2019年 大学院理工学研究科 シラバス - 量子理工学専攻
設置情報
科目名 | 量子力学特論Ⅱ | ||
---|---|---|---|
設置学科 | 量子理工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 出口 真一 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | O23A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 物理学および量子科学を専攻する上で重要となる量子力学の幾つかのテーマを学習し、その内容を修得する。特に、学部レベルの量子力学にもとづき、測定の問題、量子力学の位相幾何学的側面、場の量子論の考え方などを理解する。初めに正準量子化に関する全般的な復習を行い、波動関数の物理的意味ついて考察する。次に、2粒子系のスピン角運動量の合成を復習し、それを用いて測定の問題とその関連事項を学ぶ。また、量子力学の位相幾何学的側面(アハロノフ・ボーム効果など)やベリーの位相について学習する。さらに、調和振動子の量子力学を復習した後、弦の量子化を実行し、それをもとにして場の量子論の基本的な考え方に触れる。 |
---|---|
授業形態及び 授業方法 |
あらかじめCSTポータルで講義ノートを公開し、その内容をプロジェクターと黒板を用いて説明する。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
予備知識としては、学部で学ぶレベルの量子力学の初歩的知識を有することが望ましい。準備学習としては、次回の講義内容を把握して、公開している講義ノートをよく読み、疑問点などをまとめておくこと。 |
授業計画
第1回 | 解析力学 -古典力学の復習として、解析力学のラグランジュ形式、ハミルトン形式、ポアソン括弧、正準方程式を復習する。 |
---|---|
第2回 | 数学的準備 -量子力学で必要になる数学として、ヒルベルト空間、ブラベクトルとケットベクトル、演算子のエルミート共役など、複素線形代数全般について学ぶ。 |
第3回 | 量子化 -ポアソン括弧に基づき交換関係を設定し、正準量子化を行う。また、ハイゼンベルグ表示とシュレディンガー表示について学習する。 |
第4回 | -シュレディンガー方程式 シュレディンガー方程式を主題とし、座標表示と運動量表示、フーリエ変換、シュレディンガー方程式の形式解、ダイソン級数などを学ぶ。 |
第5回 | 波動関数の解釈 -標準的な波動関数の解釈として確率解釈を理解した後、不確定性関係について学習する。また,波動関数の他の解釈についても触れる。 |
第6回 | 粒子のスピン -スピン角運動量に注目し、2粒子系のスピンの合成を復習する。 |
第7回 | 量子力学における測定1 -射影仮説、波束の収縮、測定の問題、エンタングルメントについて学ぶ。 |
第8回 | 量子力学における測定2 -EPRパラドックス、隠れた変数、ベルの不等式について学ぶ。 |
第9回 | 電磁場存在する系の量子力学1 -電磁場が存在する場合のシュレディンガー方程式を与え、アハロノフ・ボーム効果を理解する。 |
第10回 | 電磁場存在する系の量子力学2 -磁気単極子が存在する場合を仮定し、実際に電荷の量子化を導く。 |
第11回 | 幾何学的位相 -断熱過程を説明し、幾何学的位相として知られているベリーの位相について学ぶ。 |
第12回 | 調和振動子の量子化 -生成・消滅演算子を用いて調和振動子の量子化を行う。そこから導かれる粒子的描像を述べると共に、コヒーレント状態と波動的描像について学習する。 |
第13回 | 超対称量子力学 -フェルミ的調和振動子を考察した後、超対称量子力学の例として超対称調和振動子を学習する。 |
第14回 | 弦の量子化1 -弦の解析力学について学んだ後、調和振動子の量子化を拡張することで弦の量子化を行う。 |
第15回 | 弦の量子化2 -弦のエネルギー固有値と固有状態を求める。また、物質波と確率波の違いを理解し、場の量子論の基本的な考え方に触れる. |
その他
教科書 |
特に指定の教科書はない。
|
---|---|
参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
J. J. Sakurai, Modern Quantum Mechanics, Addison-Wesley, 1993, 2 edition
亀淵迪 ・表実 『量子力学特論』 朝倉物理学大系13 朝倉書店 2003年 第1版
武田 暁 『場の理論』 物理学選書21 裳華房 1992年 第2版
河原林 研 『量子力学』 現代物理学叢書 岩波書店 2001年 第1版
清水 明 『新版 量子論の基礎』 新物理学ライブラリ 別巻2 サイエンス社 2004年 第2版
参考書のいずれか1つで授業内容のすべてをカバーしているわけではない.あくまでも授業の一部を補足する参考書として考えてほしい.
|
成績評価の方法 及び基準 |
成績評価に関しては、授業中に出題するレポート問題の解答内容を重視しする(80%).また,授業における質問などの積極性を考慮する(20%)。 |
質問への対応 | 基本的には、各週の授業終了後を質問の時間とする。授業終了後に時間が取れないときは、代わりの時間を設ける。 |
研究室又は 連絡先 |
研究室:駿河台校舎821A号室 E-mail: deguchi@phys.cst.nihon-u.ac.jp TEL: 03-3259-0867 |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 15:30 ~ 17:00 8号館2階821A室
|
学生への メッセージ |
この授業の前半では量子力学の基礎を講義し、後半は量子力学の最近の発展につながる話題を講義します。量子力学に興味のある学生さんは、ぜひ受講してください。 |