査し発表を行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
航空機構造力学、材料力学、破壊力学および確率統計の基礎事項を理解する。 シラバスを確認し、参考書の該当項目の部分を予習しておく。 課題については、必ず独力で解答を作成し、提出すること。 |
授業計画
第1回 | 確率統計の基礎:標本と母集団の推定、正規分布、対数正規分布、ワイブル分布等 構造強度の信頼性計算に必要な統計解析の基礎を学ぶ。 【事前学習】確率統計の基礎事項を整理(60分) 【事後学習】最も頻繁に使用される正規分布の理解(90分) |
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第2回 | 確率・統計と材料強度、構造信頼性の考え方 材料の強度の統計的性質、構造に作用する荷重の統計的性質を基に、 構造強度の信頼性を解析する。 【事前学習】参考図書から、構造に生じる荷重や材料強度の統計的性質を理解する。(60分) 【事後学習】荷重と強度の統計的性質から、構造の信頼度計算法を理解する。(90分) |
第3回 | 静的強度、疲労強度と構造信頼性 材料の疲労強度の統計的性質を理解して、航空機等の寿命と信頼性解析の手法を理解する。 【事前学習】参考資料からワイブル分布、対数正規分布の理解。(60分) 【事後学習】寿命が対数正規分布に従うと想定して、航空機構造の寿命計算を行う。(90分) |
第4回 | 荷重、環境および運用条件、制限荷重、荷重包絡線、荷重スペクトル 航空機やロケットの運用条件や環境条件を理解して、安全に使用可能な寿命や 交換スケジュールの設定について理解する。 【事前学習】参考資料から、環境条件と荷重の関係を理解する。(60分) 【事後学習】環境、運用条件を考慮して、航空機が安全に使用される期間の算定(90分) |
第5回 | 材料の力学的特性、疲労強度特性、破壊力学的特性と信頼性 航空機や宇宙機器に使用される材料の力学的特性、破壊力学的特性を理解し 使用環境と構造信頼性の評価方法を学ぶ。 【事前学習】航空機に使用される材料の力学的特性値の統計的性質を理解(60分) 【事後学習】材料と使用環境(荷重)から、構造の信頼性を解析する。(90分) |
第6回 | 構造解析、静的強度解析、疲労強度解析と信頼性 荷重の統計的性質、強度の統計的性質を考慮して、構造の信頼性を評価する方法を学ぶ。 【事前学習】構造強度の信頼性解析の概要を理解する。(60分) 【事後学習】実際の航空機の例を基に、構造信頼性解析の方法を理解する。(90分) |
第7回 | 構造系システムの信頼性 セーフライフ設計、フェールセーフ設計、損傷許容設計等の考え方、設計例等を学ぶ。 【事前学習】航空機の構造設計の考え方の基礎を理解する。(60分) 【事後学習】実際の航空機の例題を学び、各設計法の内容を理解する。(90分) |
第8回 | 破壊力学に基づく構造の信頼性評価 破壊力学に基づく、安全性の評価、き裂伸展速度の計算による寿命解析の方法を学ぶ。 【事前学習】参考資料から破壊力学の基礎の理解(60分) 【事後学習】破壊力学の基礎と例題の解析により、破壊力学に対する理解を深める。(90分) |
第9回 | 構造試験と試験結果の統計的評価 航空機や宇宙機の構造の信頼性を確保するために実施されている試験や評価方法を学ぶ。 【事前学習】航空機や宇宙機器の構造試験について調査する。(60分) 【事後学習】航空宇宙機器の構造試験の実例解説から、試験内容について理解する。(90分) |
第10回 | 疲労強度試験と信頼性の実証 航空機の疲労試験、寿命計算の方法について理解する。 【事前学習】参考文献から航空機の疲労試験について、調査する。(60分) 【事後学習】航空機の疲労試験の実例解説から、疲労試験の内容について理解する。(90分) |
第11回 | 寿命安全率と疲労破壊の確率 強度や荷重の統計的性質を考慮して、寿命安全率や破壊の確率の計算法を理解する。 【事前学習】参考資料から寿命安全率、疲労破壊の確率について調査する。(60分) 【事後学習】過去に開発された航空機やモデルケースの試算により、航空機の寿命安全率と疲労破壊の確率の計算法を理解する。(90分) |
第12回 | 航空機の整備と事故、点検・検査の計画と実施 これまでの航空機や宇宙機の故障や事故の例を調査し、安全性を確保するために実施 されている点検や検査の方法と、考え方を理解する。 【事前学習】航空機の整備法について調査する。(60分) 【事後学習】実例解説を基に、航空機の事故と点検・検査の方法の理解を深める。(90分) |
第13回 | 非破壊検査と損傷許容設計 現在の航空機や宇宙機の製造、運航と点検で使用されている非破壊検査の方法 と適用方法について学ぶ。 【事前学習】非破壊検査、損傷許容設計の考え方を調査する。(60分) 【事後学習】非破壊検査の方法とこれを基にした損傷許容設計の実例と内容を理解する。(90分) |
第14回 | 航空機の事故と信頼性技術の進歩 航空機や宇宙機の開発の歴史について学び、事故とその対策および基準の 制定等により、構造信頼性が向上してきた過程を理解する。 【事前学習】航空機の事故と信頼性技術の進歩について、文献調査する。(60分) 【事後学習】各自の調査に基づき、航空機の運用と信頼性確保にための手法につき理解を深める。(90分) |
第15回 | 演習とまとめ これまでの、講義および演習問題を整理しレポートとしてまとめる。 【事前学習】これまでの課題の整理(60分) 【事後学習】材料強度や荷重や設計寸法等を統計領とした場合の信頼性の確保についての理解を深める。(90分以上任意) |
その他
教科書 |
教科書は特に設定しない。但し、下記の参考書の内容に基づき、新たな事例等を追加して授業を進める。
補足分は授業前に配布またはCSTポータルに登録する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
上山 忠夫 『構造信頼性』 日科技連 1984年 第1版
参考書は絶版であるため、図書館の蔵書等を利用する。
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成績評価の方法 及び基準 |
授業の取り組み姿勢、課題・演習問題の提出と発表 |
質問への対応 | 講義の前後および下記E-Mailで受付、回答 |
研究室又は 連絡先 |
船橋校舎3号館 316号室 e-mail: y-tanoue@aero.cst.nihon-u.ac.jp、y918tanoue@gmail.com |
オフィスアワー |
木曜 船橋 15:30 ~ 17:00 316室
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学生への メッセージ |
演習や課題等は積極的に取り組むこと。 航空機の安全に対する考え方は、他の分野でも取り入れられるようになっているので、航空機以外の分野に進む学生にも、大いに参考となると思います。 |