2020年 大学院理工学研究科 シラバス - 電子工学専攻
設置情報
科目名 |
電子材料特論Ⅱ
ハイテク技術史 ―先端デバイス技術を中心としてー
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設置学科 | 電子工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 山本 寛 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜2 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | J42B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 近年の大きな技術的潮流である「ナノテクノロジー」を発展させる上で、量子工学の視点に立ち、電子材料のプロセスに精通し、創造的アプローチを切り拓く能力を備えた人材が求められている. そうした能力を実践的に鍛えることを目的とし、約半世紀にわたる先端電子材料デバイスに関する研究開発の概略史を取り上げてケーススタディを行う.研究の背景や着想の妙、デバイス開発の醍醐味を味わえる能力を育成することを目指す. |
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授業形態及び 授業方法 |
本講義では、約半世紀にわたって急激に進展してきた電子デバイス技術の代表的分野を取り上げ、技術開発動向の理解を深めることを目指す. 授業方法として、基本的には講義資料を用いたZoom同時双方向授業を行う。また、受講者が進めている研究に関係する技術分野に着目し、関連する研究開発の歴史を踏まえつつ、自らの研究の目的と意義を明らかにする発表と討論の場も設ける。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
学部に設置された、電子物性あるいは半導体に関する科目を修得していること. また、電子材料特論Iを受講していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | オリエンテーション 序論:ナノテクノロジーの観点に立ち、テキスト「ハイテク五十年史に学ぶ将来加工技術」を紹介する.そして、1970年代から約半世紀にわたる世界経済の流れと変遷を背景とし、電子材料デバイスの研究開発動向に関して概説しながら、イントロダクトリーとして本講義の目的と到達目標を明らかにする. |
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第2回 | ハイテク五十年史(その1):半導体集積回路分野におけるマイクロテクノロジーからナノテクノロジーへの展開を一例として着目し、半世紀にわたるデバイス技術開発に関する特筆すべきトピックスを紹介する.また、関連分野として太陽電池、有機分子デバイス、磁気記録あるいは薄膜ドライプロセスの開発史を取り上げて、その技術的背景も概観する。 |
第3回 | ハイテク五十年史(その2):前週の講義で紹介された技術分野の中から、受講生自身の研究との関わりの中で最も関心を持った関連テーマについて述べる「課題」を事前に提出してもらう.そのレポートを複数取り上げ、Zoomによる受講生全員が参加する、討論や質疑応答を通して本授業の取り組みへ向けた理解を深める. |
第4回 | 半導体集積回路(概略史):テキスト第3章3.2を説明する.集積回路技術の発展の中で、トランジスタの縮小化に伴う様々な課題とブレークスルーをもたらしてきた技術革新について学ぶ. |
第5回 | 半導体集積回路(発表と総合討論):具体的なテーマの理解を深めるために、前週のテーマ分野に関して提出された受講生からの課題レポートの中から、数編を取り上げ、出席者全員で討論する.特に、事前に指名された受講生により、半導体分野に関連する研究例を紹介してもらい、質疑応答を通して理解を深める.同時に、半導体デバイスの基礎的動作原理と代表的デバイス応用の変遷を学び、今後の発展・展開について論じる. |
第6回 | 太陽電池(概略史):テキスト第3章3.1を説明する.Si太陽電池が1950年代に開発され、それ以降、様々な半導体材料開発、デバイス構造の革新を経て、現在化石燃料を代替する自然エネルギー生成技術の中でも有力な技術の一つとなっている.特に、太陽光のエネルギー変換効率の視点に立って、技術革新の試みについて学び、今後の展望についても考える. |
