2020年 理工学部 シラバス - 物質応用化学科
設置情報
科目名 | 高分子材料物性 | ||
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設置学科 | 物質応用化学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 伊掛 浩輝 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜1 水曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | L31Q L32Q |
クラス | A,B | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 高分子材料は金属やセラミックスと並ぶ三大材料のひとつである.高分子は分子鎖長が長いために,弾性,粘性,塑性といった材料の基本的な性質のすべてを持つ.この講義では,基本的な性質について概説し,整理することで高分子材料の特徴が理解ができる.また,単元ごとに例題および演習を実施し,先の理解を深めるとともに知識の定着をはかることができる.本講義で修得できる内容として,(1) 材料の弾性および粘性についての基礎的な知識.(2) 高分子材料特有の粘弾性体の現象論と分子論.(3) 材料の力学的性質の動的挙動の側面から粘弾性体のエネルギー損失の算出法.これら(1)から(3)について理解できる. |
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授業形態及び 授業方法 |
動画コンテンツによるオンデマンド方式で授業を進める.単元ごとに理解度の確認と知識を定着するために課題と演習を行い実力の養成につとめる.課題などの正答と解説は,次の回の冒頭に行う.自主学習の際に参考にすること.解法や学習方法がわからない場合は積極的に質問すること. 視聴するだけでは知識は定着しない.視聴と課題への取り組みをセットで考えること.視聴後は速やかに課題に取り組み,解説を聞いて,解き直しすることで効果的に知識の定着に繋がる. |
履修条件 | 基本的な高分子に関する用語,性質などを理解した上で受講すること.基本的な用語や性質は,手早くは高分子関連科目である高分子科学,高分子合成化学,高分子物理化学で学ぶことができるので,それらを履修していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | 「高分子材料物性」についての概説 シラバスの内容を確認の上,授業に臨むこと.受講にあたっての諸注意や授業内容の動機づけを行う. 【事前学習】シラバスの内容の確認.(0.5時間) 【事後学習】教科書を使ってシラバスに記載された専門用語やトピックを調べ,次回の準備を行う.(2時間) |
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第2回 | ガラス転移 ガラス転移,相転移とガラス転移,ガラス転移温度と分子構造・分子量依存性,共重合体のガラス転移温度 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 156頁から163頁,169頁から175頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第3回 | 高分子結晶 結晶構造パラメーター,結晶の融解,分子量依存性・共重合体の融点,ガラス転移温度と融点 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 175頁から184頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第4回 | 粘弾性体1 粘弾性体とは,固体の弾性 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 184頁から185頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第5回 | 粘弾性体2 等方体の弾性率,弾性の原因 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 186頁から190頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第6回 | 液体の粘性 ニュートン流体,非ニュートン流体,粘性理論 -Eyringの理論- 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 190頁から197頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第7回 | 静的粘弾性1 粘弾性モデル,Maxwellモデル,Voigtモデル, 4要素モデル 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 197頁から203頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第8回 | 静的粘弾性2 静的粘弾性一般論(一般的緩和論:緩和スペクトル,一般的クリープ論:遅延スペクトル) 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 203頁から209頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第9回 | 重ね合わせの原理1 Boltzmannの重ね合わせの原理,時間-温度の換算則,Williams-Landed-Ferry(WLF)の式 等自由体積理論,Doolittleの粘度式,等粘性理論 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 209頁から212頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第10回 | 重ね合わせの原理2 等自由体積理論,Doolittleの粘度式,等粘性理論 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 212頁から213頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第11回 | 動的粘弾性1 動的粘弾性の基礎,理想弾性体,理想粘性体(純粘性体),動的粘弾性率,コンプライアンス,粘性率の一般的関係 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 214頁から219頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第12回 | 動的粘弾性2 粘弾性体のエネルギー損失,損失エネルギー,貯蔵エネルギー 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 219頁から221頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第13回 | 動的粘弾性3 粘弾性・実例と解釈,粘弾性の分子論:Rouseモデル 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 213頁から214頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第14回 | 誘電緩和 誘電緩和,電気的性質 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 226頁から233頁を読んで理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明した専門用語やトピックをまとめる.授業で取り扱った数式について理解しておく.課題に取り組み,数式の取り扱い,解析法等についても確認しておくこと.(2時間) |
第15回 | 固体高分子の基礎特性 5章 固体高分子の基礎特性 のふり返り,質疑応答 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 156頁から223頁 (5.8 ゴム弾性 除く) をふり返り,理解できない箇所を整理しておくこと.(2時間) 【事後学習】授業で説明された専門用語やトピックをまとめる.参考書の例題と用語,材料物性挙動など関連性について考えまとめること.例題を使って数式の適用条件を含め解法に慣れておくこと.(3.5時間) |
その他
教科書 |
妹尾学,澤口孝志,清水繁,伊掛浩輝 『基礎 高分子科学 改訂版』 共立出版 2018年 第1版
妹尾学,栗田公夫,矢野彰一郎,澤口孝志 『基礎 高分子科学』 共立出版 2000年 第1版
教科書の5章を中心にトピックを絞り解説します.理解を深めるために,関連する分野については教科書以外からも授業では取り扱います.授業資料などはCSTポータル II を通じて配付するのでダウンロードしてご活用ください.
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参考書 |
物質応用化学編集委員会 『物質応用化学 基礎と演習』 培風館 2000年 第1版
参考書の一例として,物質応用化学編集委員会『物質応用化学-基礎と演習-』 培風館 2000年 第初版を推薦します.ただし,本書は入手が難しいので注意が必要です.その他にも,必要に応じて参考文献などを配信します.
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成績評価の方法 及び基準 |
単元ごとに実施する課題 (演習) および授業レポートの累積点で評価します.総合点を100点満点に規格化し,点数とします. |
質問への対応 | 質問は,Zoom (要事前予約,オフィスアワー時のみ),CSTポータルII 掲示板,メールで受け付けます.なお,ご質問いただいた内容は,履修される皆さんを対象として回答します.個別へのメール返信などは行わず,返答動画をアップロードします.そちらをご視聴ください.また,課題等に関するご質問は,解説を終え,復習に取り組んだ後にご質問ください.解説配信前にはお答えいたしません. |
研究室又は 連絡先 |
高分子工学研究室(理工学部2号館1階214室) E-mail: ikake.hiroki@nihon-u.ac.jp ★メールについて 件名,所属先,学生番号,氏名を明記してください. |
オフィスアワー |
水曜 駿河台 10:30 ~ 12:00 Zoom (要事前予約.メールでご相談ください)
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学生への メッセージ |
今日では身近となった高分子材料であるが,その基本的な性質であるはずの力学的性質を理解するだけでも大変険しいものがある.多くの専門用語やいくつもの複雑な数式が紹介されている.この講義では,単元別に基本事項を整理した上で,一歩ずつ理解を深めていきたい.苦手意識を持たずに,まずは視聴してほしい. |