2020年 大学院理工学研究科 シラバス - まちづくり工学専攻
設置情報
科目名 | 環境まちづくり特論 | ||
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設置学科 | まちづくり工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 井伊 亮太 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜5 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | E35A |
クラス |
概要
学修到達目標 | まちづくりを通じた環境面の持続可能な社会の構築の観点から基礎的な知識を習得する。特に、日本は2050年までに温室効果ガスを80%削減することを目標としているが、その中でも主要な二酸化炭素については、都市におけるエネルギーシステムとも関係が深い。そこで、環境面での持続可能性も目標に掲げているまちづくりの国内外の事例から学びつつ、環境面・省エネルギー面からの都市エネルギーシステムの評価手法の基本的な考え方を身に付ける。 併せて、本年度は、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする「グリーンインフラ」の考え方についても知る。 |
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授業形態及び 授業方法 |
建設コンサルタント企業において環境分野の実務経験を有する技術士が、自身の業務を通じた経験も踏まえた授業を行う(必要に応じ、他の技術士をゲストスピーカーとして招く場合がある。)(※技術士とは”技術士法”に基づく国家資格です。)。 パワーポイントと板書を併用し講義及び簡単な演習を行う。適宜、事前に指定した課題に対する報告(発表)やグループワークを行う場合がある。国内の事例等の学習においては、主に都内での視察(見学)も想定している(その場合の日時は受講者と調整します。)。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
授業の事前に課題図書等を指定する場合や、事前又は事後にレポートの提出を求める場合があります。なお、受講者の人数や状況に応じ、準備・事後学習を含む内容については、柔軟に調整する場合があります。 |
授業計画
第1回 | 自己紹介、半年間の進め方について、まちづくりと環境保全、地球温暖化と世界・日本の対応 【事前学習(120分)】気候変動適応情報プラットフォームhttp://www.adaptation-platform.nies.go.jp/ の「動画アーカイブ」より、自分が興味をもった動画を聴講する。ただし、以下は聴講必須とする: ・気候変動2013 IPCC第1作業部会:自然科学的根拠(IPCC公式動画日本語字幕付) ・気候変動2014 IPCC第2作業部会:影響、適応及び脆弱性(IPCC公式動画日本語字幕付) ・気候変動2014 IPCC第3作業部会:気候変動の緩和(IPCC公式動画日本語字幕付) 【事後学習(120分)】 ・「長期低炭素ビジョン」の中で、自分が関心を有するまちづくりとの関係や、自分が想像するまちづくりからみた違和感や共通点を探して、列挙する。 |
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第2回 | まちづくりとエネルギー①事後学習結果の発表/自分で二酸化炭素排出量が計算できるようになる(演習)/その上で、日本の温室効果ガス排出量の状況・増減要因やまちづくりとの関係を学ぶ。 【事前学習(120分)】第1回講義での提示(抜粋をプリント配布)資料による二酸化炭素排出量の計算方法の予習 【事後学習(120分)】あなたの自宅でのエネルギー使用に伴う二酸化炭素排出量の計算 |
第3回 | まちづくりとエネルギー②省エネルギーと評価指標、住宅の給湯を例にとったエネルギーシステムの効率評価を学ぶ(値段の安いガス給湯器は効率が95%と表示されているのに、値段の高い燃料電池による給湯器の効率が80%と表示されているのは、どのように理解すればよいだろうか?) 【事前学習(120分)】第2回講義で配布したプリントによるエネルギー消費量の計算方法等に関する予習 【事後学習(120分)】第3回講義内で取り上げる給湯器のエネルギーシステムとしての効率の演習(計算作業) |
第4回 | まちづくりとエネルギー③住宅の給湯を例としたエネルギーシステムの効率の評価の続き/建築物のエネルギーシステム 【事前学習(60分)】第3回講義で配布したプリントによる建築物のエネルギーシステムの予習 【事後学習(180分)】温室効果ガス排出削減ポテンシャル支援ツールを用いた建築物の省エネ対策の演習(仮) |
第5回 | まちづくりとエネルギー④事後学習結果の発表/エネルギーの面的利用インフラと未利用エネルギーの活用について学ぶ 【事前学習(60分)】エネルギー面的インフラについての第4回講義配布資料による予習 【事後学習(180分)】日本の都市の熱需要(空調・(住宅)給湯需要)を低炭素化するためにあなたが考える対策の提案作成 |
