2019年 大学院理工学研究科 シラバス - 量子理工学専攻
設置情報
科目名 |
量子力学特論Ⅰ
量子力学における経路積分の手法
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設置学科 | 量子理工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 仲 滋文 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | O13B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 量子力学における経路積分の手法を基に,物理学の幅広い分野に於ける量子力学の応用例を学び,学部では扱われなかった高い水準の量子力学を習得できる。授業を通して,経路積分の手法の物理的意味を様々な角度から学び,それらの手法が先端的な物理学の中でどのように活かされているかを知ることにより,現代物理学への幅広い知見を得ることができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
講義が主体となる。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
理工学部の学生に要求される一般的な数学力と共に,学部で学ぶ基礎的な量子力学の知識を身につけておく必要がある。また,幾つかの応用のために,学部で学ぶ基礎的な統計物理学の予備知識のあることも望ましい。 |
授業計画
第1回 | 古典力学から量子力学へ 古典力学から量子力学への発展の概略を述べ,構造上の類似点と差異を整理する. 学部の量子力学の復習に当たる. |
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第2回 | シュレディンガー方程式と量子力学の異なる形式 量子力学における表示の概念を学び,シュレディンガー方程式の グリーン関数と経路積分を結びつける. |
第3回 | 経路積分の測度と正準量子化の問題 (経路積分の応用例I) 経路積分の簡単な応用例と共に,積分測度と正準量子化における 演算子積の順序の問題を解説する. |
第4回 | 基本的な力学系における経路積分の有効性 (経路積分の応用例II) 調和振動子を含む基本的なポテンシャル問題の幾つかを, 経路積分の手法を適用して解く. |
第5回 | 調和振動子系とコヒーレント状態 調和振動子系の発展的記述として,コヒーレント状態と 呼ばれる完全系を取り上げ,これを用いた経路積分を定式化する. |
第6回 | フェルミ変数の経路積分 コヒーレント状態の知識を基に,フェルミ統計に従う力学変数の 経路積分を定式化する. |
第7回 | フェルミ変数を力学変数として持つ力学系 フェルミ変数の経路積分の応用として,フェルミ変数を力学変数とする 系の有効作用の概念を導き,粒子のスピン等の記述に適用する. |
第8回 | 統計力学と経路積分 経路積分は,統計物理学の分配関数の計算にも有効な手段 を与える.これを簡単な例題を用いて確める. |
第9回 | 統計力学と経路積分 経路積分は,統計物理学の分配関数の計算にも有効な手段 を与える.これを簡単な例題を用いて確める. |
第10回 | 拘束条件を持つ力学系と経路積分I ゲージ理論と呼ばれる拘束条件を持つ力学系の古典的扱い,及び量子論的 扱いの基本的な解説を行い,代表的な幾つかの具体例を示す. |
第11回 | 拘束条件を持つ力学系と経路積分II 拘束条件を持つ力学系=ゲージ理論の量子論的扱いにおいて,経路積分が 直観的かつ有効な手段を与えることを,具体例を用いて解説する. |
第12回 | 弦の量子力学I 素粒子物理学の現代的話題の一つである弦模型は,拘束条件を持つ力学系 の構造を持つ,時空に1次元的に広がった力学系である.この力学系の, 古典論の範囲内での入門的解説を行う. |
第13回 | 弦の量子力学II 弦模型の量子論的扱いの基本的解説をおこなう.弦を量子力学的に扱う際に, 弦の背景時空の次元への制約が現われる.これを幾つかの観点から検証し, 量子力学的な弦の特徴を探る.. |
第14回 | 弦の量子力学III 弦の量子力学を構築する際に,経路積分がまた有効な手段を与える.この手法の 基本的な解説を行い,併せて現代的な視点を取り入れた弦模型の話題を用意する. |
第15回 | 経路積分の復習と理解度確認 (授業後にレポートの提出課題を与える) |
その他
教科書 | |
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
ファインマン・ヒッブス 『量子力学と経路積分』 みすず書房
A. Das 『Field Theory -A Path Integral Approach -』 World Scientific
仲滋文 『新版 シュレディンガー方程式』 SGC BOOKS P3 サイエンス社 2007年 第1版
仲滋文 『量子力学の探求』 SGCライブラリ134 サイエンス社 2017年 第1版
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成績評価の方法 及び基準 |
平常評価と課題レポートの評価を総合して,最終評価を出す。 |
質問への対応 | こちらの時間・事情などの許す範囲で,いつでもよい。 |
研究室又は 連絡先 |
E-mail: naka@phys.cst.nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |