2022年 大学院理工学研究科 シラバス - 建築学専攻
設置情報
科目名 | 近代建築史特論 | ||
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設置学科 | 建築学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 大川 三雄 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 月曜3 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | C13A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 幕末明治以降の日本の近代建築を対象として、その文化財としての価値と保存理念について考察する、また日本における建築近代化の諸相を様々な角度から分析することで、今日の日本の建築界が抱えている諸問題に対する認識を高める。 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面授業で行う。毎回、日本における建築近代化の諸相を「様式」「技術」「思想」「職能」といったテ-マに即して論ずる。60分の講義のあと後半の30分はスライド等を用いたヴィジュアルな講義形式を採用します。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
修士課程前期1年生以上を対象とする。学部時に建築史Ⅱ及びⅢを習得していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 1、テキストとしての近代建築史 欧米及び日本の近代建築史の通史として書かれたテキストを対象として、近代建築史叙述における様々な方法論について論ずる。 【事前学習】特になし 【事後学習】配布された梗概に記載されている文献を図書館等で実見する(120分) |
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第2回 | 2.幕末明治初期の大工棟梁たち 日本の近世と近代を繋ぐ役割を果たした大工棟梁たちの活動について考察する。伝統的な木造技術の継承と発展に尽くした人々や、洋風との出会いから極めて創造的な擬洋風建築と呼ばれる作品を生み出した人々など、多様な職人世界の実相を明らかにする。 【事前学習】『図説 近代建築の系譜』のP16~21までを読んでおくこと 【事後学習】配布された梗概をもとに教科書及び参考書を用いて補足して、授業ノ-トとしてまとめること。 |
第3回 | 3.近代日本の歴史主義① お雇い外国人によってもたらされ、日本建築家たちによって継承・発展された歴史主義の習得における第1世代(辰野金吾、片山東熊、妻木頼黄ら)に注目して考察を行う。 【事前学習】『図説 近代建築の系譜』P22~33までを読んでおくこと 【事後学習】配布された梗概を元に授業ノ-トを整理しておくこと |
第4回 | 4.近代日本の歴史主義② 伊東忠太を中心として、歴史主義の第2世代の活躍し建築界に与えた影響について考察する。 建築史学の創設と建築論的考察、伝統意識の覚醒、日本の独自性の追求などが主要なテ-マとなる。 【事前学習】『図説 近代建築の系譜』P34~45を読んでおくこと 【事後学習】配布された梗概を元に授業ノ-トを整理しておくこと |
第5回 | 5.近代日本の歴史主義③ 日本における歴史主義の習得の最終段階を担った人々、特に岡田信一郎と渡辺仁を中心として、その業績と意義について考察する。 【事前学習】『図説 近代建築の系譜』P74~81を読んでおくこと 【事後学習】配布された梗概を元に授業ノ-トを整理しておくこと |
第6回 | 6.近代和風大邸宅の世界 伝統の側から建築の近代化をとらえ直す視点として近代和風研究という分野がある。その中でも最も重要な建物種別である近代和風大邸宅に着目し、日本における建築近代化の諸相を探る。 【事前学習】『図説 近代建築の系譜』P40~45を読んでおくこと 【事後学習】配布された梗概と資料を元に授業ノ-トを整理すること |
第7回 | 7.和洋の狭間に生きた建築家たち 建築の洋風化一辺倒ではなく、洋風と和風の融合をテ-マとして活躍した建築家として、木子幸三郎と大江新太郎を取り上げ、その活動内容と歴史的意義について考察する。 【事前学習】『図説 近代建築の系譜』P40~45、および『図説 近代日本住宅史』P28~31を読んでおくこと 【事後学習】配布された梗概を元に授業ノ-トを整理しておくこと |
第8回 | 8.数寄屋モダニズム 昭和戦前期を中心として、数寄屋をキ-ワ-ドとして新しい日本の近代住宅を模索する動きが活発化した。藤井厚二、堀口捨巳、吉田五十八、村野藤吾といった建築家を取り上げ、それぞれの手法と特徴について触れる。 【事前学習】『図説 近代日本住宅史』P30~31、P46~47を読んでおくこと 【事後学習】配布された梗概を元に授業ノ-トを整理しておくこと |
第9回 | 9.逓信建築と日本のモダニズム 日本における建築モダニズムの中心を担ってきた逓信省営繕課に着目して、吉田鉄郎や山田守の活動と歴史的意義について考察する。 【事前学習】『図説 近代建築の系譜』P88~93を読んでおくこと 【事後学習】配布された梗概と資料を元に授業ノ-トを整理しておくこと |
第10回 | 10.木造モダニズムの系譜 最新の技術(RC造)と美学を特徴とするモダニズムの流れの中にあって、独自の系譜を形成する木造モダニズムの試みについて解説する。 【事前学習】『図説 近代日本住宅史』P106~111を読んでおくこと 【事後学習】配布された資料を元に授業ノ-トを整理しておくこと |
第11回 | 11.日本の建築運動とジャ-ナリズムの流れ:建築近代化の過程を建築運動の視点から論ずる。また、その牽引力ともなったジャ-ナリズムの流れについても解説する。 【事前授業】『図説 近代建築の系譜』P46~51を読んでおくこと 【事後学習】配布された梗概と資料を元に授業ノ-トを整理しておくこと |
第12回 | 12.A・レ-モンドの建築とその評価 戦前戦後を通じて日本の建築界に大きな影響を与えてきた建築家A・レ-モンドの建築作品を分析する。 【事前学習】『図説 近代日本住宅史』P110~111を読んでおくこと 【事後学習】配布された資料を元に授業ノ-トを整理しておくこと |
第13回 | 13、建築設計競技の歴史(戦前編) 明治末から始まる日本における設計競技の歴史を概観し、その意義と問題点を明らかにする。 【事前学習】建築の設計競技に関して、ネット情報等を活用して、一般的な知識を得ておくこと 【事後学習】配布された資料を元に各自で関心のある設計競技についてその概要を調べておくこと |
第14回 | 14.建築設計競技の歴史(戦後編) 戦後に行われた設計競技の歴史を概観し、設計競技の問題点を明らかにするとともに、日本における建築家の職能について考察する。 【事前学習】70年代以降に建築界で行われた設計競技について知見を広げておくこと 【事後学習】近年の設計競技における問題点を整理しておくこと |
第15回 | 15.レポ-ト課題の発表と講評 事前に提出してもらったレポ-トを元に10分間程度の発表、その内容に対して質疑応答を行う。このレポ-ト課題を平常試験とみなし評価を行います。 |
その他
教科書 |
大川三雄、内田青蔵、藤谷陽悦 『図説 近代日本住宅史』 鹿島出版会 2008年 第1版
大川三雄、初田亨、川向正人、吉田鋼市 『図説 近代建築の系譜』 彰国社 1997年 第1版
授業時には教科書の関連ペ-ジをコピ-して配布しますが、興味のある受講生の方には購入を勧めます。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
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成績評価の方法 及び基準 |
レポ-ト課題を出題する。課題内容については第1回の授業時に発表します。 |
質問への対応 | 随時対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワ-スコラ 8階 S-817A室。 |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 13:20 ~ 14:50
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学生への メッセージ |
知識の習得よりも研究方法を学ぶことを心がけて欲しい。建築研究の基本姿勢として「いつも歩いていること(建築を実際に体験する)」と「いつも読んでいること(幅広い知識の習得)」を心がけ欲しい。 |