第6回 | 地域熱供給システムについて、大学近傍事例の現地又は実習サイトの視察 【事前学習(120分)】エネルギー面的インフラなど、ここまでの学習内容を踏まえた質問案の準備 【事後学習(120分)】視察結果の小レポートの作成 |
第7回 | まちづくりとエネルギー⑤第5回事後学習結果の発表/再生可能エネルギー事業 【事前学習(60分)】世界と日本の再生可能エネルギーへの取組について第5回配布資料も活用した講義当日の質問事項の準備 【事後学習(180分)】再生可能エネルギーを活用したまちづくりの提案の小レポートの作成 |
第8回 | まちづくりとエネルギー⑥事後学習結果の発表、官民連携による地域低炭素化の取組事例 まちづくりと物質循環①(廃棄物処理システムと廃棄物エネルギー利活用) 【事前学習(120分)】廃棄物処理施設整備に関する事前配布論文を読む 【事後学習(120分)】あなたが住んでいる都市の廃棄物(ごみ)処理システムとエネルギー利活用状況の調査 |
第9回 | まちづくりと物質循環②(廃棄物処理システムと廃棄物エネルギー利活用)国内外の事例の紹介 【事前学習(120分)】廃棄物エネルギー利活用に関する指定された文献の概略の把握 【事後学習(120分)】武蔵野市の焼却施設が建設された経緯の調査 |
第10回 | 事例訪問(東京都武蔵野市役所の隣にあるごみ焼却施設を想定) 【事前学習(120分)】ここまでの学習内容に基づく当日質問事項の準備 【事後学習(120分)】視察結果の小レポート作成 |
第11回 | まちづくりにおける環境配慮の仕組み(環境アセスメント) 【事前学習(120分)】環境アセスメントについて事前に指定した資料の予習 【事後学習(120分)】自分が読んだ環境アセスメントの図書についての提案小レポートの作成 |
第12回 | 生物多様性とまちづくり:生物多様性と世界・日本の対応、生物多様性とまちづくり 【事前学習(120分)】生物多様性ホームページhttps://www.biodic.go.jp/biodiversity/index.htmlより、生物多様性に関する法令、計画、取組等を知る 【事後学習(120分)】 自分が関心のあるまちづくりと生物多様性の接点を考え、生物多様性の活用に向けた視点を列挙する |
第13回 | グリーンインフラとまちづくり:「グリーンインフラ」に関する国内外の動向、自然環境の多面的な機能の活用 【事前学習(120分)】以下の資料を参考に、グリーインフラに関連する国内外の動向を知る ・グリーンインフラストラクチャー~人と自然環境のより良い関係を目指して~ http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_mn_000034.html ・生態系を活用した防災・減災 http://www.env.go.jp/nature/biodic/eco-drr.html 【事後学習(120分)】 自分が関心のあるまちづくりにおける自然環境の多面的な機能を考え、さらなる機能の向上に向けた視点を列挙するグリーンインフラについての二回の講義を踏まえて、まちづくりとの関係についてあなたの意見をまとめる。 |
第14回 | 環境面の持続可能性を目標に掲げている国外の事例(1)欧州(デンマーク、英国)と日本の比較 【事前学習(120分)】国外事例(地域の低炭素化のための計画)の計画図書(英文)の一部分を読む 【事後学習(120分)】国内事例と国外事例の比較資料の作成 |
第15回 | 環境面の持続可能性を目標に掲げている国外の事例(2)欧州(デンマーク、英国)と日本の比較 【事前学習(120分)】講義全体を振り返って不明点の確認 【事後学習(120分)】今後のあなたの研究における環境面の持続可能性との関係の考察 |
その他
教科書 |
教科書は特に指定しないが、講義中に適宜参考となる文献等を紹介する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
下田吉之 『都市エネルギーシステム入門』 学芸出版社 2014年
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成績評価の方法 及び基準 |
発表・レポート(50%;実際に足を運んで見たことや手を動かして調べたことを優位に評価します。)及び出席状況(50%)による。 |
質問への対応 | 授業中に対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
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オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
なるべく実例の紹介を多く取り入れることなどにより、具体的なイメージを持っていただくことを大事にしたいと思います。同時に、やや抽象的となりますが、私が専門としてきた「環境負荷量の評価手法」について簡単な演習問題に取り組んでいただくことで、世の中で主張されているエネルギーやCO2に係る「数字」を、イメージでごまかされることなく理解するために必要となる基本的な視点をお伝えできればと思っています。 |