2019年 大学院理工学研究科 シラバス - 電気工学専攻
設置情報
科目名 | レーザ工学 | ||
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設置学科 | 電気工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 鈴木 薫 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | I13A |
クラス |
概要
学修到達目標 | レーザは1953年Towns, Schawlowにより開発された「誘導放出による光増幅:Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」の頭文字から命名されもので、単色性や指向性・干渉性・高エネルギー密度などの特長により,光通信や計測・加工・医療など幅広い分野において応用されており、これらを学修することを目標とする。特に黒体放射や誘導放出・反転分布・増幅など量子光学の基礎概念を用いると同時に、レーザ光の応用を身近な例から理解し活用できる識見を得て説明できる能力を身につけ、諸量を計算することができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
教科書や配布する「講義資料 H14A」で予習してきていることを前提として、毎回に設定された題目について輪講形式で行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
なし。オプトロニクスの知識があれば理解は早い。 |
授業計画
第1回 | レーザ工学の概略と体系的な特徴を歴史的な経緯や理論的な考え方などについてまとめ、レーザの基礎と応用に関する導入として講義する。【事前学習】教科書の1ページから5ページや「講義の資料」No.1レーザ工学プリントを読み、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
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第2回 | 集光性と指向性:レーザ光の特徴である集光性や短パルス発振を可能にしている、レーザ光のコヒーレンスについてまとめる。【事前学習】教科書の1ページから5ページや「講義の資料」No.1レーザ工学プリントやNo.2集光性と指向性を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第3回 | 黒体放射:物質が加熱されると光を放射する現象を熱放射といい,物質固有の線スペクトルと連続スペクトルが観測される。温度に依存する連続スペクトルのみを放射する理想物質を黒体といい,そのような物質の熱放射を黒体放射と呼ぶ。Raileigh-Jeansの式やWienの式及びPlanckの式について概略を講義する。【事前学習】】教科書の5ページから6ページや「講義の資料」No.1レーザ工学プリントやNo.3自然放出と誘導放出を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第4回 | 誘導放出:光が照射されることにより,上準位から下準位への遷移がおき,光が放出されることを誘導放出という。誘導放出を利用して光の増幅・発振を行う装置がレーザで,Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字から命名されもので,これについて講義する。【事前学習】】教科書の5ページから6ページや「講義の資料」No.1レーザ工学プリントやNo.3自然放出と誘導放出を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第5回 | 反転分布:上準位にある粒子の密度は下準位にある粒子の密度よりも小さいことが一般的であり,平衡状態では吸収される光のパワーの方が放出されるパワーよりも大きく,光は減衰する。もし何らかの方法で上準位の粒子密度が下準位の粒子密度よりも大きい反転分布状態とすることが出来れば光は増幅されることになり,これについて講義する。【事前学習】教科書の5ページから6ページや「講義の資料」No.1レーザ工学プリントやNo.3自然放出と誘導放出を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第6回 | 放射スペクトル:光の放射時における振動数を古典論的振動モデルから求め,Lorentz形関数で与えられるスペクトルの均一拡がりについて述べる。また気体分子の熱運動に基づくドップラー効果などによって生じるGauss形関数で与えられるスペクトルの不均一拡がりについても講義する。【事前学習】教科書の7ページから8ページや「講義の資料」No.1レーザ工学プリントやNo.4スペクトルの拡がりを読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第7回 | 光の増幅:ある振動数の単色光が反転分布した媒質中に存在した場合,単位断面積で考えて,光が微小区間を進む間の誘導放出による正味のエネルギー増加を増幅率と考え,これについて講義する。【事前学習】教科書の8ページから10ページや「講義の資料」No.1レーザ工学プリントやNo.5光の増幅を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第8回 | 利得の飽和:反転分布を形成するためには下準位原子を上準位へ励起する必要があり,これをPumpingという。上準位密度と下準位密度および光子密度それぞれの時間変化を,各準位間の遷移確率を用いて表したものをレート方程式といい,これにより利得の飽和現象を考察する。【事前学習】教科書の8ページから10ページや「講義の資料」No.5光の増幅を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第9回 | レーザ発振:増幅作用があれば,適当なフィードバック機構によって発振させることが可能である。レーザにおいては,光を2枚の平行平面ミラーで反射させ,その間に反転分布した媒質を入れることにより発振が起こる現象を講義する。【事前学習】教科書の10ページから11ページや「講義の資料」No.1レーザ工学プリントやNo.6レーザ発振を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第10回 | 光共振器とモードロック:レーザにおいて共振器は2枚の反射鏡で構成されるが,この共振器の特性である横モードと縦モードについて講義する。【事前学習】教科書の11ページから15ページや「講義の資料」No.1レーザ工学プリントやNo.14モードロックを読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第11回 | 光励起と緩和過程:光は電場が磁場を誘起し、さらにその磁場が電場を誘起しながら伝搬する。物質に光が照射されると、一部は反射・透過し、残りは吸収されて電子励起や振動励起を生じる。励起後の電子や分子が緩和過程を経て基底状態に戻る際の光放出などについて講義する。【事前学習】教科書の53ページから63ページや「講義の資料」No.7光励起と緩和過程を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第12回 | 熱過程と化学過程:光励起により物質が非放射遷移すると電子的励起エネルギーが振動エネルギーに変換され熱が発生する。また、物質にある波長より短波長の光や高エネルギー密度の光を照射すると原子・分子から電子が離脱するイオン化や、光解離による光化学的プロセッシングなどについて講義する。【事前学習】教科書の71ページから84ページや「講義の資料」No.7熱過程と化学過程を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第13回 | プロセス用レーザ装置:レーザは,主として媒質とポンピング方法により分類され,発振形態と波長が異なる。媒質としては,気体レーザ・液体レーザ・固体レーザ・半導体レーザを例にとり励起方法について講義する。また、自由電子レーザなどの最新の技術についても概説する。【事前学習】教科書の16ページから52ページを読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第14回 | 各種レーザプロセシング:表面加工や薄膜・微粒子等形成プロセス、表面改質、立体造形プロセス、バイオ応用など具体例をあげて講義する。【事前学習】教科書の121ページから172ページを読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第15回 | プロセスモニタリングおよび資料評価技術:気相・液中・製造プロセスにおけるモニタリングや試料評価技術など具体例をあげて講義する。また、講義の総括を行い、レポートの課題などについて指示する。【事前学習】教科書の173ページから212ページを読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
その他
教科書 |
『レーザ工学プリント』
電気学会次世代レーザプロセシングとその産業応用調査専門委員会 『最新レーザプロセシングの基礎と産業応用』 オーム社 2007年 第1版
講義資料を配布する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
A. YARIV著、多田・神谷共訳 『光エレクトロニクスの基礎』 丸善 1988年 第3版
電気学会次世代レーザアブレーションとその産業応用調査専門委員会 『レーザアブレーションとその応用』 コロナ社 1999年 第1版
この他に沢山の参考書が出版されているので自由に選択して下さい。
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成績評価の方法 及び基準 |
提出されたレポートの内容:50%と口頭試問:50% |
質問への対応 | 随時質問可能、講義の後は電子メール |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワースコラS1614室, Tel : 03-3259-0770, E-mail : suzuki.kaoru@nihon-u.ac.jp 講義の資料 http://www.ele.cst.nihon-u.ac.jp/DisLasLab/ |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
水曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
金曜 駿河台 18:20 ~ 19:50
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学生への メッセージ |
輪講により自己啓発的な学習方法とプレゼンテーション能力を養って頂きたい。 |