2022年 大学院理工学研究科 シラバス - まちづくり工学専攻
設置情報
科目名 | 環境まちづくり特論 | ||
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設置学科 | まちづくり工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 井伊・西山 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜5 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | E45A |
クラス |
概要
学修到達目標 | 授業前半では、まちづくりを通じた環境面の持続可能な社会の構築の観点から基礎的な知識を習得する。特に、日本は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目標に掲げたが、その中でも主要な二酸化炭素については、都市におけるエネルギーシステムとも関係が深い。そこで、環境面での持続可能性も目標に掲げているまちづくりの国内外の事例から学びつつ、環境面・省エネルギー面からの都市エネルギーシステムの評価手法の基本的な考え方を身に付ける。 授業後半では土地土地の文化や風土など、いわゆるヴァナキュラーという視点から、社会基盤施設や都市の歴史的環境の視点に立った見方や知識を習得することができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
【対面授業】※社会の情勢に応じて結果的に全ての回が【同時双方向型授業】となる可能性もあります。 授業前半では、建設コンサルタント企業において環境分野の実務経験を有する技術士が、自身の業務を通じた経験も踏まえた授業を行います(必要に応じ、他の技術士をゲストスピーカーとして招く場合があります。)(※技術士とは”技術士法”に基づく国家資格です。)。 パワーポイントと板書を併用し講義及び簡単な演習を行います。適宜、事前に指定した課題に対する報告(発表)やグループワークを行う場合があります。国内の事例等の学習においては、都内での視察(見学)を行う場合があります(その場合の日時は受講者と調整します。)。 なお、授業計画は、履修者の状況を踏まえて一部調整することがあります。 |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
授業の事前に課題図書等を指定する場合や、事前又は事後にレポートの提出を求める場合があります。なお、受講者の人数や状況に応じ、準備・事後学習を含む内容については、柔軟に調整する場合があります。 |
授業計画
第1回 | 自己紹介、半年間の進め方について、まちづくりと環境保全、地球温暖化と世界・日本の対応 【事前学習(120分)】気候変動適応情報プラットフォームhttp://www.adaptation-platform.nies.go.jp/ より自分が興味をもった動画やその他のコンテンツを閲覧する。ただし、以下の動画視聴を「必須」とする: 2.3 国際的な取組 ・気候変動2013 IPCC第1作業部会:自然科学的根拠(IPCC公式動画日本語字幕付) ・気候変動2014 IPCC第2作業部会:影響、適応及び脆弱性(IPCC公式動画日本語字幕付) ・気候変動2014 IPCC第3作業部会:気候変動の緩和(IPCC公式動画日本語字幕付) ・【速報版】IPCC WGII AR6 SPM見どころ紹介 4.1 気候変動適応センターが主催したシンポジウムの動画 ・不動産分野 TCFD 対応ガイダンスの概要について 【事後学習(120分)】 ・IPCC第3作業部会 AR6報告書が2022年3月末に公表予定であり、講義中でも触れる。事後学習として、第2作業部会又は第3作業部会報告書(いずれも英文)でまちづくりの観点から関心をもった部分について概要をとりまとる。(その結果は次回以降の講義で各人が発表する。) |
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第2回 | まちづくりとエネルギー①省エネルギー 事後学習結果の発表/自分で二酸化炭素排出量が計算できるようになる(演習)/日本の温室効果ガス排出量の状況・増減要因やまちづくりとの関係/省エネルギーと評価指標、住宅の給湯を例にとったエネルギーシステムの効率評価 【事前学習(120分)】第1回講義時配布資料による二酸化炭素排出量の計算方法の予習 【事後学習(120分)】あなたの自宅でのエネルギー使用に伴う二酸化炭素排出量の計算、講義内で取り上げる給湯器のエネルギーシステムとしての効率の計算演習 |
第3回 | まちづくりとエネルギー②未利用エネルギー・エネルギーの面的活用 【事前学習(120分)】第2回講義で配布したプリントによる予習 【事後学習(120分)】住宅・建築物に関する温室効果ガス削減対策について(計算演習など) |
