2022年 大学院理工学研究科 シラバス - 電子工学専攻
設置情報
科目名 | 電子材料特論Ⅰ | ||
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設置学科 | 電子工学専攻 | 学年 | 1年 |
担当者 | 永田 知子 | 履修期 | 前期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 木曜2 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | J42A |
クラス |
概要
学修到達目標 | ナノテクノジーの観点に立ち、電子機能性に着目して、先進的電子材料の特異な機能を理解することにより、次世代電子デバイス開発等に携わることができる能力を涵養することを目指す. そのため、量子電子物性の基礎を復習しながら、例として、超伝導・ナノカーボンを取り上げ、量子工学的電子材料研究のアプローチについて学ぶ. |
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授業形態及び 授業方法 |
本講義では、主として対面形式で行うが、一部講義資料を用いたZoom同時双方向授業を行う。なお、各講義ごとに出される課題、その回答に関する質疑応答を交わすことにより、理解を確実なものにする。なお、特定のトピックスに関して、総合討論の場を設ける.これに参加することによって、基礎概念を再確認するとともに、具体的な応用例についての理解を深める. |
準備学習(予習・ 復習等)の内容・ 受講のための 予備知識 |
学部に設置された、電子物性ならびに半導体工学に関する科目を修得していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | オリエンテーション 超伝導(1):超伝導の基礎として、歴史的な経過を概説しつつ、超伝導現象の特徴である、完全導電性ならびにマイスナー効果について学ぶ. |
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第2回 | 超伝導(2):超伝導の基礎として、超伝導の巨視的理論ならびにGL理論について学び、さらに超伝導体が示す巨視的量子効果について理解する. |
第3回 | 超伝導(3):超伝導の基礎として、微視的理論としてBCS理論の基本的アプローチついて学び、超伝導臨界温度あるいはギャップエネルギーなどの物理的意味を理解する. |
第4回 | 超伝導(4):超伝導エレクトロニクスの基礎として、超伝導体の示す特異なジョセフソン効果と、その効果を発現するジョセフソン接合JJについて学ぶ.さらに、2つのJJを含む超伝導ループ(DCSQUDループ)が示す特異な電気磁気的応答性を理解する. |
第5回 | 超伝導(5):超伝導エレクトロニクスの基礎と応用として、DCSQUDループの働きをより詳しく理解し、それを応用したエレクトロニクス回路の動作原理を学ぶ.さらに、極微小磁場計測を可能とするSQUDの具体的応用例について理解する. |
第6回 | 超伝導(6):超伝導エレクトロニクスの基礎と応用として、JJを用いたジョセフソンコンピューティングの開発研究の例を学ぶ.超高速かつ低消費電力のスイッチ素子としてのJJあるいはSQUIDの動作原理について理解する.さらに、単一磁束量子素子と呼ばれる新しいタイプのスイッチング素子の動作ならびにその応用例について学ぶ. |
第7回 | ナノカーボン(1):ナノマテリアルは21世紀に入って注目されてきたナノテクノロジーを物質材料の側面から支えている基幹材料である.その代表的物質群、ナノカーボンを例として取り上げ、特にC60発見の経緯についてふれた後、ナノカーボンの革新性とその後の研究展開について概説する. |
第8回 | ナノカーボン(2):一連のナノカーボン電子状態の基礎的理解を深めることを目的として、まず初めに、第4の炭素同素体物質として新たに発見されたC60をはじめとするフラーレンについて学ぶ.分子軌道法に基ずくエネルギー準位ならびにC60結晶のバンド構造を理解する. |
第9回 | ナノカーボン(3):一連のナノカーボン電子状態の基礎的理解を深めることを目的として、引き続き、2次元炭素シートであるグラフェンの電子状態をバンド理論に基づいて学ぶ.特に、グラフェンに出現する質量ゼロとなるディラック電子の存在と、セミメタル的なバンド構造の理解を深める. |
第10回 | ナノカーボン(4):一連のナノカーボン電子状態の基礎的理解を深めることを目的として、グラフェンを筒状に丸めた単層カーボンナノチューブ(SWNTs)のバンド構造を学ぶ.特に、丸め方によってSWNTsは金属的あるいは半導体的性質を示すという特異な性質を理解する. |
第11回 | ナノカーボン(5):ナノカーボンの代表である、C60、グラフェン、ナノチューブに着目し、それぞれの特徴的な機能を比較検討しながら、新規電子機能材料としての応用展開の可能性について学ぶ. |
第12回 | ナノカーボン(6):ナノカーボンのエレクトロニクス応用、特にポストシリコンテクノロジーの基幹材料となる可能性に着目した、グラフェンあるいはナノチューブ次世代電子素子開発の研究報告例を学ぶ.そして、ナノカーボンに期待される量子工学的電子材料としての意味と有用性を理解する. |
第13回 | 総合討論(1):超伝導材料、デバイスに関して、最近報告された論文を取り上げ、受講生からの話題提供も受けながら、受講者全員による総合討論を行う. |
第14回 | 総合討論(2):ナノカーボン材料、デバイスに関して、最近報告された論文を取り上げ、受講生からの話題提供も受けながら、受講者全員による総合討論を行う. |
第15回 | 総合討論(3):本講義において論じられた量子ナノ電子機能性を振り返り、特に関心の高かった幾つかの例を取り上げ、総合討論や質疑応答を中心に、不明な点を明らかにして理解を深めつつ、本講義をまとめる. |
その他
教科書 |
特定のテキストは用いないが、随時、関連資料を配布する.
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参考資料コメント 及び 資料(技術論文等) |
各テーマに関する代表的書籍については、必要に応じて紹介する.
超伝導の基礎に関しては、中村彬著「クライオエレクトロニクス入門」オーム社、1980.
ナノカーボンに関しては、齋藤理一郎著「フラーレン・ナノチューブ・グラフェンの科学」共立出版、2015.
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成績評価の方法 及び基準 |
随時出される課題に関して提出されるレポート回答に基づいて評価する.(最大80%)さらに、受講者全員の参加する総合討論の場における積極的な発言や議論への参加意識についても評価する.(最大20%) |
質問への対応 | 講義室等で随時受け付けるが、メールによる質問も受ける. |
研究室又は 連絡先 |
量子科学研究所LEBRA メールアドレス:yamamoto.hiroshi@nihon-u.ac.jp 電話番号:047-469-5493 |
オフィスアワー |
木曜 船橋 13:30 ~ 15:00 場所:船橋校舎 量子科学研究所LEBRA 担当:山本教授
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学生への メッセージ |