2022年 理工学部 シラバス - 物質応用化学科
設置情報
科目名 | 量子化学 | ||
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設置学科 | 物質応用化学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 大月 穣 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜1 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | L23P |
クラス | A 、 B | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 物質の性質や化学現象は,物質を構成する原子や電子の挙動によって支配されるため,原子や電子の状態を理解することが重要となる.これらの状態は,量子力学によって記述でき,量子力学の概念を理解することで性質や化学現象をより深く理解することができる.本講では,分光学的観点から,量子化学の概念により原子や分子の構造,化学結合や分子の物性を理解できるようになる. |
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授業形態及び 授業方法 |
板書およびパワーポイントを使用して講義を行う.また,講義内では複数回小テストあるいは演習を行うが,解説は次の回の講義で行う. |
履修条件 | 物理化学I,物理化学IIを履修が望ましい。また,三角関数,微分積分,行列など数学に関してある程度なじんでおくことが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 原子や分子の構造や性質が理解するためには量子化学が必要なことを説明する.まずは,古典力学と電荷間の相互作用の復習を行う. 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
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第2回 | 分子の中の電子のモデルとして箱の中の電子を量子力学で記述する(シュレディンガー方程式). 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第3回 | 箱の中の電子が飛び飛びのエネルギーしか取り得ないことを理解する(量子化). 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第4回 | 箱の中の電子が本来出られないはずの箱の外へ染み出すことを理解する(トンネル効果). 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第5回 | 光の吸収と箱の中の電子のエネルギーとの関連を理解する(紫外・可視吸収スペクトル). 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第6回 | 原子が結合してできる分子のモデルとしてバネで結合した粒子を量子力学で記述する(調和振動子). 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第7回 | 原子の結合と赤外線の吸収を調和振動子から説明し,量子力学的視点から理解する(赤外吸収スペクトル). 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第8回 | 最も簡単な原子として水素原子を量子力学で記述する(原子軌道と量子数). 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第9回 | 最も簡単な分子として水素分子イオンを量子力学で記述する(基底の線型結合). 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第10回 | ヘリウム以降の原子を量子力学で記述する.電子と電子の相互作用によってエネルギーが影響を受けることを理解する. 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第11回 | 電子にはスピンがあり,静電相互作用によってスピンの相対的な向きによってエネルギーが異なることを理解する(一重項と三重項). 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第12回 | パイ電子系を量子力学で近似的に記述する(Huckel法). 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第13回 | 一般的な分子を量子力学で記述する(分子軌道). 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第14回 | 行列の計算を復習し,それが量子力学でどのように使われるかを理解する. 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
第15回 | 実際の分子軌道計算をデモンストレーションし,どのような情報が得られるかを説明する. 予習(120分),復習(120分):授業時の板書(必要に応じて参考書)の事前学習および復習 |
その他
教科書 | |
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参考書 |
中田宗隆著 『なっとくする量子化学(ISBN978-4061545304)』 講談社 2005年 第5版
中田宗隆著 『量子化学 基本の考え方16章(ISBN978-4807904334)』 東京化学同人 1995年 第1版
Donard A. McQuarrie,John D. Simon著,千原秀昭,江口太郎,斉藤一弥訳 『物理化学-分子論的アプローチ〈上〉(ISBN978-4807905089)』 東京化学同人 1999年 第1版
大野公一著 『量子化学(ISBN978-4000079860)』 化学入門コース6 岩波書店 1996年 第1版
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成績評価の方法 及び基準 |
小テストあるいは演習(100%) |
質問への対応 | 毎回講義終了後、質問等に対応する。また,必要に応じてemailおよびCST-Voiceからも質問を受け付ける. |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎2号館 1F 218号室 e-mail:otsuki.joe@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
火曜 駿河台 15:00 ~ 16:00
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学生への メッセージ |
根本的に,物質の構造や性質は量子力学のルールによって決まります.従って,物質を理解するためには,つまり化学を理解するためには量子力学を学ぶ必要があります.原子や電子の奇妙な性質が量子力学によって見事に説明されることを味わって楽しめると素晴らしいです.量子力学のルールは数式で表されるので,数学についても復習しつつ,一つ一つ理解できるよう解説したいと思います. |