2020年 理工学部 シラバス - 航空宇宙工学科
設置情報
科目名 | 工業数学Ⅲ | ||
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設置学科 | 航空宇宙工学科 | 学年 | 2年 |
担当者 | 嶋田 有三 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜2 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | H22G |
クラス | 航空宇宙工学科2年 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 線形代数は振動工学,構造力学,制御工学,飛行力学などの専門科目を学ぶ上で必須である。行列理論は単なる数値計算のための数学ではなく,多変数を同時に取り扱う際に、理論的な見通しがきくようになることにある。 本授業により,逆行列の計算,連立方程式の解が求められるようになり,さらにベクトルの内積と外積,固有値・固有ベクトル,2次形式などの意味が理解でき,その計算もできるようになる. |
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授業形態及び 授業方法 |
オンライン授業により,ベクトルと行列の理論的な意味と計算方法を解説する.授業中に例題を示した後,学生が自力で解答する練習時間をもうける.また適宜課題を出したり,小テストを実施する. |
履修条件 | 選択必修 1年次の線形代数を修得していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | 連立方程式の行列表記と座標変換 予習:0分 復習:連立方程式から係数行列と変数ベクトルに分解でき,さらに係数行列とベクトルの積が図解でき,座標変換として理解できるようになること(180分) |
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第2回 | 行列の種類と演算1 予習:(0分) 復習:転置行列,共役転置行列,対称行列,エルミート行列,直交行列,ユニタリ行列とそれらの関係が理解できるようになること.ギリシャ文字24文字を発音しながら書けるまでに暗記すること.(180分) |
第3回 | ベクトルの内積と外積の行列表現 予習:ベクトルの内積と外積を1年次の教科書で復習して臨む(30分) 復習:内積と外積の意味を図解でき,かつ行列で表現し計算できるようになること.力学の仕事量とモーメントをベクトルの内積や外積として表現できるようになること(180分) |
第4回 | 連立方程式とベクトルの1次独立・1次従属 予習:ベクトルの内積と外積を復習しておくこと(60分) 復習:行列の階数と3次元空間におけるベクトルとの関係が理解でき,階数が計算できるようになること(180分) |
第5回 | 行列式1 予習:行列式の定義を1年次の教科書で復習しておくこと(60分) 復習:行列式の定義における順列を,組合せと比較して説明できるようになること.平行四辺形の面積と平行六面体の体積が,2次元の行列式と3次元の行列式に対応し,ベクトルの内積とスカラー3重積がこれらと関係することを説明できるようになること(210分) |
第6回 | 行列式2 予習:前回授業を復習をして臨むこと(60分) 復習:行列式を,任意の行あるいは列で展開できるようになること.行列式の各種の性質を使って行列式の値の計算が素早くできるようになること(180分) |
第7回 | 行列式の計算練習 予習:前回授業を復習をして臨むこと(60分) 復習:行列式を任意の行あるいは列で展開できるようになること.行列式の性質を使って, 4行4列,5行5列の行列式の計算が確実にできるようになること.(240分) |
第8回 | 逆行列 予習:逆行列の定義と計算手法を1年次の教科書で復習しておくこと(60分) 復習:掃き出し方の計算過程の本質的な意味を説明できる用になるまで理解すること. 余因子行列を使った逆行列の求め方を確実にマスターすること.(180分) |
第9回 | 逆行列の続きとクラーメルの公式 予習:余因子行列による逆行列の求め方を復習して臨むこと(60分) 復習:飛行力学の運動方程式の解析に,余因子行列による逆行列が必要になることを理解すること.クラーメルの公式が確実に計算できるようになること(210分) |
第10回 | クラーメルの公式の続きと課題提出 予習:ベクトルの内積と外積,行列式と逆行列の計算について復習して臨むこと(60分) 課題:指定日時までに提出すること(90分) |
第11回 | 小テストの実施と,時間があれば固有値・固有ベクトル問題の初歩 予習:第1回~第10回の授業内容を復習して臨むこと(120分) 復習:小テストでできなかったところを復習しておくこと(60分) |
第12回 | 小テストの解説と,固有値・固有ベクトル問題1 予習:固有値・固有ベクトル問題を1年次の教科書で復習して臨むこと(60分) 復習:固有値・固有ベクトルの意味が説明でき,固有方程式を導くことがきること.(180分) |
第13回 | 小テストの実施 予習:全授業の復習をして臨むこと.(240分) 復習:試験問題でできなかったところを復習しておくこと.(120分) |
第14回 | 小テストの解説と,固有値・固有ベクトル問題2 予習:第12回授業の復習をして臨むこと.(60分) 復習:固有方程式を導き,固有値・固有ベクトルが求められるようになること. 2次形式を固有値・固有ベクトルで対角化できるようになること. ケーリー・ハミルトンの定理を理解し・応用できるようになること(240分) |
第15回 | 2次形式・正定値行列と勾配ベクトル,課題提出 予習:第12回、14回の授業内容を復習して臨むこと(60分) 復習:2次形式を固有値・固有ベクトルで対角化することで,3次元で図解できるようになり,正定値行列と勾配ベクトルの意味を理解・説明できるようになること(240分) |
その他
教科書 |
なし
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参考書 |
小西栄一,深見哲造 『線形代数 ベクトル解析』 工科の数学2 倍風館 1967年
この本のシリーズ(工科の数学)を全て読めば,航空宇宙工学に必要な数学はほぼ満たされる.問題集も別冊としてある.
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成績評価の方法 及び基準 |
小試験と課題を総合した成績で評価する. |
質問への対応 | CSTポータルⅡのQ&Aにて対応する. |
研究室又は 連絡先 |
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オフィスアワー |
火曜 船橋 12:10 ~ 17:00
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学生への メッセージ |
学習の目標にも書いたように、行列理論は数値計算のための学問ではなく、多変数を同時に取り扱う際の理論的な見通しがきくようになることに主眼がある。したがって,ノートを作成し,何度も書き直して,その人の好みに合った独自の教科書レベルに到達するようにレベルアップしてゆくこと。こうすることで理論の流れを理解することができ,その後の専門科目の学習に大いに役立つ。1年次の教科書,あるいは参考書は最低3度は読み返しなさい。 |