2019年 大学院理工学研究科 シラバス - 電気工学専攻
設置情報
科目名 | 放電物理 | ||
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設置学科 | 電気工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 鈴木 薫 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜5 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | I55A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 放電現象は電気集塵器やエンジンの点火プラグ・蛍光灯・アーク溶接・放電加工・薄膜形成・表面改質等広い分野に亘って応用され、直流から高周波・マイクロ波・レーザ光など様々なパワーソースが用いられている。将来放電を利用するさらに新しい機器や加工方法の考案に必要な基礎知識を習得することを目標とする。特に、気体放電理論の考え方やシミュレーションについて身近な例から理解し活用できる識見を得て説明できる能力を身につけ、諸量を計算することができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
「講義資料 H55A」や参考書で予習してきていることを前提として、毎回に設定された題目について輪講形式で行う。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
学部で「放電プラズマ工学」を履修していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 気中放電:気中放電過程の火花放電・グロー放電・アーク放電・コロナ放電などの概要について述べる。【事前学習】「講義の資料」No.1放電物理プリントを読み、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
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第2回 | 火花放電:気中放電の前駆現象である暗流領域や火花放電への移行について述べる。また、タウンゼント理論やストリーマー理論について講義する。【事前学習】「講義の資料」No.2火花放電を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第3回 | グロー放電:火花放電電圧付近は通常の回路条件の下では不安定で、わずかな電圧変動でも電流は急変してグロー放電へ進展する。プラズマ化学気相堆積法などに利用される正規グローのSchottky理論やEngelの理論について述べる。【事前学習】「講義の資料」No.3グロー放電を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第4回 | アーク放電:異常グロー放電状態から更に電圧を上昇させると急激に電極間電圧が降下し、電流密度が非常に大きなアーク放電へと移行する。放電形態や点弧条件などや、Steenbeckの最小電力理論について述べる。【事前学習】「講義の資料」No.4アーク放電を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第5回 | コロナ放電:針電極と平板電極などに電圧を印加すると、電気力線は針先端に集中して不平等電界を形成する。不平等電界の範囲内で発光を伴った持続放電であるコロナ放電が発生する条件や、外観などについて述べる。【事前学習】「講義の資料」No.5コロナ放電を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第6回 | モンテカルロシミュレーション:輸送係数のサンプリング:個々の電子の運動から、多数の電子の集団である電子なだれの輸送係数あるいはスオームパラメータを求める方法について述べる。【事前学習】「講義の資料」No.6モンテカルロシミュレーションを読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第7回 | タウンゼント:電子雪崩を記述するために、個々の電子の運動から多数の電子の集団である電子なだれの輸送係数あるいはスオームパラメータを求める。衝突電離や電子付着という電子の発生や消滅による過程を電子流連続の式によってサンプリングする方法について述べる。【事前学習】「講義の資料」No.7タウンゼントを読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第8回 | 平等電界中のストリーマ:平行平板ギャップにおけるストリーマ進展のモデルとして、放電プラズマ内の電子やイオンの個々における運動に基づく粒子モデルと、それら粒子の集団的な流れに着目した流体モデルについて述べる。【事前学習】「講義の資料」No.8ストリーマを読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第9回 | 不平等電界中のストリーマ:不平等電界中のストリーマに関する物理モデルとして実験結果が説明できる、正ストリーマを対象としたモデルについて述べる。【事前学習】「講義の資料」No.9不平等電界中のストリーマを読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第10回 | 高周波放電:容量結合型および誘導結合型リアクターで励起される高周波放電プラズマはプラズマ化学的気相堆積法やエッチングなどのプラズマプロセスに利用されており、これらのシミュレーション技法について述べる。【事前学習】「講義の資料」No.10高周波放電を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第11回 | プラズマシミュレーション:プラズマは電子とイオンの集合体であり、多数の荷電粒子が自身の作る電磁場によって影響を与え合い、極めて複雑な挙動を示し、コンピュータ上で求めるには様々な技法や近似が用いられる。代表的方法として、運動論的モデルの粒子シミュレーション法と流体モデルの磁器流体シミュレーション法について講義する。【事前学習】「講義の資料」No.11プラズマシミュレーションを読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第12回 | CIP法:流体方程式を用い、マイクロ波領域の電磁波による放電現象のモデルである拡散理論について述べ、双曲型偏微分方程式を解く高次精度差分法の一つであるConstrained Interpolation Profile: CIP法によるシミュレーションについて講義する。【事前学習】「講義の資料」No.12CIP法を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第13回 | 逆制動放射による光電離:自由電子が光子を吸収する際にエネルギー保存則が満たされて加速し、原子の励起エネルギーに達すると衝突励起を行い、カスケード過程で電離に到る現象について詳述する。【事前学習】「講義の資料」No.13逆制動輻射を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第14回 | 多光子吸収による光電離:一つの原子や分子が多光子吸収により励起状態に遷移し、さらに多光子吸収により電離し、ついに放電に到る機構について詳述する。【事前学習】「講義の資料」No.14多光子吸収を読み、輪講担当者は説明ができるように、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索して理解する。(120分) |
第15回 | 放電物理の体系的な特徴や理論的な考え方および基礎と応用に関する課題の設定(レポートの提出日は別に設ける。)などを行い、講義の総括を行う。【事前学習】「講義の資料」No.1放電物理プリントを読み、聴取者は理解できない個所を質問できるようにまとめておく。(120分)【事後学習】講義において興味を持った事象や法則・応用を詳細に調査し、参考文献などを検索してレポートを作成する。(120分) |
その他
教科書 |
講義資料を配布する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
電気学会 『放電ハンドブック』 オーム社 1999年 第2版
升谷孝也、中田順治 『高電圧工学』 コロナ社 2010年 第12版
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成績評価の方法 及び基準 |
提出されたレポートの内容:50%と口頭試問:50% |
質問への対応 | 随時質問可能、講義の後は電子メール |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワースコラ1614号室,Tel : 03-3259-0770, E-mail : suzuki.kaoru@nihon-u.ac.jp 講義の資料 http://www.ele.cst.nihon-u.ac.jp/DisLasLab/ |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
水曜 駿河台 16:40 ~ 18:10
金曜 駿河台 18:20 ~ 19:50
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学生への メッセージ |
輪講により自己啓発的な学習方法とプレゼンテーション能力を養って頂きたい。 |