第4回 | まちづくりとエネルギー③再生可能エネルギー事業 【事前学習(120分)】再生可能エネルギーを活用したまちづくりの事例の調査 【事後学習(120分)】再生可能エネルギーを活用したまちづくりの提案の小レポートの作成 |
第5回 | まちづくりと物質循環:廃棄物処理システムと廃棄物エネルギー利活用・脱炭素化 【事前学習(120分)】廃棄物処理施設整備やエネルギー利活用に関する事前指定論文を読む 【事後学習(120分)】あなたが住んでいる都市の廃棄物(ごみ)処理システムとエネルギー利活用状況の調査又は他地域の事例研究 |
第6回 | 事例視察(社会情勢上難しい場合は講義・演習形式に変更) 廃棄物処理施設又は面的エネルギー供給関係 【事前学習(120分)】ここまでの学習内容に基づく質問案の準備 【事後学習(120分)】調査結果の小レポート作成 |
第7回 | 国内外のカーボンニュートラルに向けた地域の計画① 【事前学習(120分)】国外の地域脱炭素化の文献(英文)の一部分を読んで整理する 【事後学習(120分)】国内事例と国外事例の比較資料の作成 |
第8回 | 国内外のカーボンニュートラルに向けた地域の計画② 【事前学習(120分)】国外の地域脱炭素化の文献(英文)の一部分を読んで整理する 【事後学習(120分)】国外動向も踏まえた今後の国内のまちづくりでカーボンニュートラルに向けて必要となると考えられる取組の提案(小レポート作成) |
第9回 | オンライン社会におけるデータ活用とまちづくり 【事前学習(120分)】データ活用型スマートシティについて事前に指定した資料の予習、身近に利用しているアプリを通じて収集されるデータの把握 【事後学習(120分)】 カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの観点から、事前学習で調査したアプリの改善点を提案し、個人行動の変革と持続可能なまちづくりの関係についてあなたの意見をまとめる。 |
第10回 | まちづくりにおける環境配慮の仕組み(環境アセスメント) 【事前学習(120分)】ここまでの授業を振り返っての不明点の確認・整理。環境アセスメント(環境影響評価)制度について図書館にある関連文献に目を通す。 【事後学習(120分)】今後のあなたの研究における環境面の持続可能性との関係の考察 |
第11回 | わが国の古代から中世おける社会基盤整備の歴史① 【事前学習(120分)】図書館に足を運び,土木史および都市史の文献に目を通す 【事後学習(120分)】授業内で解説した内容を振り返り,自身のノートへまとめる |
第12回 | わが国の近世から現代おける社会基盤整備の歴史② 【事前学習(120分)】図書館に足を運び,土木史および都市史の文献に目を通す 【事後学習(120分)】授業内で解説した内容を振り返り,自身のノートへまとめる |
第13回 | 中世の荘園制度下の地域社会における環境と灌漑水利システム 【事前学習(120分)】図書館に足を運び,土木史および都市史の文献に目を通す 【事後学習(120分)】授業内で解説した内容を振り返り,自身のノートへまとめる |
第14回 | 近世の幕藩体制下における村落の環境と灌漑水利システム 【事前学習(120分)】図書館に足を運び,土木史および都市史の文献に目を通す 【事後学習(120分)】授業内で解説した内容を振り返り,自身のノートへまとめる |
第15回 | 土に対する忌避意識と歴史的背景 【事前学習(120分)】図書館に足を運び,土木史および都市史の文献に目を通す 【事後学習(120分)】授業内で解説した内容を振り返り,自身のノートへまとめる |
その他
教科書 |
教科書は特に指定しないが、講義中に適宜参考となる文献等を紹介する。
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
下田吉之 『都市エネルギーシステム入門』 学芸出版社 2014年
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成績評価の方法 及び基準 |
70%出席で評価対象とします。発表・レポート(50%;実際に足を運んで見たことや手を動かして調べたことを優位に評価します。)及び授業・討論への参加姿勢(50%)による。 |
質問への対応 | 授業中に対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
初回授業時に連絡先を提示する。 |
オフィスアワー |
火曜 駿河台 12:10 ~ 13:00
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学生への メッセージ |
なるべく実例の紹介を多く取り入れることなどにより、具体的なイメージを持っていただくことを大事にしたいと思います。同時に、やや抽象的となりますが、私が専門としてきた「環境負荷量の評価手法」について簡単な演習問題に取り組んでいただくことで、世の中で主張されているエネルギーやCO2に係る「数字」を、イメージでごまかされることなく理解するために必要となる基本的な視点をお伝えできればと思っています。 |