2022年 大学院理工学研究科 シラバス - 精密機械工学専攻
設置情報
科目名 | システム工学特論Ⅱ | ||
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設置学科 | 精密機械工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 柿崎 隆夫 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 金曜4 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | G54A |
クラス | 精密機械工学専攻 | ||
その他 | 実務経験のある教員による授業科目 |
概要
学修到達目標 | 1)機械工学におけるシステム工学(Systems Engineering)とは何かを自らの言葉で平易に説明することができる.2)システム工学における主要な設計手法について簡単な例をあげて説明することができる.3)過去から現在までシステム工学の手法を適用し設計解析されたマイクロから巨大なシステムについて,幾つか例を挙げて説明することができる. |
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授業形態及び 授業方法 |
授業は原則対面授業とするが,Covid-19による状況変化などが生じた場合は大学指示に応じてリモート形式も随時採用する. 1)インタラクティブなやりとりを重視しつつ原則は板書を基本とした講義形式とする. 2)必要に応じて論文などのプリントを配り解説しつつ議論する. 3)必要に応じ,ビデオなどを用いて実際のシステム設計例について解説議論する. 担当教員は情報記憶システムおよびロボットシステムの研究開発ならびにICT情報通信サービス事業に従事した経験があり,要所要所にてシステムの実例を具体的に説明する. |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
1)機械力学の基礎,制御工学の基礎,線形代数の基礎を修めておくのが望ましい. 2)システム構成の理解のため,機械工学実験を修めておくことが望ましい. 3)技術はリアルタイムで進化しており,システムの概念無しに現在の社会を大局的に理解することは難しい.そのため世界の動向を示すビデオ素材などは積極的に活用する. |
授業計画
第1回 | システム工学 - 基礎編 システム工学 イントロダクション - 講義のガイダンスを実施する.講義の全体についてシラバスをベースに説明する.まずはシステムの概念について,工学的アプローチをしていく基本概念を共有する. 事前学習: 自身の生活の中でシステムと呼ばれるものについて理解しておく. 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく. |
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第2回 | システム工学 - 基礎編 システムとシステム工学 - システムの定義,そしてその解析と設計のために提唱されたシステム工学について,歴史を紐解きつつ,概説する. 事前学習: 機械システムでいわれる設計についてこれまで学んだことを復習しておく. 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく. |
第3回 | システム工学 - 基礎編 システム工学の手順 - システム工学における主な手順,内容について概説し,設計から運用まで幅広い範囲が対象となることを概説する. 事前学習: 身近なソフトあるいはハードウェアシステムの導入例を調べておく 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく. |
第4回 | システム工学 - 基礎編 システムのモデリング - 設計や解析を進めるためのベースとして,まずどのようにシステムを記述するのか,それをモデリングという手法として理解する.具体的なモデリング例も併せて説明する. 事前学習: システムの記述に必要な表現法,例えば行列表記などを復習しておく 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく |
第5回 | システム工学 - 基礎編 システムのモデリング その1 - システムのモデリングにはさまざまな手法がある.ここではまず代表的な例としてグラフ記述について概説し,簡単なモデリング法を通じてそのポイントを理解する. 事前学習: システムのグラフ記述に必要な表現法,例えば行列表記などを復習しておく 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく. |
第6回 | システム工学 - 基礎編 システムのモデリング その2 - システムのモデリング法であるペトリネットについて概説する. 事前学習: ペトリネット記述に必要な表現法,例えば行列表記などを復習しておく 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく. |
第7回 | システム工学 - 基礎編 システムのシミュレーション その1 - システムのモデルが与えられると,次はその挙動を把握することになる.このための様々なシミュレーション手法について概説する. 事前学習: システムのモデリングとシミュレーションの関係について調べてく 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく. |
第8回 | システム工学 - 基礎編 システムのシミュレーション その2 - システムとりわけ動的な挙動が重視される機械システムのダイナミクスシミュレーション手法およびそのためのツールなどついて概説する. 事前学習: これまで学んだ,あるいは経験してきたシミュレーション手法を振り返る 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく. |
第9回 | システム工学 - 基礎編 システムの最適化 その1 - どのシステムにも望ましい挙動を目標に設計されなければならない.このような目的のためシステムの最適化するための様々な手法について概説する. 事前学習: システム設計における最適化の意義について調べておく 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく |
第10回 | システム工学 - 基礎編 システムの最適化 その2 - システム最適化手法の中で最も基本的で,さまざまな分野で活用されている代表的な手法である線形計画法について概説する. 事前学習: 線形計画法を適用したシステム設計例について調べておく 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく |
第11回 | システム工学 - 基礎編 システム設計 その1 - 実際のシステムではしばしば非線形な挙動を扱うことになる.そこでニューラルネットワークや遺伝的アルゴリズムなど,非線形なシステム最適化手法について概説する. 事前学習: 最適化に関連するAI(Artificial Intelligence)について調べておく 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく |
第12回 | システム工学 - 応用編 システムシミュレーション - 集団行動などの自律分散システムのシミュレーションに有効なマルチエージェントについて,さらに応用として災害からの避難行動への適用例について概説する. 事前学習: マルチエージェントについて調べておく 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく |
第13回 | システム工学 - 応用編 システムのモデリング - 持続可能な世界システムをシミュレーションした例について,今日のSDGsや脱炭素の流れの中で再注目されつつある「成長の限界モデル」を例に概説する. 事前学習: 持続可能性(サステナビリティ)とは何かを調べておく 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく |
第14回 | システム工学 - 応用編 システムの最適化 - 再生可能エネルギーを利用した空調など家庭内システムの運転法について,エネルギーコスト最小化を目的とした最適化の例について概説する. 事前学習: 身近にある再生可能エネルギーに利用法について調べておく. 事後学習: 講義の振り返り.説明された次回の予定内容について予習しておく |
第15回 | システム工学 - まとめ 試験 ー これまで学んできたシステム工学の各項目を参考にしつつ,提示された課題について論説を記す. 事前学習: 各回の講義で記録,理解した内容を復讐し,提示課題へ回答できる準備をする. 事後学習: 各自の修論や論文に生かせる講義内容の是非について確認する. |
その他
教科書 |
特定の教科書は使わない.
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
井上他,システム工学—問題発見・解決の方法—
https://www.ted.com/
https://ocw.mit.edu/courses/engineering-systems-division/esd-33-systems-engineering-summer-2010/
https://ocw.mit.edu/courses/aeronautics-and-astronautics/16-842-fundamentals-of-systems-engineering-fall-2015/
https://ocw.mit.edu/courses/engineering-systems-division/
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成績評価の方法 及び基準 |
平常試験(レポート含む) 70%, 授業への対応状況 30% |
質問への対応 | 講義終了は教室(オンラインの場合にはClassのメッセージないしはEmail)にて.それ以外はまずはメールにて受付けます. |
研究室又は 連絡先 |
kakizaki.takao@nihon-u.ac.jp 担当教員は非常勤であることから,メール以外については精密機械工学科事務室ないしは主任教授等へ連絡すること. |
オフィスアワー | |
学生への メッセージ |
いまでは社会のどこでも使われるシステムという言葉ですが,改めて機械系設計者の立場で考えてみる機会にしていきましょう.楽しく学べる場にしたいと思います. |