2022年 大学院理工学研究科 シラバス - 機械工学専攻
設置情報
科目名 | 自動車工学特論Ⅱ | ||
---|---|---|---|
設置学科 | 機械工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 堀内 伸一郎 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | F22B |
クラス |
概要
学修到達目標 | 以下の2点を学習到達目標とする. 1.非線形システムの運動の特徴を理解する. 2.非線形領域における自動車の運動特性の解析法として,次のような手法の概要を理解する. ・位相面解析法 ・エネルギ位相面法 ・Handling diagram ・モーメント法 ・リアプノフ法による安定解析 ・安定領域の推定 ・分岐解析 |
---|---|
授業形態及び 授業方法 |
対面型の授業を行う.web上に掲載された講義プリントに基づいて授業を進める. |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
以下のような予備知識が必要である. 1.学部の「自動車運動力学」レベルの線形車両モデルに関する知識 2.学部の「工業力学 II」レベルの運動力学に関する知識 3.コンピュータによる数値計算の知識(MATLAB,Mathematica,Maple,Scilab,Octaveなどのうちどれか1つは使用できること) |
授業計画
第1回 | ガイダンス 講義の概要,受講上の注意,必要な予備知識,成績の評価方法などについて説明する. 【事前学習】シラバスを読み,授業の概要を把握しておく(60分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある参考文献のいくつかを選び,図書館等で目次に目を通し,取り上げているトピックスについて調べておく(180分) |
---|---|
第2回 | 線形車両モデル 基本的な2自由度線形車両モデルを用いて線形領域における自動車の安定性,運動特性について確認し,線形2輪モデルのシミュレーションができるようになる. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第3回 | 非線形タイヤモデル 代表的な非線形タイヤモデル(ブラシモデル,Magic Formulaなど),簡単な前後力・横力の干渉モデルについて理解し,相互干渉を考慮したタイヤの前後力・横力を計算できるようになる. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第4回 | 非線形車両モデル いくつかの簡単な非線形車両モデルを誘導し,線形モデルとの比較を行う.前輪舵角入力に対する非線形2輪モデルの応答が計算できるようになる. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第5回 | 非線形システムの特性 I 非線形系には線形系には見られない特徴的な性質がある.ここでは一般的な非線形系の特徴(複数の平衡点,初期値鋭敏性,安定性の初期値・入力依存性)を理解する.非線形システムの平衡点が求められるようになる. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第6回 | 非線形システムの線形化 テイラー展開を用いて非線形運動方程式を平衡点まわりで線形化する方法について理解する.これを用いて,リアプノフの第 1 の方法により平衡点の安定性を検討する.平衡点における非線形システムの線形化と平衡点の安定性が判別できるようになる. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第7回 | 非線形システムの特性 II 一般的な非線形系の特徴(リミットサイクル,平衡点の分岐など)を理解する.簡単な非線形システムの分岐図が描けるようになる. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第8回 | 位相面解析法 システムの特性を検討する手法として位相面解析法がある.まず,線形システムに対する位相面法を学んだ後,非線形システムの位相面解析を理解する.簡単な非線形システムの位相面解析ができるようになる. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第9回 | 非線形領域における自動車の運動解析 I(位相面法) 横すべり角とヨーレイトの位相面を用いて,非線形領域における自動車の運動を解析する.運動が不安定化する要因を検討する.非線形2輪モデルの位相面解析ができるようになる. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第10回 | 非線形領域における自動車の運動解析 II(エネルギ位相面法) 並進運動と回転運動の運動エネルギを座標軸にとったエネルギ位相面を用いて,非線形領域における自動車の運動を解析する.エネルギ位相面を用いた運動の解析ができるようになる. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第11回 | 非線形領域における自動車の運動解析 III(Handling diagram) Handling diagramは異なった操舵角,旋回半径,速度などにおける定常円旋回特性を考察するのに有用である.Handling diagramを用いた非線形領域における定常円旋回特性の解析について理解する. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第12回 | 非線形領域における自動車の運動解析 IV(モーメント法,ベータメソッド) 車両重心点に作用する横力とヨーモーメントを座標軸にとり,これらの変化から過渡特性も含めた車両運動特性を解析する方法としてモーメント法がある.この方法を用いて非線形領域における自動車の運動を解析する.同様な手法としてベータメソッドについて理解する. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第13回 | 非線形領域における自動車の運動解析 V(リアプノフの方法による安定解析) 非線形領域における自動車の安定領域をリアプノフの第2の方法を用いて解析した例と,その問題点について考える. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第14回 | 非線形領域における自動車の運動解析 VI(安定領域の推定) 非線形システムの安定領域を求める方法として提案されている逆軌道法を理解し,この方法を車両の安定性解析に適用する.逆軌道法で安定領域が計算できるようになる. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
第15回 | 非線形領域における自動車の運動解析 VII(分岐解析) 非線形システムのパラメタ変化に対する平衡点の定性的な変化を解析する分岐解析の手法を車両モデルに適用し,非線形領域におけるタイヤ特性の違いが限界特性に及ぼす影響を解析する. 【事前学習】講義プリントを読み,授業の概要を把握しておく(120分) 【事後学習】講義プリントに掲載してある演習問題を解く(120分) |
その他
教科書 |
使用しない
|
---|---|
参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
安部正人 『自動車の運動と制御』 東京電機大学出版 2012年 第2版
Pauwelussen, J. P., Essentials of Vehicle Dynamics, Butterworth-Heinemann, 2015
|
成績評価の方法 及び基準 |
レポート課題の提出状況を100点満点で採点し,60点以上を合格とする. |
質問への対応 | 研究室で対応する.メールでの質問にも対応する. |
研究室又は 連絡先 |
研究室 タワー・スコラ17階 S1705室 メールアドレス horiuchi.shinichiro@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
月曜 駿河台 12:20 ~ 13:20
|
学生への メッセージ |
自動車の非線形領域における運動を数理的に解析する方法について考えます.特に自動車に関する専門的な知識は必要としません.自動車以外の非線形システムの解析にも参考になる内容です. |