第7回 | 太陽電池(発表と総合討論):具体的なテーマの理解を深めるために、前週のテーマ分野に関して提出された受講生からの課題レポートの中から、数編を取り上げ、出席者全員で討論する.特に、事前に指名された受講生により、半導体‐光関連の研究例を紹介してもらい、質疑応答を通して理解を深める.同時に、太陽電池の基礎的動作原理と代表的デバイス応用の変遷を学び、今後の発展・展開について論じる. |
第8回 | 有機分子デバイス(概略史):テキスト第3章3.5を説明する.同時に、有機物材料の持つフレキシビリティに着目して、代表的有機分子電子デバイス応用の変遷を学び、今後の発展・展開について論じる. |
第9回 | 有機分子デバイス(発表と総合討論):具体的なテーマの理解を深めるために、前週のテーマ分野に関して提出された受講生からの課題レポートの中から、数編を取り上げ、出席者全員で討論する.特に、事前に指名された受講生により、有機分子に関連する技術、研究例を紹介してもらい、質疑応答を通して理解を深める. |
第10回 | ハードディスク・媒体(概略史):テキスト第3章3.4を説明する.磁性体の磁化方向によりデータを記録する、外部大容量データストレージであるハードディスク(HD)の開発の歴史について概観する.さらに、既に1Tb/in2を超える記録密度に達したHDの今後の展開についても論じる. |
第11回 | ハードディスク・媒体(発表と総合討論):具体的なテーマの理解を深めるために、前週のテーマ分野に関して提出された受講生からの課題レポートの中から、数編を取り上げ、出席者全員で討論する.事前に指名された受講生より、磁気記録あるいは磁気的デバイスに関連する最近の研究例を紹介してもらい、質疑応答を通して理解を深めつつ、磁気工学の基礎を理解し、その特徴と応用例について学ぶ. |
第12回 | 薄膜ドライプロセス(概略史):テキスト第3章3.9を説明する.薄膜作製法としての多用されている、物理・化学的気相プロセス(真空蒸着法、スパッタ法、パルスレーザー堆積法、CVD法など)に関連する半世紀にわたる開発研究の歴史を概説する. |
第13回 | 薄膜ドライプロセス(発表と総合討論):具体的なテーマの理解を深めるために、前週のテーマ分野に関して提出された受講生からの課題レポートの中から、数編を取り上げ、出席者全員で討論する.さらに、指名された受講生より薄膜プロセス技術に関連する研究例を紹介してもらい、質疑応答を通して理解を深める. |
第14回 | その他の関連技術テーマ(発表と総合討論):本講義でテーマとしてきた技術分野の枠を超えて、より広範な電子技術の理解を深めるために、過去のテーマ分野とは直接関係しない提出された受講生からの課題レポートを取り上げ、出席者全員で討論する.また、指名された受講生から、自身の研究例を紹介してもらい、質疑応答や討論を通してより広い技術分野の実例を知る. |
第15回 | 総論(総合討論):本講義で行われたケーススタディを振り返り、先端的電子材料デバイス研究の歴史的背景に関して総合的に討論しながら、ナノテクノロジーの先導性に関する知識と理解を実践的に深め、授業全体のまとめとする. |
その他
教科書 |
独立行政法人 日本学術振興会 将来加工技術第136委員会 編著,「ハイテク五十年史に学ぶ将来加工技術」,日本工業出版,2019 年3月.
なお、このテキストについては授業期間中貸与するので購入の必要はない。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
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成績評価の方法 及び基準 |
幾つかの指定テーマに関して提出される課題レポートによって最大50%評価する.加えて、各受講生による独自の発表内容あるいは討論に取り組む姿勢など、平常の受講態度を最大50%まで評価する. |
質問への対応 | 基本的には、随時メールによる質問を受け付ける。 |
研究室又は 連絡先 |
量子科学研究所LEBRA メールアドレス:yamamoto.hiroshi@nihon-u.ac.jp 電話番号:047-469-5493 |
オフィスアワー |
木曜 船橋 13:30 ~ 15:00 場所:船橋校舎 量子科学研究所LEBRA 担当:山本教授
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学生への メッセージ |
本授業では、講師による講義と受講生からの課題レポート発表や参加者全員の討論を組み合わせた、Zoomによる双方向的な形式をとる. そのため、受講生の積極的な参加と発言が不可欠であることを十分に認識して授業に取り組んで欲しい. |